中国念頭に海軍力強化=近海に新基地、インフラ建設―インド 2024年03月23日

 【ニューデリー時事】インドは自国の「裏庭」と位置付けるインド洋への進出を強める中国を念頭に、海軍力を強化している。近海の島に軍事基地やインフラを建設。友好国への港湾整備支援なども通じ、中国に対抗している。
 インド海軍は6日、南西沖に浮かぶラクシャディープ諸島の最南端ミニコイ島で新基地の運用を始めた。基地には飛行場やレーダーに加え、ロシアと共同開発した超音速巡航ミサイル「ブラモス」も配備されると報じられている。
 ミニコイ島から中国が接近を強めるモルディブの最北端は約130キロしか離れていない。同基地はシーレーン(海上交通路)を監視・警備する上で重要な拠点となる他、中国をけん制する意味を持つ。
 インド紙ヒンドゥスタン・タイムズは「インド太平洋で拡張主義を取る中国の挑戦に対抗する(流れを変える)ゲームチェンジャーになるだろう」と指摘した。
 2月末には、アフリカ東岸沖のインド洋に浮かぶ島国モーリシャスに属するアガレガ諸島で、インドが建設費を負担した滑走路と桟橋が完成した。両政府は軍事目的を否定しているが、専門家の間ではインド軍の中継基地として使用される可能性も取り沙汰されている。
 インド海軍東部艦隊司令官を務めた経験があるビシュワジット・ダスグプタ氏は地元紙への寄稿で、「もしモーリシャスから要請があれば」同国の海洋安全保障を強化するため支援するだろうと指摘。インド・ネール大アフリカ研究センターのガウラブ・セン研究員は「アガレガ諸島開発は、環インド洋(の権益)を守る力を増強しているとの中国への意思表示だ」と語った。
 インドは昨年末以降、イエメンの親イラン武装組織フーシ派による商船攻撃が相次ぐ紅海周辺に軍艦を派遣。米国主導の有志連合には加わっていないものの、存在感を発揮している。海賊の取り締まりでも海軍力を誇示している。 

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