新生児微笑とは?赤ちゃんが笑わない原因や発達障害との関係

ライター:発達障害のキホン
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新生児微笑とは、赤ちゃんが感情ではなく神経の反応として微笑んでいるように見える状態を言います。生後間もない頃に多く見られ、生後2ヶ月頃からだんだんと減り、そのあとは感情を伴った社会的微笑も見られるようになってきます。

なかなか赤ちゃんが笑わないと「何かの病気?」「発達障害」と気になる方もいると思います。赤ちゃんが笑わない原因は発達の個人差などさまざまなことが考えられます。
この記事では赤ちゃんが笑わない原因や新生児微笑から始まる笑顔の発達の順番、笑顔を引き出す方法などをご紹介します。

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監修: 藤井明子
小児科専門医
小児神経専門医
てんかん専門医
どんぐり発達クリニック院長
東京女子医科大学大学院修了。東京女子医科大学病院、長崎県立子ども医療福祉センターで研鑽を積み、2019年よりさくらキッズくりにっく院長に就任。2024年より、どんぐり発達クリニック院長、育心会児童発達部門統括医師に就任。お子様の個性を大切にしながら、親御さんの子育ての悩みにも寄り添う診療を行っている。 3人の子どもを育児中である。
目次

赤ちゃんが笑わない原因は?発達障害と関係ある?

赤ちゃんの笑顔を見たり、あやした時に「キャッキャッ」と出す笑い声を聞いたりすると、自然に笑顔になってしまったり、疲れが吹き飛ぶような気持ちになる保護者の方も多いのではないでしょうか?特に3ヶ月を過ぎたころからは抱っこやあやされた際に声を上げて笑うことも多くなってきます。

それだけに、3ヶ月を過ぎたのに自分の赤ちゃんに笑顔があまり見られない、無表情であることが多いと不安に思う人も多いかもしれません。また、「何かの病気や発達障害の影響?」と心配になる方もいると思います。

赤ちゃんが笑わない原因には何があるのでしょうか。赤ちゃんがあまり笑わないかも?と思った時、まず確かめてみるべきことは保護者とのコミュニケーションが十分かどうか、ということです。

赤ちゃんは、まだ自分で言葉を使ってやりとりすることができません。ですが、赤ちゃんは抱っこなどのスキンシップや、大人からの声かけなどを感じ取っています。そしてこのような関わり一つひとつが、赤ちゃんの表情や感情表現の発達に結び付いています。

周囲の大人が赤ちゃんのお世話をする時に不安そうな顔をしたり、イライラした状態のままであったり、ただ無言で赤ちゃんを抱っこしたりすることが続いてしまうことはできる限り避けた方がいいでしょう。

また、赤ちゃんが笑わない原因として、病気や発達障害などの可能性があるのでは?と思う保護者の方も少なくないと思います。赤ちゃんの笑顔と病気・発達障害の関係性については、後ほど詳しくご説明します。

1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、赤ちゃんの笑顔はどう発達していくの?

そもそも、赤ちゃんの笑顔はどのように発達し、豊かな表情につながっていくのでしょうか。赤ちゃんの時に見られる笑顔は、生後間もなくの新生児微笑から始まり、社会的微笑、社会的・選択的微笑の3つの段階を経て発達していきます。

以下、それぞれがどのような笑い方で、いつごろ見ることができるのかご紹介します。

1ヶ月での笑顔は本能的な微笑み。新生児微笑

新生児微笑は、生まれた直後から生後1~2ヶ月ころまで見られることが多いと言われています。「微笑」という名が付いていますが、正確には赤ちゃんが微笑んでいるようにみえる現象です。つまり、赤ちゃんが「嬉しい」「楽しい」などと感じているから微笑んでいるという訳ではありません。単に神経の反射として顔の筋肉を動かしている様子が笑顔のように見えるのが新生児微笑です。他にも自発的微笑や生理的微笑と呼ばれることもあります。

ですが、周りの大人が新生児微笑を目の当たりにすると、「赤ちゃんが笑った!」と赤ちゃんへの愛おしさが増したり、もっと笑ってほしいからたくさんあやしたくなったりします。新生児微笑は生理的なものであるとはいえ、周りの大人を赤ちゃんに惹きつけるパワーがあるのです。
参考:赤ちゃんの発育発達と親子あそび|公益財団法人母子衛生研究会
https://www.mcfh.or.jp/jouhou/sodachi/shinseiji.html

