「本音が言えない職場」をつくるヤバい上司の正体

どんどん本音が言いづらくなる「風通しの悪い職場」は、なぜ生まれるのだろうか。また、本音を言い合える職場に変えていくには、上司はどうすればいいのだろうか。
コロナ禍にもかかわらず売上前年比109%を突破し、快進撃を続けている「ドムドムハンバーガー」社長・藤﨑忍さんは、スタッフとの信頼関係の構築が売上アップの鍵だと語る。39歳まで就業経験なしの専業主婦から、SHIBUYA109でギャルと働き、新橋で居酒屋を開業し、その後、入社9ヵ月でドムドムハンバーガーの社長へ大抜擢……と、多くの人に信頼され、さまざまな場所で結果を出し続けてきた藤﨑さんが、組織を変えられた理由とは? 今回は『ドムドムの逆襲』(ダイヤモンド社)発売を記念し、「ガイアの夜明け」(テレビ東京系)出演でも話題の藤﨑さんに、「本音が言い合える職場」をつくるためのポイントついて取材した。(取材・構成/川代紗生、撮影/疋田千里)

ドムドムが「ノルマ主義」を撤廃した理由

――今回、取材をさせていただく前に、藤﨑さんが取り上げられていた他のメディアなども拝見したのですが、部下の方からの信頼が厚いですよね。本当に尊敬できる上司だ、と何人かの方がおっしゃっているのも拝見しました。

藤﨑忍(以下、藤﨑):うーん、本当にありがたいことですね。みんな、「社長、飲みにいきましょう」と誘ってくれますしね。とてもありがたいですし、やっぱり楽しいです、仕事をしていて。

――藤﨑さんが代表取締役社長に就任してから、まず着手されたのは「スタッフとの信頼関係の構築」だそうですね。社内改革のファーストステップとして「社内の風通しをよくすること」を選択したのはなぜですか?

藤﨑:私がスーパーバイザーとして各店舗を回るようになってから、社内の風通しの悪さは感じていました。お客様と接する現場の声が経営陣まで届き、逆に本社の方針が現場にわかりやすく伝わる状態に改善することが、再建のために必要だと思ったんです。

――たとえば一つの店舗の売上が落ちているとしますよね。「なんで売上取れてないの?」とノルマを与えて目標達成できるように指導したり……といったことは?

藤﨑:ない、ない、ないです。まったくない。私が社長になる前は、そういう雰囲気になることもありましたけどね。でも、そういう空気は変えていかなくちゃ、と思って。だって、「ああ、怒られるの嫌だなあ」と思いながら働いていたら、何かをイノベーションしていく頭には切り替わらないじゃないですか。だから、数字が取れていないという理由で部下を叱ることはありませんね。状況を聞き取ってアドバイスしたり、具体的な施策を一緒に練ったりすることはもちろんありますけど。