わんちゃんの吠え、そのままにしていませんか?
人のように喋れないわんちゃんにとって、吠えること=コミュニケーションです。何かしてほしいことがあったり、訴えたいことがあるなど、吠えは自分の気持ちを伝えるための行動のひとつ。そのため、放っておいてもなくなることはありません。例えばおやつがほしくてキュンキュン、ワンワン吠えるわんちゃんを、ついつい「かわいいから……」とそのままにしていたりすると、「おやつがほしいときは吠えればいいんだ!」と覚えさせてしまい、おじいちゃんおばあちゃんになっても、おやつがほしいときはもらえるまで吠え続ける犬になってしまいます。
どうして放っておくとそんなことになってしまうのでしょうか?わんちゃんが何かをしてほしいとき、おねだりで吠えるわんちゃんを例に、放っておくとどうなるか、その一生の例を見てみましょう!
放っておくとこうなります!年代別の例を見てみましょう
パピー期(生後7カ月未満)
家に迎えたばかりのわんちゃんは、目にする人も物も初めてのものばかりで、不安でいっぱいです。「キュンキュン」という鳴き声をかわいく思う人も多いですが、これは実は吠えを覚える前の前触れ。ここでは「不安だから、誰か来て~」とおねだりしています。これに答えてしまうと、どうなるでしょうか?
ヤング期(生後7カ月~3才未満)
キュンキュン鳴いていたパピー期から成長すると、少しずつ自我が芽生え、覚えられることも多くなっていきます。新しい環境にもだいぶ慣れてきました。かわいかったキュンキュンという鳴き声も吠えに変わり始めます。パピー期の頃からの習慣が身につき、「吠えれば誰かが願いを叶えてくれる!」とすっかり覚えてしまいました。
アダルト期(3~7才未満/大型犬は3~5才未満)
アダルト期になると、もう立派な大人です。体も大きくなり、吠え声も大きく、目立つようになってきました。これまでに覚えたことがすっかり習慣として身についているので、「吠えないと願いが叶わないんだ」と思っています。
セミシニア期(7~10才未満/大型犬は5~8才未満)
さらに年をとると、セミシニア期へ。年をとって、吠えるのも大変になってきました。吠えるたびに体に負担がかかることもありますが、吠えないと願いが叶わないと信じているので、今さらやめられません。
シニア期(10才~/大型犬は8才~)
吠えを放っておいたまま、とうとうシニアまで来てしまいました。吠えるたびに体に大きな負担がかかり、わんちゃん自身もつらいのですが、一生かけて身についた習慣をなくすことは非常に困難に。周りの人にも迷惑をかけ続けることになってしまいました……。
吠えを悪化させないためには早めに対策しよう!
おねだりで吠えるときは「無視」が効果的です
いかがでしたか?子犬の頃からの吠えを放っておくと、どんどんと悪化していくことが分かっていただけたのではないかと思います。とくにパピー期は「かわいいから」とついつい甘やかしやすい時期ですが、ここで応えてしまうと、わんちゃんに「してほしいことがあるときは吠えればいいんだ!」と覚えさせてしまうことに。おねだりで吠えるわんちゃんには、徹底して無視することが効果的です。わんちゃんを無視するのは心苦しいかもしれませんが、ちょっとでも応えてしまうと、上で見た例のように、わんちゃんも一生吠え続けなければならなくなりますよね。わんちゃんのためにも心を鬼にして、おねだり吠えをしている間は目も合わせずに完全な無視を貫きましょう。わんちゃんが吠えなくなったら、落ち着いた声で静かにほめます。そうすれば「吠えても願いはかなわないから、吠えても無駄なんだな」とわんちゃんに伝わります。
一生のあいだ吠えに困らされるのは、人にとってもわんちゃんにとってもつらいことですよね。なるべく早いうちから対策を取り入れて、困った吠えに悩まされないようにしてくださいね!
参考/「いぬのきもち」2018年4月号『年代別 吠え攻略ガイド』(監修:日本動物病院協会認定家庭犬しつけインストラクター 戸田美由紀先生)
イラスト/わかばやしたえこ
撮影/佐藤正之
文/影山エマ