遊心[ゆうしん]−心が遊ぶ。心を遊ばせる。世を自適に過ごす。

この設計、多目的施設「遊心」は、訪れる人々に世のせわしさより心を解き放ち、素の心で物事を見て、聞いて、感じて、その全てを楽しんでもらいたい、という願いを込めて「遊心」と名付けられた。

「遊心」は、高知市帶屋町2丁目駐車場を設計地とし、木造建築物二棟及び庭園部から成る。現代的街並に姿を現す「遊心」は、ある種周辺空間より切り離された様を放つ。しかしそれは隔絶ではなく誰にでも利用できるよう門戸を開く。

先に「多目的施設」と述べた。しかしながらこの施設には機能らしい機能は与えられていない。訪問者がこの空間から何らかのことを感じ取り、どのように過ごしたいかを決める。つまり「遊心」の機能とは訪問者が「こう過ごしたい」と感じた数だけあり、その意味での「多目的施設」である。

誰かと待ち合わせるも良い、漠然と時が流れるのを感じるのも良い、ただ心遊ばす。有意義も無意義も、余人にあらず訪れる者それぞれの心が決める。

 

 

↑敷地現状