世界の気候区分は大まかにわけて5つ。地球に四季がある理由とは?/面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ

スポーツ・科学

更新日:2022/7/20

植生や気温、雨の降り方で気候を分類したケッペン

 しかし、実際には地球の気候区分はここまで単純ではありません。日本は温帯に位置するはずですが、沖縄と北海道ではずいぶんと気候が違います。また、同じ熱帯に位置する場所でも、年中雨が降っている場所もあれば、あまり降らない場所もあります。雨がたくさん降る場所では樹木が生い茂りますが、ほとんど降らない場所では砂漠になったり、乾燥に強い植物がまばらに生えたりしています。そして、それぞれの環境に適応した動物が暮らしています。

 ドイツの気候学者ケッペンは、植物の分布に注目して、気温や降水の様子をもとに世界の気候を分類しました。これが学校の地理の授業でも学ぶ気候区分です。ケッペンの気候区分の分布は複雑なので、本書では「熱帯」「乾燥帯」など、章ごとに詳しく紹介していきます。

面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ

地球に四季がある理由

「地軸の傾き」が四季を作る

 日本には四季があります。熱帯は常夏の国ですが、北極では、夏は常に太陽が沈まない「白夜」となり、冬は1日中太陽が昇ってこない「極夜」になります。このような季節の変化は、地球の地軸が傾いて太陽のまわりを公転(1年をかけて1周)することで起こります。

 また、地球は北極と南極を結ぶ「地軸」と呼ばれる軸を中心にしてコマのように自転(1日に1回転)します。この地軸は約23.4度傾いています。

 次のページの図は地球が太陽のまわりを公転するときの、地球への太陽の光の当たり方を示しています。また、北極点・北半球・赤道・南半球・南極点の5ヵ所で、地上から見ると太陽がどのような動きをするのかもそれぞれ示しています。

面白いほどスッキリわかる! 世界の気候と天気のしくみ

 夏至になると、北極では太陽が地平線に対して水平の動きをして、沈みません。これが白夜です。一方、南極では太陽が一度も昇りません。これが極夜です。北半球の太陽高度は高く、空を遠回りするような形で斜めに太陽が動きます。南半球では太陽高度が低く、空をショートカットして進みます。冬至では太陽の動きが夏至とは逆になります。

 春分・秋分では、北極点・南極点で太陽は地平線すれすれを通ります。その他の地域では真東から真西へと太陽が通り、昼と夜の長さがほぼ同じになります。

 なお、赤道では年間を通じて地平線と垂直に太陽が昇り、沈んでいきますが、季節によって太陽のルートが北寄りから南寄りまで移動し、春分・秋分でちょうど真東から真西へと通るルートになります。

 もし、地軸が公転面(黄道面)に対して垂直であれば、太陽はつねに赤道の真上にあるため、季節の変化はなくなります。逆に、地軸が公転面に対して水平であれば、極端に昼の長い夏と極端に夜の長い冬ができ、季節変化が激しくなります。23.4度の傾きが、ほどよい季節変化を生み出しているというわけです。

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なぜ赤道付近は暑くて北極・南極は寒いのか

 赤道付近が暑く、北極と南極が寒い理由は太陽高度にあります。日本では、夏は太陽高度が高く、冬は低いです。太陽高度が高いと、地表は太陽のエネルギーを効率よく受け取ることができます。それはなぜなのでしょうか。

 高度が高いということは、地平線と太陽の角度が大きいということ、すなわち、地面に対し垂直に近いということです。逆に、高度が低いということは、水平に近くなります。

 太陽高度と太陽エネルギーの量の関係を知るには、懐中電灯を持って、地面を照らしてみるとよくわかります。懐中電灯で真上から地面を照らすと、照らされた部分の形は円になり、明るく光っています。しかし、低い場所から斜めに地面を照らすと、照らされた部分は楕円形になって面積は広くなるものの、暗くなります。つまり、同じ光の量が降り注ぐ場合、真上から照らすほうが、面積当たりの光のエネルギーが大きくなるのです。

 先ほどの、四季折々の太陽の動きについての図を見ると、赤道では年間を通じて太陽高度が高いことがわかります。一方、北極点では、春分から夏至を経て秋分までの間しか太陽が出ていないうえ、夏至であっても太陽高度は低いです(南極点の場合は秋分から冬至を経て春分までの間)。北極点の場合、夏至の太陽高度は23.4度です。東京の冬至の南中高度は約31度ですから、冬至の東京よりも夏至の北極点のほうが太陽高度が低いことになります。このような要素ひとつを挙げても、赤道付近に比べて北極・南極では、太陽から受け取るエネルギーが少ないことがわかります。

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 また一方で、地球は太陽から受け取ったエネルギーと同じ量のエネルギーを宇宙に向けて放出しています。地球のエネルギーは、地球のあらゆるところから、夜であってもコンスタントに放出されています。となると、赤道付近では太陽から受け取ったエネルギーのほうが地球から宇宙に放出するエネルギーより多くなり、北極・南極ではその反対になります。

 そのため、赤道付近はどんどん暑くなり、北極・南極はどんどん寒くなっていくのです。しかし、実際には北極や南極は年とともに寒くなる一方、赤道は暑くなる一方にはなりません。それはなぜかというと、大気や海洋がぐるぐる回り、地球上の不均衡な熱をならしているからなのです。

<第2回に続く>


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