NPO 法人  福岡県子どもアドボカシーセンター  設立趣旨 
理事長    河嶋  静代 
1.設立趣旨 
  1994年日本は子どもの権利条約に批准しました。この条約は子どもの能動的権利で
ある「子どもの意見表明権」を謳ったことが特徴的です。批准から約30年、日本の批准
状況を審査する国連子どもの権利委員の総括所見においては、独立した子どもの権利
のための独立した機構を設置するよう勧告しています。こうした勧告を受け、児童福祉
法は2016年の改正において、子どもの権利条約の精神を踏まえたものに改められ、子
どもの意見の尊重や最善の利益の確保が明記されました。更に2019年の同法改正で
は、児童虐待防止対策の強化を図るため子どもの権利擁護の在り方が検討され、202
2年には、「こども基本法」が制定され、子ども中心、すべての子どもの発達保障が謳わ
れると共に、児童福祉法も改正され、子どもの保護や支援において、子どもの意見聴取
の仕組みを整備することになりました。こうした児童福祉施策の改革のもと、子どもの権
利擁護事業の2024年からの本格的実施に先駆け、民間団体による子どもの意見表明
を支援するアドボケイト派遣事業がモデル的に始まっています。 
  私たちは、この20数年、地域における任意団体「子どもの権利経験交流会」や「特定
非営利活動法人チャイルドライン北九州」の活動をしてきました。電話やチャットを通して
子どもたちの声を聴いてきましたが、子どもの声が尊重されない環境下で、自分の欲求
を抑えたり、言葉として表出したりするのが苦手な子どもが増えていると感じました。そこ
で、子どもと対面的に関わり、子どもが自分の欲求や思いを声に出せるような、子どもの
エンパワメントに繋がる支援が必要と考えました。 
このような経緯から、発起人として子どもアドボカシーセンターの設立を決意し、福岡
県下で権利擁護の活動をされている弁護士、スクールソーシャルワーや社会福祉士会
で活動されている専門職の方に参加を呼びかけました。 
「NPO 法人  福岡県子どもアドボカシーセンター」は、児童養護施設等の「訪問アドボ
カシー」の活動やアドボケイトの養成研修、自己表出が難しい子どもたちが、自分の思い
をメッセージとして発することができるような「子どものセルフアドボカシー」支援などの取り
組みをしていきます。子ども・若者とのパートナーシップによる活動を模索し、社会的養
護の領域だけでなく、学校や地域における子どもの権利擁護の仕組みについても考えて
いきます。アドボカシーの活動が普及することで、すべての子どもの権利が実現できるよ
うな社会になることを目指します。
我々の活動は営利を目的としない公共の福祉のための活動であり、任意の活動では
なく、地域社会に根付き継続性のある活動にするためには、組織基盤が必要です。そこ
で、社会的に認知され活動をより充実させるために、公益を目的とする特定非営利活動
法人格を取得したいと考えました。 
2.NPO 法人設立の経緯と福岡県子ども意見表明支援員養成研修委託事業決定まで 
2022年10月        子どもの人権活動をしていた有志により、発起人会を設立 
2022年11月        先行実施団体の NPO 法人子どもアドボカシーセンター福岡を視察 
2023年1月          発起人会により設立趣旨、定款、事業計画及び活動、設立当初の役員等についての原案を審議 
2023年1月26日    福岡県子どもアドボカシーセンター設立総会を開催 
2023年2月7日      福岡子どもアドボカシーセンターの NPO 法人申請 
2023年3月14日    NPO 法人福岡県子どもアドボカシーセンターの認証 
2023年3月17日    福岡県子ども意見表明支援員等養成研修委託公募申請 
2023年3月20日    福岡法務局北九州支局にて設立登記 
2023年3月25日    福岡県子ども意見表明支援員等養成研修委託事業プロポーザル・プレゼンテーション 
2023年4月3日      福岡県子ども意見表明支援員等養成研修委託事業、委託決定