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#37「設立」と「設置」は違うの?「法人設立・設置届出書」について

「法人設立・設置届出書」を見た人の中には、「設立」と「設置」に違いがあるのかと疑問に思う人もいるでしょう。また、「法人設立(設置)届出書」で「設立」と「設置」を併記する意味があるのかと気になって人もいるかもしれません。そこで今回は、「設立」と「設置」の違いについて分かりやすく解説します。会社関係で混同しやすい言葉の違いもあわせてチェックしましょう。

  1. 1.法人の「設立」と「設置」の違い

    法人における「設立」と「設置」は、まったく違う意味となります。「設立」とは、会社を法務局に登記することを意味します。簡単に言えば、新しく独立した組織を作った場合に「設立」と表現します。一方、「設置」は、会社などの組織の中に新しく部門や部署、支店を作ることを意味します。したがって、会社を登記する場合は「設立」、既存の組織の中に新しく部門や支店などを作るときは「設置」と、言葉を使い分けています。

  2. 2.「法人設立・設置届出書」について

    「設立」と「設置」の違いが分からず混乱するきっかけになったのは、「法人設立・設置届出書」を見たからだというケースもあるでしょう。この章では、「法人設立・設置届出書」の作成に関する大切なポイントを3つ紹介します。

    1. 2-1.「法人設立・設置届出書」とは?自社の場合「設立」なのか「設置」なのか

      「法人設立・設置届出書」では、「設立」か「設置」のいずれかに〇印を入れる箇所があります。新しく会社を立ち上げる場合は「設立」、新たに部門や支店などを立ち上げる場合は「設置」を選択しましょう。また、どのような目的で「法人設立・設置届出書」を提出するのかを考えることも大切です。そもそも「法人設立・設置届出書」とは、新しく会社を設立したこと、および税務署や自治体に会社の概要を知らせることを目的に作成する書類です。会社を設立すると、利益額に応じて法人税等(法人税、法人県民税、法人市民税)を支払う必要があります。

      「法人設立・設置届出書」は、提出が義務付けられている書類なので、内容に不足がないよう、きちんと用意するようにしましょう。

    2. 2-2.提出方法の注意点

      「法人設立・設置届出書」は、税務署、都道府県税事務所、市町村役場の3カ所にそれぞれに提出が必要な書類です。提出先ごとに「法人設立(設置)届出書」のフォーマットや提出期限が異なるので、事前に担当者へ確認しておく必要があります。例えば、税務署に提出する「法人設立・設置届出書」は、会社を設立してから2カ月以内が提出期限ですが、本店が東京23区の管轄にある場合は、会社を設立してから15日以内に都税事務所に提出しなければならず提出期限が異なります。また、設立する会社の本店が東京23区の管轄にある場合は、「法人設立(設置)届出書」を区役所に提出する必要はなく、提出箇所は、税務署と、所管の都税事務所の2カ所だけとなります。会社を設立する地域によってルールが異なりますので、注意してください。なお、「法人設立・設置届出書」は、提出期限を過ぎても罰則はありません。しかし、会社を設立・設置するときの1つのルールですので、きちんと準備をし、期限を過ぎることなく提出しましょう。

    3. 2-3.記載内容と添付書類

      「法人設立・設置届出書」の提出先によって、書類のフォーマットは異なりますが、記載内容はさほど変わりません。具体的には、設立・設置する会社の基本情報や事業目的などを記載することになります。

  3. 株式会社と合同会社

    「株式会社」と「合同会社」はどちらも会社の種類を表す言葉ですが、明確な違いがあるので起業前にきちんと内容を確認して会社の意向や事業に適切な方を選択する必要があります。「株式会社」は、会社で株式を発行することで資金を得て会社を作ります。会社の所有者と経営者の分離がされている会社とも言えるでしょう。「株式会社」は「合同会社」よりも知名度が高い分、社会的な信頼度が高い傾向にありますが、設立費用が高額で手続きが多いというデメリットがあります。

    一方、「合同会社」とは、会社の出資者と経営者が同一の会社のことです。一部例外はありますが、基本的に「合同会社」の経営者は会社の出資者になります。「合同会社」は低コストで設立できるだけでなく、運営の自由度が高いメリットがあります。しかし、社会的な信頼度で言えば「株式会社」に劣ってしまうので注意が必要です。新しく会社を設立する場合は、社会的信用を高くしたいなら「株式会社」、費用を抑えて法人格を得たいなら「合同会社」というように目的に合わせて選択するといいでしょう。

  • ※ 本コラムは2022年9月5日現在の情報に基づいて執筆したものです。
  • ※ 本コラムの内容は執筆者個人の見解です。

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執筆者情報

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V-Spirits グループ代表
税理士・社労士・行政書士・CFP®
中野 裕哲 監修

■起業コンサルタント®、税理士、特定社労士、行政書士、CFP®。V-Spiritsグループ代表(税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人・株式会社V-Spirits/V-Spirits会計コンシェル・給与コンシェル・FPマネーコンシェル・経営戦略研究所株式会社)。
年間約300件の起業相談を無料で受託し、起業家をまるごと支援。経済産業省後援 起業支援サイト「DREAM GATE」で11年連続相談数日本一。著書・監修書に『一日も早く起業したい人がやっておくべきこと・知っておくべきこと』(明日香出版社)、『ネコ先生がやさしく教える 起業のやり方』(アスカビジネス)など、16冊、累計20万部超。

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