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「ニッチ」とは本来どういう意味?意外と知らない語源と正しい使い方

2020.12.29

“ニッチ産業”や“ニッチ市場”など、ビジネスシーンでよく耳にする「ニッチ」という言葉。最近では、 「君の趣味はニッチだね」「ニッチすぎる商品を紹介!」のように、一般的にも広く使われるようになってきた。

一方で、本来の意味や使い方をきちんと答えられる人は案外少ないかもしれない。ビジネス以外でも、さまざまな分野で使われている「ニッチ」について、この機会に理解を深め、正しく使えるようになろう。

ニッチとはどういう言葉?

実は、ニッチが一般的に使われるようになったのは最近のこと。語源を知ると、少し言葉のイメージが変わるかもしれない。

語源は英語「niche」

カタカナ語「ニッチ」の語源は、英語で複数の意味を持つ「niche」。カタカナ語「ニッチ」にもその複数の意味が引き継がれており、英語「niche」の元々の意味を知ることがカタカナ語「ニッチ」の理解にも繋がる。

英語の「niche」の語源は、ラテン語「nidus(ニードゥス)」でこれがフランス語に転じ「niche」となった。ラテン語では「巣」や「巣窟」という意味で使われ、フランス語になってからは、西洋建築で壁面のくぼみを指す「壁龕(へきがん)」 や「避難所」という意味が加わった。

フランス語「niche」を語源とする英語の「niche」は、「巣」「巣窟」「壁龕」「くぼみや割れ目」に加えて、「くぼみ”からイメージされる隙間」の意味が加わる。更にくぼみにオブジェを飾るイメージから「適所」や「得意分野」の意味も加わった。フランス語にあった「避難所」の意味は英語「niche」にはないが、カタカナ語「ニッチ」には 「(橋やトンネル脇の)避難スペース」という意味もあり、フランス語の意味合いが踏襲されている。

それぞれの分野での「ニッチ」の意味と使われ方

では、カタカナ語の「ニッチ」は、日本でどのような意味で使われているのだろうか。建築、経済、生物学の分野でそれぞれ使われ方が異なるため、使用する際は誤解を招かないよう注意しよう。

建築用語では「くぼみ」

日本の建築業界では、主に建物の一部をくぼませて作り出す空間のことを指す。住宅でも、玄関の靴箱上や、壁面にくぼみを作り、小物やアート作品を飾る棚や、間接照明用として取り入れられている。地学的には岩などのくぼみや割れ目を、都市建築的には橋やトンネルの脇に設けられる非常用の退避空間のことを指すケースもある。

経済、ビジネス用語では「隙間」

日本で最も「ニッチ」という言葉が使われるのが、経済分野やビジネスシーンだろう。規模が小さく、大企業がターゲットとしていない市場(ニッチ市場)や、まだ誰も手を付けていない分野(ニッチ産業)、万人受けではないものの一定数の需要があり、少々価格が高くても求める人がいる商品(ニッチ商品)など、現存するサービスや商品でカバーできていない「隙間」のことを指す。

ニッチは市場開拓における“穴場”であり、中小企業にとっては大きな可能性を秘めている部分だ。いかにマーケティングで見出せるか、戦略的に狙っていけるか(ニッチ戦略)が生き残りのカギになる。

生物学用語では「生態的地位」

生物学でニッチは、「適応した特有の生息場所 (生態的地位)」のことを指す。生物は、種が生きていくために適した環境を求めるが、同じエリアに多くの種が存在する場合、生存競争を勝ち抜くか、エリア内で棲み分けをすることで、それぞれの種を存続させる(例:同じエリアで日中は昼行性のワシが活動し、夜間は夜行性のフクロウが活動する)。このように、その種に適応した生態的役割や位置のことをニッチと呼ぶ。

日常会話における「ニッチ」の意味や使われ方

専門用語としてではなく、日常会話で用いられる「ニッチ」は、人や物の特徴を表す。“隙間”のイメージから、「小規模で盲点的」な、いわゆる「マニアック」や「風変わり」なイメージで用いられる(例:ニッチな趣味、ニッチすぎる商品)。

マニアック、風変わりというニュアンスは、一見ネガティブにも聞こえるが「ニッチ」という表現は、多様性が認められるようになってきた現代に定着しつつある言葉であり、“良い意味で個性的な”という意味合いが含まれる。

「ニッチな趣味だね」と評された場合、その着眼点や知識の深さに感心しての評価であるケースが多いため、ポジティブに受け入れていいだろう。

ニッチを言い換えると?反対の意味の言葉は?

最後に、ニットを言い換えたいとき、反対の意味を表現したい時に覚えておきたい言葉を紹介する。

類義語

ここまで紹介してきたとおり、「ニッチ」は分野ごとにさまざまな意味で使われる。そのため、使われる場面ごとに該当する日本語に置き換えると伝わりやすい。

例えば、建築分野では「壁龕」「くぼみ」「割れ目」、ビジネスシーンでは「隙間」(隙間産業、隙間市場など)、日常会話などにおける形容としての「ニッチ」(ニッチな〇〇)などは、「一般的ではない」「マニアックな」「風変わりな」などが適切だろう。

注意したいのが、「マイナー」という言葉との違い。どちらかというとマイナーは「少ない」「規模が小さい」というニュアンスが強く、ニッチの持つ「規模は小さいが潜在的な需要がある」という意味合いは持たない。

対義語

ビジネスシーンでニッチの反対の意味の言葉を使いたい時は、「マス(集団、集まり)」「大衆」などがおすすめ。「一般的ではない」の意味で使う場合の対義語は、「一般的」「標準」「スタンダード」などが該当する。

文/oki

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