6月2日は路地の日
(写真:ブリュッセルの美しい路地。2016年)
今日、6月2日はなんと路地の日なんだって!とsoftwindさんが教えてくれたので、路地オタクの私としてはこれを取り上げないわけにはいかない。
わーい、路地の日おめでとう。今日は路地や袋小路の話をしたい。
ブリュッセルや他の都市にも、ひっそりと隠れたところに魅力いっぱいの路地や袋小路があるのだ。
(ブリュッセル)
もうかなりの数、写真に収めている。
先日、TVを見ていたら「自分は撮り路地(とりろじ)です」と名乗る人が出ていて、三軒茶屋の狭い通りの写真を撮っていた。ほら「乗り鉄」「食べ鉄」ときて「撮り鉄」というときの、あの「撮り○○」のノリだよね。へえ、私の仲間じゃないのと思って嬉しかった。
なぜ日本には袋小路の標識がないの?
あるとき、東京在住のオランダ人にそう聞かれた。
「向こうへ抜けられるだろうと思っていると、行き止まりってことよくあるんだよね。標識を立てておいてくれればいいのに。そう思っていたら知り合いの日本人が、日本には”袋小路”を表す決まった標識はないって言うんだ。本当なの?不便じゃないの?」
文字で「この先通り抜けできません」と書いてあるのをよく見かけるけど、あれは標識ではなく、看板扱いなのだという。やっぱり標識はないらしい。
アメリカではこれ。DEADってちょっと怖いなあ。もちろんほかの言い方も英語にはある。念のため。
国連が採用している文字がなくてもわかる「行き止まり」標識。
さきほどのオランダ人の発言には、袋小路に入っちゃって時間のロスだった、という意味合いがあると思う。標識があれば入らなかったのに…。つまり迷惑なものと考えているのかな。
袋小路を楽しむ発想
東京には我が家のまわりにも、あちこちに袋小路があって、そこは小さな子供が遊んでいたり、植木が所狭しと並べられていたりして、住民の憩いの場になっている。車も入れないから猫ものんびりしている。いい場所だと思う。
以前新聞で読んだ記事に、”袋小路は「まちの個性」 東京・向島で夜の路地ツアー”というのがあった。夜の下町の細い道や袋小路を、ガイド付きでめぐる体験ツアーである。すばらしいアイディアだと思った。
ブリュッセルの袋小路
ブリュッセル市も、個性ゆたかな小路と袋小路のリストを作っていて、徒歩や自転車でまわるプランを提供している。ただ住民が住んでいるので、もちろん中には入れない。
ひとつ例を挙げると
(写真:「ワルシャワ袋小路」という名前。19世紀にポーランド人が集まって居住していたからだという。フランス語:Impasse de Varsovie (Bruxelles)
このように鉄のゲートがあって、住民だけが通れる。郵便受けも外にあるでしょ。
じゃ、中の様子はわからないの?
いえ、わかります。私はこんなガイドブックを持っているので、中がどうなっているかお見せしよう。
細い路地の奥に、六棟の集合住宅が建っている。東京にもこのタイプはよくある。
ボンエルフ(woonerf)
ボーンエルフとも。写真の青い標識です。日本語ではいわゆる「コミュニティ・ゾーン」というもの。
写真:アントウェルペンのホテルの横。2016年3月撮影
子どもとボールの絵からわかるように、子どもはここで遊んでよく、自動車も走れるが歩行者の速度程度(だいたい15km/h)を保つことが求められている。
これは生活道路において、自動車と歩行者・生活者との共存を図る目的で、考え出された。1971年にオランダのデルフトで、生活道路に車が進入するのを防ぐため、住民たちが花壇や敷石を置いたのが始まりであるという。
”woonerf”はオランダ語で「生活の庭」という意味で”Erf”と短く言っても「コミュニティ・ゾーン」を指す。
ボンエルフの区間では、車のスピードがでないように、また一直線に走れないように、花壇を置いたり、車道を蛇行させたり、不規則な曲がりが度を設けたりするのだという。
なお「コミュニティ道路」「コミュニティゾーン」などの語は和製英語。英語では
・living street、
・home zone(イギリス)
・shared zone(オーストラリア)などと呼ぶそうだ。
日本でも国土交通省が推進している。
すでにいくつもあるので驚いている。
さいごに
袋小路ではなく突き抜けられるが、とってもおもしろい路地にあるビアカフェへお連れします。人に教えてもらわないと最初はわからないし、ちょっとドキドキする。
店の名前: A l'imaige nostre-dame
看板が出ているからビールが飲めることはわかる。
細い路地を行くと、右手に入り口のドアがある。その写真は撮っていないけどね。
中はこんな風。お客さんがいるので、かなり遠慮して撮る。
いいでしょう?
テロの心配がなければしょっちゅう行きたいんですけどね。