同僚の問いかけに食い気味に答える「厳しくてせっかち」なビンセント(左)(10巻#93「訓練開始」)
同僚の問いかけに食い気味に答える「厳しくてせっかち」なビンセント(左)(10巻#93「訓練開始」)

 新型コロナで大波乱となった2020年の就活も、多くの企業で内定式が行われる日を迎えました。
 就活支援の特別編として、「保全性」「拡散性」「受容性」の高い学生の方々に対して就活のアドバイスをしてきました。今回は「弁別性」を取り上げます。来年以降も活用できる内容と自負しておりますので、就活継続中の方も、来年就活の方も、ぜひ引き続きご覧ください。

 「弁別性」の高い人は、何らかの根拠(データ、経験)を基に「必要」か「必要ではない」かを常に考え、「必要」と判断したものを直ちに選択します。
 合理性や投資・費用対効果を重んじ、効率的に物事を進めようとします。

 こう言うと、よくいる「コスパ」指向の人のようですが、「弁別性」が高い人は、それとはひと味違う凄みを感じさせます。

 「それって意味あるの?」が彼らの口癖です。
 そう問われた相手が、「まだ分からないけど、やってみたい」と答えようものなら、「意味のないことはやらない」とバッサリと切り捨てることも。

 「白か黒か」の線引きが明確で、幅というか、“アソビ”がないのです。

 また、自分の部屋には、機能性重視で必要なものしか置きません。最近流行のミニマリスト的な面もあります。

 自分自身に、こうした思考・行動特性を感じる方は、FFS理論(※)でいえば「弁別性」が高い人、と言えます。

※5つの因子とストレス状態から、その人が持つ潜在的な強みを客観的に把握することができる理論(開発者:小林 惠智博士)。詳しく知りたい方は書籍『宇宙兄弟とFFS理論が教えてくれる あなたの知らないあなたの強み【自己診断ID付き】』か、こちら

 合理性を重視する「弁別性」の特性は、ビジネスの世界ではたいていの場合有利に働きます。

 「弁別性」の高い人は、好き嫌いといった感情に左右されにくく、根拠に基づき最適解を求めようとします。物事を客観的に判断し、ゴールに最短距離で到達する方法を選べる人は、組織でも高く評価されることが多いでしょう。

 ところで、「合理的」とよく似た言葉に、「論理的」があります。

 合理的思考と論理的思考。どちらもビジネスパーソンには必要な思考です。よく似た意味なので混同しやすいのですが、FFS理論ではこの2つを明確に区別しています。

 まず、2つの言葉の意味を辞書で確認してみます。

論理的=1:論理の法則にかなっているさま
合理的=1:道理や論理にかなっているさま
    2:物事の進め方に無駄がなく能率的であるさま

 どちらの言葉も、「1:論理の法則にかなう」という意味は共通していますが、「合理的」にはさらに「2:無駄なく、能率的である」という意味があります。

 1と2の大きな違いは、1の論理的な思考は、基本的に訓練によって身につけることができるのに対し、2の合理的な思考は、訓練では身につけることができない、ということです。

 FFS理論が定義する「合理的」とは、意図せずとも「ムダなく、能率的にしてしまう」状態のことを指します。無意識のうちに、ムダを省いてしまうのです。つまり、合理的思考は、訓練で身につく能力というよりも、「弁別性」という個性に起因する能力と考えるのです。

 さらに言えば、合理的思考を備えた「弁別性」の高い人は、論理的思考とも相性がいい。つまり、他の因子が高い人よりも、訓練によって論理的思考を身につけやすいのです。論理的思考は、仮説・検証を繰り返して方針を導いたり、物事を構造的に捉えて全体像を客観的に捉えたりするうえで必要な能力です。

