Photograph 記憶の花 藤原更 Sarah Fujiwara

愛知県

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藤原更の作品は、写真でありながら、写真ではない。なぜならそこには、写真には捉えきれなかった“記憶”が挟み込まれているからである。
以前フランスで撮影した芥子畑の写真が、記憶に残る芥子畑とあまりにも違ったことを受けて藤原は、記録写真をもとに記憶の芥子を表現したいと考えるようになった。「記憶の可視化」だ。
展覧会名に“写真”ではなく“Photograph”をつかっているのは、藤原が“Photo(光)graph(書く)”という単語の本来の意味を踏まえて、「光で描く」思考を取りこんでいるから。藤原は「光で描く」ことで、記録を越えた記憶の芥子を表現し、Photographが持つ可能性を更に拡張しようと試みている。
今回紹介する「花三部作」(蓮・薔薇・芥子/ハス・バラ・ケシ)は、コマーシャルフォトグラファーとして第一線で活躍した藤原ならではの「光と時間を駆使して瞬間を切り撮る写真」に、日本画の“ぼかし”や独自の“剥離”など、記憶のあいまいさを表現するための多様な技法が加えられている。
「命の儚さ、そして存在の輝きを表現したもの」をつくりだしていきたいという現代美術家 藤原更の『記憶の花』を楽しんでほしい。

開催概要