学校では今 【第5回】「クラス替えはなぜあるの?」-小泉和義-

学年末が近づいてきました。4月から上級学校に進学するお子さまをお持ちのかたは、新しい生活に向けた準備で忙しくなることでしょう。それ以外のお子さまも、1つ学年が上がりますね。皆さん新たな気持ちで、学校生活をスタートさせてほしいと思います。学年が上がる際に、気になることの一つは「クラス替え」ですね。今回はクラス替えについてお話しします。


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「今のクラスは良いクラス?」

小学校では2年に一度、中学校、高校では毎年クラス替えを行う学校が多くあります。クラスに馴染めず、クラスの中に居場所を見つけられなかった子どもにとって、クラス替えは良い契機になると思います。その一方で、せっかく仲良くなった友達と、別のクラスになるのは嫌だなーと思ったり、自分のことを理解してくれる担任の先生が変わってしまうのは困ると感じたりする子どももたくさんいると思います。しかし、そうした思いを抱く子どもにとっても、クラス替えは人間関係を広げる良いチャンスだと思います。

クラス編成の方法は、各学校の方針によってそれぞれ違うと思いますが、一般的には、学力と人間関係のバランスを考慮して決められます。たとえば1学年に3クラスある場合、3つのクラスごとの学力が、おおむね均質になるようにします。また、友達関係が極めて悪い子ども同士は別々のクラスにしたり、場合によっては、心のケアを考慮して仲の良い子ども同士をあえて同じクラスにしたりすることもあります。それ以外にも、運動のできる子、音楽ができる子などを加味してクラスを組むなど、先生方はいろいろな条件を組み合わせながらクラス編成をしていくのです。

それでも子どもから見れば、新しいクラスに不満もたくさん出てくることでしょう。そこで、学年末の今、ぜひ子どもに「今のクラスは良いクラスかどうか」を聞いてみてください。1年前、新学期がスタートしたころは「このクラス好きになれない」と思っていたかもしれません。でも、1年間同じクラスで一緒に生活をしていくなかで、仲良しの友達が増え、居心地が良くなったと感じる子どもも多いのではないでしょうか。



勉強のことも、それ以外も話せる仲間

ベネッセ教育研究開発センターが行った調査では、「仲間はずれにされないように話を合わせる」という子どもの割合が増えています。クラスの中で、本音を出し合える人間関係づくりがしにくくなっているのかもしれません(下図参照)。


【図】仲間はずれにされないように話を合わせる

※出典 Benesse教育研究開発センター 『第2回子ども生活実態基本調査』(2009<平成21>年)


学校の先生方は、いろいろな工夫をしながらクラスづくりを進めています。たとえば、小学校では春に運動会を実施することが多くなりました。その理由は、新学年になった早い時期にクラスの団結力を高めたいという狙いがあるからです。また、授業の中で子ども同士の「学び合い・教え合い」を積極的に取り入れる学校が増えています。学力を効果的に高めたいという狙いだけではなく、勉強のことも勉強以外のことも話せる関係性をつくることで、クラスの中で子ども同士が本音で語れるようにしたいという狙いもあるのです。
クラスは1年間かけて、さまざまな工夫や取り組みを通じて、担任とクラスメートの間でつくり上げられていくものなのだと思います。

新しいクラスは、子どもにとっても保護者にとっても初めは不安が大きいですが、1年後には「きっと素晴らしいクラスになる」と前向きに捉えてほしいと思います。もちろん、クラス替えが必ずしもうまくいくケースばかりとは限りません。クラス替えをきっかけに、いじめ問題に発展してしまうこともあります。そのため、すべてを学校任せにしておいて良いわけではなく、授業参観や面談、学校行事を通して、クラスの雰囲気や友達関係を保護者の立場として把握しておくことも大事だと思います。

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プロフィール


小泉和義

ベネッセ教育総合研究所 主任研究員。全国の小学校、中学校、高等学校などの現場を取材し、子どもたちの実態や学校での指導課題を踏まえ、「今」と「これから」の教育に必要なことは何かを発信し続けている。

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