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2024.01.09

日本一詳しい「これからの大麻の話」大麻取締法改正への10の提言

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戦後最大の大麻取締法改正案が今開催されている臨時国会にて成立し官報にて公布されました。

今回の法改正による大きな変更点は、「大麻取締法」から大麻草の栽培の規制に関する法律、「大麻草の栽培の規制に関する法律」という名称に変更することです。

大麻の定義も変更され、大麻草の麻薬となる成分や大麻草の形状を有する大麻部分は全て麻薬及び向精神薬取締法の麻薬へと移行します。

つまり、これまで、麻薬と大麻とを分けていたものを、大麻を再定義することで麻薬規制下で合法なものと非合法のものとで分けるという建付けに変更されます。
今回の記事では法改正の背景、主な内容、今後の流れや課題について考えていきたいと思います。

大麻取締法改正の背景

そもそもなぜこの時期に戦後最大の大きな時代の転換となる大麻取締法改正に至ったかの経緯や背景についてお話します。

今回の法改正に至った背景は主に5点あります。

1点目は、海外、特に多くの先進国において難治性てんかんの薬としてエピディオレックス(CBD主体の製剤)が承認されていることです。WHO勧告を受けた2020年国連麻薬委員会においても「麻薬に関する単一条約」のカテゴリーで大麻が「最も危険で医療価値なし」から変更となったことなど国外での影響があります。

2点目に、てんかん患者会や学会など医療側での製剤利活用の動きが活発になり、てんかん患者会や学会が公明党・秋野議員とともに厚労省に対して要望が出ていたことです。治験も改正前に可能との国会答弁を厚労省から引き出し、現在治験も実施中です。

3点目に、伝統的大麻の栽培者が法制定以来減少の一途をたどっており、後継者育成を含め、栽培免許の見直しが必要であろうと故安倍元総理を中心に自民党内の議連の動きがあったことです。

4点目にカンナビジオール(CBD)議連(超党派、山口俊一会長(自民)・松原仁事務局長(無所属、元立憲))においてビジネスの利活用可能性を見据えた議論が行われたことです。

5点目に、近年若年層(30代未満)での大麻乱用が急増していることです。
 
私は4点目のCBD議連にて事業者側としてCBD市場についての現状や在り方について発表したり、オブザーバーとして参加させていただきました。「医療」、「栽培」、「ビジネス」とそれぞれで法改正が必要であるという流れがあり、担当課である厚生労働省監視指導・麻薬対策課が中心となり、担当省庁にも要望を行ってきました。これまで2022年・2023年の内閣府・経済財政諮問会議の「骨太の方針」にも連続して収載されています。
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政府による「骨太の方針 2022」に大麻に関する記述とは

ちなみに使用罪については別途自民党の再犯防止特別委員会の下に大麻撲滅PTがにあり、大麻使用罪の創設についての提言がありました。
(引用:赤星栄志(2024)医療・嗜好・産業・伝統における日本の大麻政策の動向.人間科学研究第21号.p43-70.)

(引用:赤星栄志(2024)医療・嗜好・産業・伝統における日本の大麻政策の動向.人間科学研究第21号.p43-70.)

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