 さて、今回のテーマである就活に話を戻すと、「弁別性」の高い学生は、就活でも論理的・合理的思考を披露できるため、一次面接くらいまでは難なくクリアしていきます。

 ところが、それより先になると、内定まで進む学生と、苦戦する学生とに分かれます。

 面接官に好印象を与えるはずの論理的・合理的思考を備えながら、就活に苦戦する学生がいるのはなぜでしょうか。

 それは、弁別性の「合理的である」という特性が、うまく活かせば強みとなる一方で、それが裏目に出ると、機械的で冷たい印象を与えたり、「損得勘定で動く、自己都合な人」と思われたりするからです。特に、未熟な人の場合、「弁別性」の特性がネガティブに出ることがあります。

志望動機に熱い思いが感じられない

 内定が決まらず、就活に苦労したTさん。面接ではこんなやり取りがありました。

面接官:「なぜうちの会社に興味があるの?」

Tさん:「御社は業界トップで、知名度があるので、もし自分が営業に配属されたとしても、楽に働けそうだと感じました。また、育成環境が整っていることも安心です。有給消化率、離職者の少なさ、報酬額とその伸び率も魅力的に感じました」

 あなたが面接官だったとしたら、この志望動機を聞いて、どんな印象を受けるでしょうか。

 Tさんは、その会社の魅力を伝えたつもりかもしれませんが、面接官にしてみれば、「Tさんにとってこの会社が、いかに都合がいいかを並べただけ」に聞こえたでしょう。

 合理性を重んじる「弁別性」の高い人は、「何をやりたいか」よりも、「いかに楽に稼げるか」で会社を選ぶ傾向があります。投入する時間と労力が、効率よく換金される組織、というわけですね。

 ですので、会社を選ぶ基準は、勤務体系や教育、福利厚生など、仕事というよりも労働条件になりがちです。

 労働条件が変われば、「白(行きたい会社)」が「黒(行きたくない会社)」に変わることもあるので、会社を絞り切れないことも多いのです。

 Tさんの志望動機には、もしかしたら会社や将来の仕事に対する熱い思いがあったのかもしれません。しかし、そこを打ち出さなかったため、内定獲得に至らなかったと考えられます。

自分に必要ない人間とは付き合わない

 合理性を重視する(してしまう)「弁別性」が高い人は、面倒な人間関係を避けようとする傾向があります。

 「役に立たない」と判断した相手とは、たとえ同じサークルの仲間でも、わざわざ関係を構築しようとはしません。人間関係も白か黒かに分けるので、自分に必要ない相手と思えば、バッサリと切り捨ててしまうこともあります。

 誤解してほしくないのですが、このタイプの特性が「悪い」というわけでは決してありません。それは個人の生き方の選択肢の1つとして、十分納得できるものです。

 ただし、すべてを自己都合で切り捨てていると、本人の気づかぬうちにチャンスを逃して、よりよい結果につながらなかったりします。

 経験豊富な面接官には、そうしたこともお見通しです。「この学生は、社内の人間関係や仕事先との付き合いを「合理的」にやりすぎてしまいそうだな……」と見抜いて、「これまで人間関係を避けてきたみたいですね」と、切り込んでみたりします。

 学生側は図星を突かれて、「え?」と一瞬口ごもりますが、嘘をぱっとつける個性ではないため、「そんなに人間関係って大事ですか?」「どんな人でも、必要であれば、仲良くなることができますよ」と、言わなくてもいいことを口走ってしまうのです。

 情報を基に物事を判断する「弁別性」の高い人にとって、条件の提示は自然かつ当然の行為です。ところが、「人間関係も条件次第で判断する」ところを面接官に暴露してしまえば、「この学生は機械的で冷たい」という印象を与えかねません。

 そもそも「弁別性」の高い人が人間関係を避けたがるのはなぜでしょうか。  人間関係につきものの「感情」を煩わしく思うからです。好き嫌いといった感情が絡めば、客観的な判断がしにくくなります。

 例えば、仲間と旅行に出かけるとします。
 「弁別性」の高い人は、「最短・最速でムダのない方法で行きたい」と考えます。乗り継ぎや徒歩での移動手段、宿泊施設も含めてあらゆる情報を集めて、その中から一番合理的な行き方を選択しようとします。

