ACリレーとDCリレーの仕様の対比

APDahlen Applications Engineer

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リレーの電圧仕様は、誤解されやすく、密接に関連したパラメータがいくつかあるため、誤った解釈をされることがよくあります。混乱の原因は、リレー自体に対する正しい理解がされていないことにあると考えられます。リレー内部には接点コイルを含む2つの電気部品があることを思い出してください。コイルが通電されると、機械的なアーマチュアが物理的に、且つ強制的に接点の状態を変化させます。

典型的な間違いは、接点の仕様とコイルの仕様を混同することです。


まずは簡単なコイルの仕様から始めましょう。リレーのコイルはACまたはDC動作用に設計されています。これはコイルの物理的な構造に関する二元的な仕様です。直流動作用に設計されたリレーコイルは、交流電源では動作しません。試してみることはできますが、アーマチュアが作動せず、リレーがブザー音を立てるだけです。DCリレーのアーマチュアは、コイルの磁気回路に隈取コイルとして知られる重要な部品が欠けているため動きません。これについてはまた別の機会に説明します。この写真のリレーはACリレーです。銅製の隈取コイルはアルファベットのDのように見えます。

繰り返しになりますが、コイル仕様は一般に二元的な仕様とみなされます。ほとんどの場合、設計の際に使用する電圧に適したコイルを備えたリレーを選択する必要があります。これにより、リレーが期待どおりに動作することが保証されます。たとえば、モバイル機器の機械的振動や産業用エアコンプレッサなどの振動機械の影響を受ける場合でも、リレーは保持されます。


接点の仕様はコイルの仕様ほど単純ではありません。複数の電圧を持つリレーをよく見かけます。一例として、上記のような典型的なリレーには、以下の3つの定格電圧があります。

  • 110V AC、抵抗負荷10A/誘導負荷7.5A
  • 220V AC、抵抗負荷7.5A/誘導負荷5A
  • 30V DC、抵抗負荷10A/誘導負荷5A

誘導負荷の力率とL/R時定数を考慮した追加の制約が含まれています。

負荷がかかった状態でスイッチを開くことに関連する物理現象は複雑です。接点が開くと電気アークが形成されることを思い出してください。このアークは、電圧、負荷の種類、電流の種類の関数です。

アーク消弧の性質を次の図にまとめます。

電圧が高く、負荷の誘導性が高いと、アークが消えにくくなることに注意してください。さらに、DCアークは消すのが困難です。従って、前述の「10A」リレーは、220V ACシステムの誘導負荷に対して5Aに定格がディレーティングされます。DCシステムではさらに30Vおよび5Aにディレーティングされます。

リレーが開いてアークをすぐに消すことができることが非常に重要です。アーク放電が長時間続くと、リレーの接点がすぐに破壊される可能性があります。また、接点が過熱する可能性があります。極端な場合、リレーの接点が開いても負荷が切断されないことがあります。 これは機器だけでなくオペレーターにとってもリスクとなります。

参考として、250V DCシステムで定格10Aのコンタクタの写真を次に示します。 前述のリレーに比べてかなり大きいことがわかります。


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ご健闘をお祈りします。

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