3ヶ月から見られる3ヶ月微笑・社会的微笑

生後3ヶ月ころになると、赤ちゃんは抱っこなどをされると微笑みを返すようになります。これを社会的微笑といいます。また3ヶ月微笑といわれることもあります。人の顔によく反応しますが、この時期の社会的微笑は保護者などの身近な大人だけでなく、比較的誰に対しても微笑みを向けます。

また、母子健康手帳にも生後3~4ヶ月頃の項目に「あやすとよく笑いますか」とあるように、社会的微笑の出現は発達状況の目安にもなります。
参考:厚生労働省-母子健康手帳について(省令様式)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2002/01/dl/s0115-2a2.pdf

6ヶ月頃から見られる社会的・選択的微笑

それまであまり区別せず色々な人に笑顔を見せていた赤ちゃんが、生後6ヶ月ほどになると、笑顔を見せる人を自分の意思で選択していくようになります。

つまり、保護者などいつも身近にいてあやしてくれたりお世話してくれたりする人を認識し、その人に対してよく笑いかけるようになります。一方で、初対面の人やたまにしか会わない人に対しては、ただじっと見つめたり、緊張したような表情を見せたりすることもあります。
参考書籍:河原紀子監/『0歳~6歳子どもの発達と保育の本』2011年/Gakken保育Books
https://www.amazon.co.jp/dp/4054048919

赤ちゃんが笑わない…サイレントベビー? 病気や障害が不安で気になる時は?

赤ちゃんが笑わない、笑顔を見せない様子が見られると、発達に遅れがあるの? サイレントベビーなの? と不安に思う保護者も少なくないと思います。サイレントベビーは診断名などではなく、表情や感情の表出が少ない赤ちゃんに対して一般的に使われている言葉です。

先ほど新生児微笑は生後1~2ヶ月頃までに見られ、社会的微笑は生後3ヶ月頃から見られる、などとご説明しましたが、これはあくまでも発達の目安です。赤ちゃんの発達には大きな個人差があります。そのため、先ほど挙げた月齢になっても赤ちゃんが笑わない、ということがあっても、それだけで過剰に心配することはありません。

また、保護者の中には、「赤ちゃんが笑わないのは、何か病気や障害があるから?」と不安になる方もいるかもしれません。

自閉スペクトラム症の子どもには、呼びかけやあやしに対してあまり反応がない、抱き上げても喜ぶ様子があまりないというような特徴が見られる場合があります。
ですが、赤ちゃんがあまり笑わないと感じたとしても、それだけで発達障害の影響だと断定することはできません。また、生後まもない赤ちゃんに発達障害があるかどうかは、現在の医学では確定できません。赤ちゃんが笑わない理由には、聴覚などの影響のほか、ただ性格の問題など、さまざまな原因が考えられるからです。
以上のことを踏まえ、それでも不安が残る場合や、赤ちゃんが笑わないということに加えて他にも気になる様子が見られる場合は、一度小児科など身近な窓口に相談してみるといいでしょう。

専門家に赤ちゃんがどのような様子か相談してみるだけでも、不安や困りごとが解消されることがあります。また、赤ちゃんの笑顔を引き出すコツやコミュニケーションの取り方についても教えてもらえるでしょう。

発達障害、自閉スペクトラム症かもと思ったら?

赤ちゃんが笑顔を見せない原因が思い当たらず、「発達障害かもしれない」「自閉スペクトラム症なのかも」と思ったときは、まずは専門機関に相談してみるといいでしょう。

どこに相談していいかわからないときは、かかりつけの小児科に相談することができます。小児科は風邪などの治療とともに、赤ちゃんの発達の様子を見守り、アドバイスや他の医療機関や支援機関の紹介なども行っています。

他にも赤ちゃんの健診を担当している市町村保健センターや児童相談所でも相談を受け付けていて、子どもの発達の専門家が話を聞いてくれます。他にも、自治体の子育て相談窓口などもありますので、市役所などのホームページを確認してみるといいでしょう。
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