 一緒に旅行する仲間が皆、同じようなタイプなら問題はありませんが、中には“鉄オタ”がいて、「ローカル線でゆっくり旅したい」と言い出すかもしれません。あるいは「僕はホテルとか決めてからの旅行って全然したくないんですよ」という人もいるでしょう(例えばこの方。「『自分を嫌いな上司』の真実が分かる本」)。

 ところが、「弁別性」の高い人は、「ローカル線の旅なんて時間のムダ」と考えて、仲間の気持ちに思いを寄せることなく、仲間の意見を却下しがちです。

ビンセントは、良くも悪くも他人に容赦がない(10巻#94「いつも心に万歩計を」)
ビンセントは、良くも悪くも他人に容赦がない(10巻#94「いつも心に万歩計を」)

 人と交流しなくて済むように、学生時代は部活には参加せず、帰宅部を選択する人も多いでしょう。家で誰にも邪魔されず、読書三昧で過ごすこともしばしばです。

 アルバイトも、面倒な人間関係を避けて、効率重視で選びます。例えば、システム開発のアルバイトのように、自宅で一人でできて、時給の高いアルバイトを好みます。

 私の学生時代の知り合いは、「ハッカー的な仕事」を請け負っていましたが、彼も「弁別性」の高いタイプでした。時間や場所を自由に選択できて、時給も相当高いので、彼にとっては最適なアルバイトだったはずです。
 また、そのために必要と判断すれば、高度なスキルの獲得も厭いません。

「できる。でも、伸びしろがない」と思われる

 無難に何でもこなす「弁別性」の高い人は、就活でも「優秀」と評価されます。

 とはいえ、「いま優秀」なだけでは即採用、とはなかなかなりません。
 面接官が採用したいと思うのは、「地頭の良さ」は当然ですが、潜在的な可能性、すなわち「伸びしろ」のある人です。

 伸びしろとは具体的に何なのかといえば、入社後の新しい環境における対応力、つまり「素直さ」や「感受性の豊かさ」です。採用においては、これらの要素が重要視されるのです。

 ところが、最短・最速で生きて来た証としての「ムダのなさ」には、その辺りの要素があまり感じられません。
 そこが、面接官への印象を悪くしてしまうことがあります。「そこそこ優秀だけど、入っても伸びしろがないな」と思われるわけです。

 また、感情を持つ人間の営みであるビジネスには、理不尽さがつきまといます。
 誰もがスパッと物事を割り切って、投資対効果を最大化できる最適解を選んでいるわけではありません。

 例えば、一緒に働く仲間の気持ちをくみ取ったり、悩んでいる相手に寄り添い、飲みながら愚痴を聞いたりすることも時には大切です。「弁別性」の高い人には、ムダに思えるかもしれませんが、「人としての余裕」を感じられるかどうかも、採用面接では問われるのです。

ムダを嫌い、合理性を重んじるのは正しい。けれど

 就活中の「弁別性」の高い学生の方へのアドバイスとしては、まず、そんな自分を「理解」していただきたいと思います。

 就活ではよく「自己理解」という言葉が使われますが、自分の「ムダが嫌い」「コスパを意識する」ところで止めていないでしょうか。さらに奥に入って、「(他人がちょっと引くくらい)合理性を重視する」ところまで、見つめてほしいのです。
 それが、おそらくあなたが常にうっすら感じている、周囲との違和感の原因です。

(これは「拡散性」「凝縮性」が高い方にも当てはまります。「受容性」「保全性」が高い人が多数派の日本社会では、その他の3因子が高い人は、どうもうまくかみ合わないことがある、と感じがちなはずです)

 「自分は周りの人とは違う」という感覚はあっても、その違和感の原因が何なのか、はっきりと把握している人は少ないのではないでしょうか。そこを言語化できることこそが本当の「自己理解」です。

 「弁別性」の高い人は、とにかくムダを嫌い、合理性を重んじます。
 しかし、世の中は皆、そんなに合理的に動いているわけではありません。まずは、そのことを認識する必要があります。

