“あえてデメリットを伝える”メリットとは?「両面提示」をコンテンツ制作に活用する方法|東京のWEB制作会社・ホームページ制作会社|株式会社GIG

“あえてデメリットを伝える”メリットとは?「両面提示」をコンテンツ制作に活用する方法

2023-06-16 制作・開発

こんにちは。株式会社GIG メディア事業部で編集者として働く齊藤です。

皆さんは、友達にイチ押しの映画やドラマなどの作品をすすめるとき、「その作品の悪い部分」も伝えますか? 具体的には「途中で少しダレるシーンはあるけど、最後はスカッとするよ」というイメージです。

私の場合、必ず悪い部分も含めて友達に作品をすすめます。なぜなら、先に悪い部分を伝えておけば「悪い部分」のとらえ方が自分とまったく違った場合に、不快な思いをさせるリスクを軽減できるからです。

このように「良い部分だけでなく、悪い部分も伝えること」は、心理学用語で「両面提示」と呼ばれます。そしてこの両面提示は、コンテンツ制作に応用できる考え方です。

今回は、こうした「両面提示」の考え方をコンテンツ制作に応用し、あえてデメリットを伝えるメリットを編集者目線で解説します。


「両面提示」とは?

冒頭でも解説しましたが、両面提示とは「メリットとデメリットの両方を伝えること」です。もともとは心理学用語ですが、セールスやカスタマーサクセスなどの場面でも活用できる考え方として知られています。

セールスなどの場面では、お客様との信頼関係が構築されていない状況も多いでしょう。しかし、両面提示によってあえてデメリットを知らせることで、相手の信頼度を高め、誠実な印象をもってもらいやすいと言われています。

片面提示との違い

片面提示とは、文字通り「メリット」「デメリット」の片面しか伝えないことを意味します。セールスの場面などでは、つい自社サービスのメリットだけを伝えたくなります。そのため、片面提示の伝え方になるケースも多いです。

一般的に、片面提示は「すでに信頼関係が構築されている場合」や「相手が十分な知識をもっていない場合」に効果的とされます。そのため片面提示でセールスに成功するケースもあると思いますが、後々のトラブルに発展するリスクも大きいです。

両面提示をコンテンツ制作に応用した例

近年は主要なマーケティング手法としてコンテンツ制作がとらえられるようになっており、両面提示の考え方はコンテンツ制作にも応用可能です。

代表的な例では、記事中で「メリット」と「デメリット」の両方に触れている記事などが挙げられます。SEOに詳しい方ならわかると思うのですが、Google検索を行うユーザーは「メリット」よりも「デメリット」に関心があるケースも多いです。

具体例として、弊社の運営メディアであるWorkship MAGAZINEで配信されている「新卒フリーランス」に関する記事を挙げましょう。

この記事は、タイトルから「新卒フリーランスは甘い?」と始まっており、新卒フリーランスのメリット・デメリットに触れつつも、全体的にはやや新卒フリーランスに厳しい論調の記事になっています。

しかし、この記事はGoogle検索からたくさんの流入を獲得し、メディアに多くのPVをもたらしているほか、この記事を経由した弊社への講演依頼もありました。

このように、デメリットを包み隠さず伝えることで、かえって成果が上がるケースもあります。


“デメリットを伝える”メリット/必要性

具体例をご紹介したところで「デメリットを伝えるメリット」について詳しく見ていきましょう。

1. ユーザーの「疑い」を解消できる

まず、大前提としてコンテンツマーケティングを行うケースでは、基本的にユーザーと企業の間に強い信頼関係はないケースが大半です。とくに、BtoBの世界ではそれが顕著になります。

たとえば、あなたがホームページ制作を検討したとき、Google検索の結果に表示されたメディアで「○○というメリットがあるウチの会社にWeb制作を依頼してください!」とだけ言われても、いきなりその情報を100%信じて契約するでしょうか。おそらくしないはずです。

つまり、コンテンツを見る段階では、ユーザーはある程度の「疑い」をもっていることになります。ホームページ制作の外注でいえば、以下のような疑いをもっているケースが想定されます。

・制作費が割高なんじゃないの?
・どうせ再委託するんでしょ?
・ホームページをつくるだけで終わりでしょ?

では、ユーザーが疑いを向けている制作会社の実態は、仮に以下のようなものだったとしましょう。皆さんならどう情報をまとめるでしょうか。

・制作費が割高なんじゃないの?
→これは事実と仮定
・どうせ再委託するんでしょ?
→再委託はしない
・ホームページをつくるだけで終わりでしょ?
→戦略設計からマーケティングまで、一気通貫で支援可能

この場合、制作費の高さは正直に記載しつつも、「そのぶん弊社のハイスキル人材が必ず内製で対応します。ハイクオリティで成果につながるサイトを制作可能で、戦略設計からマーケティングまで一気通貫の支援体制も整っています」とまとめれば、「制作費が割高な理由」をしっかり説明しつつ、ユーザーの疑いを解消できる情報発信になります。

2. 誠実なメディアだと思ってもらえる

ユーザーはコンテンツに対し疑いをもっている一方、同時に「疑うこと」に慣れているため「どうせ自分たちに都合の悪いことは言わないんでしょ」という、ある種の「諦め」もあると筆者は分析しています。

つまり、ユーザーはメディアが公平に情報発信してくれることを最初から期待していないのです。実際、たしかに公平な情報発信とほど遠いメディアは多く、ユーザーの意見も一理あるといえます。

