なぜ慎重姿勢?政治家自身も責任負う「連座制」 政治資金規正法改正に向け、自民「独自案」とりまとめへ【Nスタ解説】

派閥の裏金事件を受け、自民党は23日、政治資金規正法の改正に向けた党の独自案のとりまとめに入りました。議員本人の罰則を強化する方針ですが、十分な内容となるのでしょうか。

自民「独自案」とりまとめへ 政治資金規正法 改正向け

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午後4時から始まった自民党の政治刷新本部。派閥の裏金事件を受け、ようやく政治資金規正法の改正に向けた党の独自案のとりまとめに入りました。

焦点の1つが会計責任者だけではなく、議員本人も責任を取る、いわゆる「連座制」の導入です。

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これまで政治資金パーティーをめぐるキックバックの扱いについて、安倍派の議員らは…

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安倍派 西村康稔前経産大臣
「還付金があるということを私自身は把握をしておりませんでした」

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安倍派 世耕弘成前参院幹事長
「資金の管理は完全に秘書に任せていたわけであります」

口々に“政治資金の扱いは秘書に任せていた”と話し、裏金事件では収支報告書への不記載で、安倍派・二階派・岸田派の会計責任者のほか、二階元幹事長の秘書が立件されています。

こうした事態に野党は…

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立憲民主党 泉健太代表
「会計責任者と関与した政治家というか、そのトップにいる政治家の連座制、これは強めていかなきゃいけない」

連座制の導入に慎重な姿勢を示し、政治資金規正法の改正に向けた党の考え方も示さない自民に対し、連立を組む公明党も痛烈に批判しています。

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公明党 赤羽一嘉前国交大臣
「率直に言って本当に情けないし、同じ国会議員として恥ずかしい思いでございます。自民党案がまとまらないという現状。これ本当に総理が先頭に立って取り組んでいると言えるのでしょうか」

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岸田総理
「今国会において、間違いなく政治資金規正法(改正案)成立に向けて作業を進めていきたい」

追い込まれる形となった自民党は23日、▼議員本人の責任を明確にするため、収支報告書の内容に間違いがないことを示す「確認書」の作成を議員本人に義務づけるほか、▼収支報告書に不記載があった場合、その金額を国庫に返納するなどの独自案をとりまとめる方針で、今週26日から始まる政治改革を議論する特別委員会に臨みたい考えです。

政治資金規正法改正 自民党は「連座制」に慎重姿勢

齋藤慎太郎キャスター:
自民党の政治刷新本部が始まりました。これまで自民党の裏金事件で刑事処分の対象となった人たちを見ていきます。

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【安倍派】谷川弥一衆院議員と秘書、大野泰正参院議員と秘書、会計責任者
【二階派】元会計責任者、二階俊博会長の秘書
【岸田派】元会計責任者

議員で刑事処分の対象となったのは、谷川議員と大野議員の2名のみとなっています。

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今回、議論されているのが「連座制」です。「連座制」とは、「会計責任者だけではなく政治家自身も責任を負う」というものになります。

これに対し、4月13日に自民党の茂木幹事長は「会計責任者が、秘書が、ということだけで終わりにしない。きちんと政治家が責任を持てるような体制・制度を作っていく必要がある」と話しています。

また、3月4日の参院予算委員会で岸田総理は「法改正を通じて会計責任者のみならず、政治家自身の責任についても明確化厳格化する」と話しています。

「連座制」について各党の姿勢を見ていきます。

▼自民党:△「慎重」な姿勢
▼公明党:○「導入」に前向きな姿勢
▼立憲民主党などの野党:○「導入」に前向きな姿勢

収支報告書の「確認書作成」義務付けか 自民党の「独自案」

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自民党は23日に「独自案」をまとめています。

【従来】
会計責任者などが収支報告書を作成し、不記載や虚偽記入があった場合、会計責任者などが責任を負う

【改正後】
会計責任者などが収支報告書を作成した後、議員が必ず確認を行い確認書を作成することを義務付ける

こうした「独自案」をとりまとめているということです。

井上貴博キャスター:
これまでも岸田総理はことあるごとに「私の責任で全てを変える」と話していましたが、結局、現状では「連座制」には慎重、政策活動費廃止にも慎重、企業団体献金禁止にも消極的となると、「何なんだろうな」と思ってしまいます。

党内調整ができなかったんだろうと思いますが、岸田総理にはリーダーシップの「リ」の字もないと感じてしまうところがあります。

ホラン千秋キャスター:
これまでも「会計責任者が独自でやったことです」「秘書の独自の判断です」という文句を聞いたように思います。

自民党、なぜ「連座制」に後ろ向き?

なぜ自民党は「連座制」に後ろ向きなのでしょうか。自民党本部で取材をしている長田記者に話を聞きます。

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TBS報道局 政治部 与党担当 長田ゆり記者:
「連座制」の導入に自民党が慎重なのは、議員の身分そのものに影響を及ぼす可能性があるためで、理由は主に2つあります。

▼1つは会計責任者や秘書が収支報告書に故意に不記載を行い、議員が辞職に追い込まれる悪質なケースを懸念する声が党内で多く出ていること。▼2つめは誤記載などの単純ミスだった場合、国民の代表を選ぶ選挙での不正行為と同じように扱い、議員本人の責任を問うことが適切なのか、慎重な意見が多いことです。

このような経緯から、自民党案では収支報告書の内容に間違いがないことを示す「確認書」の作成を議員本人に義務づけることで、これをいわゆる「連座制」と説明し、野党協議での落としどころにしたい考えです。

ーー連座制だけでなく政策活動費についても自民党は消極的です。なぜなのか?

政策活動費の使途の公開については、党内でも意見が割れています。

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政策活動費を受け取っている党幹部は「党の方針が他の政治勢力などに明らかになることは配慮すべき」として、政治活動の自由の観点から消極的な立場です。

一方で、党内からは「原則課税もされず、使途も公開されないお金は理解されない。国民の知る権利のためにも使途を全て公開し、そのうえで選挙で国民の審判を仰ぐべき」との声も上がっています。

今回、派閥の裏金事件の当事者である自民党が他党に比べ、独自案をまとめるタイミングが遅れたことで、野党からは自民党の自浄作用や本気度を疑問視する声が大きくなっていて、国民の信頼回復に向けた道のりは険しさを増しています。

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