 自己理解を深めるためにおすすめしたいのは、「他者理解」です。他者との違いを相対的に理解することで、一層の自己理解につながっていきます。

 例えば、「拡散性」の高い人は興味関心が最大のモチベーションになり、自分が「面白い」と思うことにはテンションが上がります。
 「保全性」の高い人は、効率や合理性よりも、仲間と一緒であることを好みます。
 「受容性」の高い人は、相手の幸せが自分の幸せと感じます。周りの人たちの気持ちをおもんぱかるため、周りの人たちの気持ちに影響されて、一喜一憂しやすいのです。

 以上、合理性を好む「弁別性」とは対照的な因子を紹介しましたが、このように見てみるだけでも、人の個性はそれぞれ違うことが分かります。違うということは、個性の異なる相手とは誤解も生じやすいということです。

 「合理的である」という弁別性の特性は、それがネガティブに出た場合、「機械的で冷たい」という印象を相手に与える恐れがあります。面接ではそのことに留意しながら、自分の特性をポジティブに表現できるように心がけてみましょう。

 つまり、データに基づいて先を読める先見性と、何事にも合理的に対応できる能力。これが「弁別性」の高いあなたの武器なのです。

割り切れない人間関係にも学ぶべきことはある

 就活までにまだ余裕がある1、2年生の方々には、ぜひ、矛盾をはらんだ「人」という存在との密な関係を体験していただきたいと思います。

 未熟なうちは、自分の損得だけで計算して、最適解を見つけようとします。しかし、経験の浅い自分だけの判断基準で割り切っても、いい結果が得られるとは限りません。しょせん、そこそこのレベルで終わってしまいます。

 「弁別性」の高い人が成長するには、社会で揉まれる中で、合理性だけで割り切れないことがあることを学びつつ、一見すると「役に立たない」と思うことを大切にすることで、長期的には成功に近づくことを理解する必要があります。

 そんな曖昧で割り切れないものを受け入れるのは、非合理的だと思うかもしれません。しかし、「弁別性」が高く「優秀だ」と他人から評価されている人は、自分の下手な計算よりも、計算を超えた人との縁や人間関係によって結果が最大化することを、実証により知っています。

 ですから、何事にも都合を考えず、誘われるままに体験してみることも大切なのです。しかも、できるだけ密に関わって、泥臭い体験にあえて飛び込んでみることです。

 割り切れない状況を理不尽だと感じたり、やっている意味が分からないと悩むこともあるでしょう。

 そのようなときは、自分で納得のいく新たな判断基準で線引きすれば、理不尽さを解消できます。つまり、曖昧模糊とした状況や関係にも、「何らかの意味はある」と割り切ればいいのです。

 理不尽と感じるのは、自分が決めた判断基準に合わないからです。だったら、理不尽のラインを少しずらして、「理不尽に見えるが、意味はあるはず」という認識に変えればいい。

 なんだかムチャクチャを言っているようですが、実は、合理性がないと行動するのが辛い「弁別性」の高い人は、何か「理由がある」と思えさえすれば納得でき、力を発揮する、という強みも持っているのです。

無人のはずの月基地に人影が……

 「理不尽なことにも意味がある」と認識する。これは具体的にどういうことでしょうか。

 これを教えてくれるのは、人気漫画『宇宙兄弟』に登場するNASA宇宙飛行士のビンセント・ボールドです。彼の登場シーンから、「弁別性」の高い学生が参考にすべき振る舞いを紹介しましょう。

 ビンセントはムダなことが大嫌い。「弁別性」が高いタイプです。(ビンセントの「弁別性」の高さを解説した過去記事はこちら→「褒めてくれない“冷たい上司”とストレスなく付き合うには」)。

 前回、「リモートワークのストレス」について解説した際にも書きましたが、『宇宙兄弟』の最新刊(38巻)では、主人公の宇宙飛行士・南波六太(ムッタ)と同僚のフィリップ・ルイスが、他の仲間が地球へ帰還した後も、2人だけで月面残留を余儀なくされています。いわゆる「リモートワーク」の状態です。

