パートナーとしてプロジェクトを成功させたいという思いは同じように持っていても、ユーザーとベンダーの立場の違いからその成功基準は少し異なる。今回は、ベンダーの目線からプロジェクトの成功について考える。対象は、ユーザーから請け負った業務アプリ(生産管理や販売管理、財務会計などの業務をサポートするアプリケーションソフトウエア)の開発だ。同じプロジェクトを見ていても、成功基準が異なれば、大切にするポイントも異なってくる。

プロジェクトから利益が生まれないと、ベンダーの経営は成り立たない

 図1に示したのは、ベンダーのPMO(プロジェクトマネジメント・オフィス)の立場だった筆者の目から見えていたベンダー側の組織とプロジェクトの関係である。前回書いたように業務アプリ開発プロジェクトは、ニーズのあるユーザー側で課題解決の手段として立ち上がる。その延長線上でユーザーがベンダーに開発を委託する。ベンダーは、プロジェクトを様々なユーザーから受託する。

関連記事(前回の記事): そのプロジェクトは本当に成功したのか、業務アプリ開発で一番重要なこと
図1 ベンダーの組織とプロジェクト
図1 ベンダーの組織とプロジェクト
(出所:初田 賢司)
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 こうした構図は、ITや業務アプリに特有のものでもない。プラント建設などの場合も同様である。例えば、この場所に何万キロワットの発電所を造るという計画を立てるのは電力会社であり、ベンダーはそれを受注して建設プロジェクトが立ち上がる。

 業務アプリの受託開発を行うベンダーの組織は、業種などによって分けられた事業部や部で構成される。事業部や部では、プロジェクトが経営の基本単位であり、プロジェクトの集合で組織が成り立つ。この図を見るとプロジェクトが利益を生み出さないとベンダーの事業は存続できないことが分かるだろう。逆に大口不採算プロジェクトが発生すると経営に深刻なダメージを与える。ベンダーにとってプロジェクトの成功率は大切なKPI(重要業績評価指標)だ。

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