有能かつ残虐な兵士であり、戦争のヒーローだったベンジャミン・マーティン。
7人の子供の父親となった今、彼は亡き妻の願い通り平穏な日々を送っていた。
だが独立戦争が起こり、イギリス軍がアメリカに侵入。
戦いに乗り気でないベンジャミンは、愛国心に燃える息子に苦い顔を見せる。
しかし戦火が迫り、目の前で息子を殺され、彼の戦士の本能が目覚め始める・・・という話。
アメリカ独立戦争を背景とした戦争映画です。
監督は「ID4」や「デイ・アフター・トゥモロー」のローランド・エメリッヒ。
観てて、すっごくエメリッヒ監督っぽい映画だなあと思いました。
エメリッヒ監督作の特徴である、迫力ある映像、陳腐な家族ドラマ、
そしてアメリカ万歳!なストーリー、これら全てが本作にも含まれています。
まあ米独立戦争が背景の映画だからUSA!USA!な作風になるのは仕方ないとして、
エメリッヒ監督は相変わらず人間ドラマの描き方がヘタだと思いました。
キャラはみんなステレオタイプな性格だし、主人公の身内を死なせてドラマを盛り上げるのもありきたり。
・・・と思ったんですが、親父が息子の仇討をするため立ち上がるという復讐譚は、
ベタだけどなんだかんだ言ってけっこう盛り上がっちゃいました。
マーティンが星条旗を掲げて敵陣につっこむクライマックスとかかなり熱かったです。
なんだかんだ言いたいことはありますが、クライマックスは単純に燃える
そして上でも言ったように、本作はエメリッヒ監督のスペクタクルな映像が冴えわたっています。
本作の目玉はなんといっても戦列歩兵による戦闘シーン。
銃を使った戦闘シーンと聞くと、大抵の人は障害物でカバーしながらの銃撃戦を連想するでしょうが、
本作の銃撃戦は何もない平野で陣営同士が50mの間隔でずらっと並び、
棒立ちでマスケット銃を互いに撃ち合い、どちらが先に心が折れるかを競うというもの。
観ててマジキチとしか思えず、もし戦列歩兵として戦うなら、最前列は絶対嫌だと思いました。
↓ここで戦列歩兵についておもしろく解説してるので、よかったら読んでみてください。
http://dic.nicovideo.jp/a/%E6%88%A6%E5%88%97%E6%AD%A9%E5%85%B5
行軍中にかかる陽気な音楽がよけいにこのシーンを異様にしてました
主人公ベンジャミン・マーティンを演じたのは問題児メル・ギブソン。
私生活でいろいろ言われて干された男ですが、演技の腕は確かだと思います。
特に息子を失って動揺するシーンや、敵をトマホーク(斧)で滅多打ちにするシーンなど、
彼の感情的な演技が光っていたと思います。
事前情報を入れずにみたのでびっくりしたのですが、なんとヒース・レジャーが出てました。
まだ若くてすげーイケメンで、後に白塗りのテロリストを演じるとは到底思えない風貌でした。
個人的に本作で一番気に入ったキャラは、ジェイソン・アイザックス演じるタビントン大佐。
彼はマーティンの息子を殺し、マーティンを奮い立たせた張本人である本作の悪役で、
市民や傷ついた敵軍の兵士などを虐殺するなど、慈悲のかけらもない残虐な外道です。
観ててマーティンの代わりにこっちが殺してやりたいと思うほど憎らしいキャラクターですが、
そう思ってしまった時点で、既に役者さんの思うつぼなんでしょうね。
ドラコ・マルフォイの親父役など、この人は悪役で輝く人だと思います
ストーリーは陳腐な所が多いし、なによりあまりに冗長過ぎる上映時間のせいで中盤はダレますが、
戦列歩兵による戦闘シーンは新鮮だったし、ジョン・ウィリアムズの戦意が高揚するマーチも最高!
エメリッヒ監督作にしては全体的には悪くない戦争映画だったと思います。
「ID4」の次くらいに良かったかな。
※おまけ
命中精度はお粗末なもので、映画のようにビシビシ当たらなかったようです。
しかし壁に飾ってみたくなるデザインだなあ・・・銃刀法に引っかかるだろうけど。
65/100点