 しかも、彼らが取り組む月面プロジェクトは非常に難易度が高く、2人はかなりのストレス状態に追い込まれています。

 ムッタとフィリップが、滞在中のムーンベースから、少し離れた小型基地へと移動したときのこと。2人が建物に足を踏み入れると、無人のはずの基地内に、人影がありました。

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34巻#355「smile」
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 「誰かがいる」と思った相手の正体は、管理用ロボットでした。2年前、この基地の建設に関わった日本人宇宙飛行士の紫三世が、後からやってくる宇宙飛行士を驚かそうと仕込んだイタズラだったのです。

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34巻#355「smile」
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“アソビ”を受け入れたビンセント

 ビンセントは、かつてムッタがアスキャン(宇宙飛行士訓練生)時代の指導教官だった人物です。ムッタが知るビンセントは、ムダをトコトン嫌い、自分にも相手にも厳しい合理主義者でした(ただし、見込んだ相手には手を差し伸べる優しさがあります)。

 普段のビンセントなら、「イタズラなど時間のムダ」と一蹴しそうです。それなのに、紫のイタズラを容認したことに、ムッタは驚いたのです。

 合理主義者のビンセントが、紫の“アソビ”を受け入れたのはなぜでしょうか。

 ムッタとフィリップがストレス状態にあることは、ビンセントも気づいていました。今後の作業を成功させるためには、「何かガス抜きになるようなことが必要かもしれない」と思っていたところに、紫が2年前に仕掛けたイタズラの話を聞いたのでしょう。「これは2人にとって気分転換になる」と明確に判断したのだと推察します。

 イタズラを「馬鹿らしい」と切り捨てるのではなく、ムッタとフィリップには「意味のあるイタズラ」として、受け入れる合理に到達したのです。

「弁別性」が「素直さ」を持てば鬼に金棒

 現実の世界でも、実際に超アナログなサービス業に身を置き、「泥臭いことを受け入れることの合理」に行き着いた「弁別性」の高い人物を2人ほど知っています。

 彼らは、普段はドライな面は一切見せません。どちらかと言えば、ニコニコしています。

 相手が話しやすいよう、笑顔でうなづいたり、自ら盛り上げ役を買って出たりして、和気あいあいとした雰囲気を作っていきます。その結果、短期間に親密な人間関係を構築することができているのです。

 彼らも若い頃は、ドライな個性ゆえに損をした経験がありました。自己都合で人間関係を割り切っていては誰もついてこないことを学び、「仲間を作る合理」にたどり着いたのです。

 仲間と親密な人間関係を築くことで、仕事をスムーズに進めることができ、その結果として「最短を実現している」、ということです。

 この原稿の中ほどで、面接官が学生の皆さんに期待しているのは将来的な伸びしろであり、それは新しい環境に対応できる「素直さ」や「感受性の豊かさ」である、と書きました。

 「素直さ」や「感受性の豊かさ」と聞いて、「自分は何事にも白黒つけたい性質だから、自分には無理だ」と思う人もいるかもしれませんが、それは違います。

 私がお伝えしたいのは、自分の個性を活かすための素直さを持っていただきたい、ということです。

 何事にも合理的に対応できる能力は、ビジネスの世界では強みです。

 その合理性を、自分の損得勘定だけに使うのではなく、一緒に働く仲間や顧客の幸せのために使うことを学びましょう。割り切れない他者との関係にも意義を見出し、ある程度の理不尽も飲み込む合理にたどり着いたとき、大きく成長できるはずです。

 自己都合の割り切りをしている限り、「弁別性」の強みは発揮されません。状況に合わせて条件を変え、必要であれば曖昧さや理不尽さも受け入れられるよう視座を高めていく。これが「弁別性」の素直さだと私は考えます。

© Chuya Koyama/Kodansha
(構成:前田 はるみ

38巻#358「National Aeronautics and Surprise Administration, NASA」
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