【第10回】「ハカセとNARIのときめくアート」東京で話題の毒展が大阪に上陸!「特別展 毒」大阪市立自然史博物館で5月28日まで

毒と聞くとみなさんは何を連想しますか?
自然界には、私たちに悪い作用をもたらす毒がいたるところに存在します。できれば毒には近寄りたくないなあ、というのが本音ですよね。しかし、その毒も使い方によっては薬にもなりますし、楽しみをもたらす場合もあります。そんな毒を、各界のスペシャリストたちが多角的に解説する展覧会が「特別展 毒」。ハカセとNARIの2人(そして今回は最後に新キャラクターが登場!)も、深遠な毒の世界を覗きに大阪市立自然史博物館までやって来ました。

アートや文学、映画などが大好きなNARIは、どちらかというと理系の分野は苦手。そんなバリバリの文系でも展覧会を楽しめるのかちょっと不安です。でも、ハカセくんがいるから大丈夫!

いざ毒の世界に分け入ってみましょう!

梅雨時期になると各地で咲き誇るアジサイ。色とりどりの花は私たちの眼を楽しませてくれますが、実は毒が含まれています。誤って食べて中毒を起こした事例が報告されています。また、花粉症に悩まされる人も多いと思いますが、花粉も身近にある毒だと言えます。このように、私たちの身のまわりには、さまざまな毒があるのです。

ジャスティン・シュミットは、どのハチに刺されるのが一番痛いのかを実験し、その痛みを数値化しました。これは「シュミット指数」と呼ばれ、ミツバチに刺された痛みをレベル2とし、最も痛いものをレベル4としています。NARIも、以前ハチに刺されたことがあって、痛くて氷で冷やしながら半日寝込んだことがあります。しかし、この指数に当てはめてもせいぜいレベル2。レベル4のすさまじさは想像を絶します。それにしても、自らを犠牲にして、とんでもない実験をする科学者は古今東西いるものですね。

「間違えやすい毒きのこ」のコーナーでは、食べられるきのこと、そっくりな有毒なきのこを何種類か並べて展示してあります。食用だと思って食べたら中毒死したという事故も過去にあるそうですので、きのこに詳しくない人は、自分で採集して食べることは控えたほうが無難ですね。

また、毒きのこを食べたときの症状を解説したコーナーもありました。痙攣、腹痛、下痢、といったものから、幻覚症状を引き起こすものや、腎臓・肝臓の細胞を破壊し、死に至るものまであるということですから、きのこの持つ毒性のバラエティの広さには驚かされます。

日本では、奈良時代に鉛白粉なまりおしろいが伝来し、水銀で作られた白粉も使われることがあったそうです。鉛も水銀も毒性があるので、当時の人びとの健康が心配になりますよね。突然症状が出るのではなく、慢性中毒を引き起こし、貧血や頭痛、痙攣、能機能障害などの症状があったのだそうです。

会場には白粉を施した人形が設置してあり、江戸時代の夜の明かりでは白粉を塗った女性がどのように見えたのかがわかるようになっていました。確かに当時の明かりで観ると、かなり印象が異なります。

第一次世界大戦では、塹壕戦が膠着状態となり戦争が長期化していました。毒ガスを兵器として使用することで戦争を早期に終結させ、多くの人命を救える、という考えのもと、ドイツの化学者フリッツ・ハーバーはその開発に成功します。しかし、毒ガスは多数の死者や中毒者をもたらすという悲劇しかもたらしませんでした。ハーバーの妻クララは、夫が毒ガスに関わることを批判し、ついには自殺しています。

毒ガスに関わる以前のハーバーは、空気中の窒素からアンモニアを合成する方法に成功したことでノーベル化学賞を受賞し、人類の進歩に貢献した人物でもあります。科学の持つプラスの面とマイナスの面の両面を体現するハーバー。毒の恐ろしさは、それを扱う人間の心にこそあるのかもしれません。

文系だから、とビビッていたNARIですが、展覧会を観終わったときにはすっかり毒の魅力に取りつかれて興奮状態。「毒を食らわば皿までの気分」と言っていますが、どんな気分なのかはイマイチ意味不明です。「イミフ」と突っ込みを入れているカッパは、新キャラクターのネガッパくんです。ネガティブな性格のカッパなのでネガッパくんです。よろしくね!

ちなみに、お土産コーナーでは「毒まんじゅう」の販売がありました。(毒は入っていません。)みなさんも、毒展グッズの「毒まんじゅう」は食べても、くれぐれも毒まんじゅうを食べるような甘い話に乗らないように気を付けてくださいね。

(アート探訪インスタグラマー、マンガ家・NARI)
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特別展「毒」
会場:大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール(花と緑と自然の情報センター2階、大阪市東住吉区長居公園1-23)
会期:2023年3月18日(土)〜5月28日(日)
開館時間:9時30分〜17時(入場は16時30分まで)
休館日:月曜日(ただし、4月3日、5月1日は除く)
入館料:大人1,800円 高大生1,500円 小中生700円
美術展ナビチケットアプリでも購入可能
詳しくは、(公式サイト)

展示構成などはこちらのプレビューもご覧ください。


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