しかし、だからこそ誠実な情報発信は効果を発揮します。ときにはデメリットも発信することで、「あれ、このメディアは自分たちに都合の悪いことも話してくれるんだ」という印象を与えられ、ユーザーに信頼してもらえる可能性が高まるでしょう。

3. ギャップやトラブルが発生する可能性を減らせる

先ほど「相手が十分な知識をもっていない場合」は、メリットしか提示しない片面提示の手法が効果的だと述べました。これは間違いではないのですが、どうしても勢いで契約を迫るようなコンテンツ制作が必要になり、後々のトラブルに発展する可能性が高まります。

たとえば、先ほどのホームページ制作の例でいえば、ユーザーには「とりあえず形だけホームページを制作したい」というニーズがあったにもかかわらず、自社のメリットだけ伝える形で商談にこぎつけたとしましょう。

しかし、ユーザーは「ハイクオリティなサイト」や「一気通貫の支援」を求めていないので、どうしても価格にギャップを感じてしまうはずです。企業側が商談の場で説得しようにも、自社の強みとニーズがズレているので、無駄な時間に終わる可能性が高いでしょう。

このように、下手にデメリットを隠したり、無理やりこじつけてメリットっぽく語ったりした場合、ユーザーの解釈と実態のギャップが発生する傾向にあります。結果、仮に契約にこぎつけたとしても、後でトラブルに発展する可能性が高くなるというわけです。


“デメリットを伝える”デメリット/注意点

コンテンツ制作に効果的な両面提示の考え方ですが、もちろん「メリット」ばかりではありません。

ちょうど本記事のテーマとも重なる部分なので、あえて「デメリット」についても解説しましょう。

1. 一時的にCVなどが落ちる可能性はある

デメリットを伝えることで、CVの質が上がる可能性は高いです。一方、どうしてもメリットを強調して「勢いでCVさせる」ような手法はとりづらくなるので、単純なCV数が落ち込むリスクはあります。

ただ、先ほども触れたように、メリットだけを伝えて成果を出しにいくと、後々のトラブルに発展する可能性は大きくなります。また、分野によっては薬機法などの法律で厳しい文言や見せ方の決まりがある場合もあり、法令違反のリスクも背負うことになります。

さらに、CVから成約までの距離が遠い商材の場合、確度の低いリードが増えることで、成果につながりにくい営業や商談の機会が増えるかもしれません。もちろんどこかでCVを増加に転じさせる必要はありますが、一時的な下落は許容範囲といったところでしょう。

2. デメリットを強調しすぎると大変なことに

デメリットを伝えることは重要ですが、同時にわざわざデメリットを強調しすぎる必要はありません。

たとえば、先ほどのWeb制作の例だと、料金が割高なことは事実とは言え「他社より〇万円も高い!」のような書き方をする必要はありません。あくまで、中立的な立場からデメリットに触れるようにしましょう。

また、他社のサービスや製品を紹介するコンテンツの場合、デメリットを強調しすぎるとトラブルになるのはもちろん、最悪のケースでは損害賠償を求められるかもしれません。他社に対しても必要で公正な批判は許されるべきですが、誹謗中傷にならないよう書き方を工夫しましょう。

3. 最後はメリットを感じてもらえるよう工夫する

自社の商材やサービスを掲載する場合、やはり最後はメリットを感じてほしいもの。そのため、デメリットを書く場合も、最終的にはユーザーにメリットを感じてもらえるよう工夫したいところです。

そのために使える代表的な手法としては、「デメリットの先出し」があります。先にデメリットを伝えてから、デメリットを解消する方法やデメリットを許容すべき理由を語ることで、ユーザーから最終的なCVを獲得できる確率は高まるでしょう。

【補足】デメリット>メリットになってしまう場合、情報発信以前に自社やサービスの課題解決に注力すべき

もし、自社サービスや製品をコンテンツに掲載したとき「公正にメリットとデメリットに触れたら、明らかにデメリットのほうが多くなってしまう……」という場合は、どう対応すべきでしょうか。

結論から言えば、この場合は情報発信の方法以前に、自社やサービスの課題解決、つまりデメリット解消に動く必要があります。仮にデメリットを伏せたまま情報発信を続ければ、いつか大きなトラブルに発展するでしょう。

もちろん、リスクを覚悟で事業拡大を目指すのもひとつの考え方ですが、地に足を付けて自社やサービスを発展させていきたい場合、まずコンテンツ制作から浮かび上がった課題解決に注力すべきです。


両面提示を活用した高品質なコンテンツ制作はGIGにご相談ください

ここまで、両面提示をコンテンツ制作に応用する方法を解説しました。

デメリットの提示を効果的に使えばメディアの信頼性を高められ、CVの質の向上にもつながる半面、注意深い作業が求められます。

GIGではこれまで、両面提示の考え方を応用したコンテンツを数多く制作してきました。デメリットに触れることでメディアの信頼性を確保しつつ、最後はCVの質や量を向上させられるコンテンツ制作には自信があります。

両面提示を活用した高品質なコンテンツ制作に関しては、お気軽にGIGまでご相談ください。

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齊藤 颯人(とーじん)

1997年7月生まれ。大学3年次に学生フリーライターとして独立。卒業後は新卒フリーランスとして活動し、2020年秋に業務委託でGIGにジョイン。Workship MAGAZINEでの記事執筆・編集などに従事し、2023年4月に社員転換。歴史ライター・ファイナンシャルプランナーとしても活動中。