リレー侍、今季世界最高でV!桐生「バトンを落とさなくて良かった」世界リレー失格のリベンジ 

スポーツ報知
男子400メートルリレー、第3走者・小池(左)からバトンを受け、ゴールに向かう桐生(カメラ・石田 順平)

◆陸上セイコーゴールデングランプリ ▽男子400Mリレー(19日、大阪・ヤンマースタジアム長居)

 男子400メートルリレーで、多田修平(22)=住友電工=、山県亮太(26)=セイコー=、小池祐貴(24)=住友電工=、桐生祥秀(23)=日本生命=の順に走った日本が、38秒00で優勝。12日の世界リレーを38秒05で制したブラジルを上回る今季世界最高記録で、20年東京五輪切符へ大きく前進した。

 流れるようにアンカーの桐生へバトンが渡り、勝負は決まった。100メートル日本記録保持者は力感たっぷりに両腕を振り、独走のゴールへ飛び込むだけだった。100メートル9秒台を4人そろえた米国に影さえ踏ませず、0秒73の大差で圧倒。今季世界最高の38秒00で、20年東京五輪出場権も大きく近づいた。「本当は37秒台を出したかったけど、向かい風が強かった。とりあえず、ちゃんと(4人で)回ってバトンを落とさなくて良かった」と息をついた。

 V候補本命で臨んだ自国開催の世界リレー(11日・日産ス)。予選で小池―桐生のバトンパスが乱れ、失格の憂き目を見た。失敗は成功のもと。同様のバトンミスで失格した10年広州アジア大会予選時の映像を見て話し合い、1回でバトンが渡らなかった時の対策を練った。第2走者の山県は「受け手は焦らず脇を固定し、バトンを探す動きをしないように」と要点を明かした。

 繊細な微調整も生きた。桐生は入場すると、向かい風が強く、スピードが出にくい状況を感じ取った。リレーのスタートのタイミングは、前走者が目安のマーク位置を通過したのを見て測る。強風で前走(小池)のスピードが出ないのに早く出れば、間隔が空いてバトンミスに直結。桐生は予定よりマークを約13センチ手前に置き、スタートのタイミングを遅らせた。「落ち着いて、出るタイミングを0・5歩分縮められた」と臨機応変な対応に胸を張った。

 リレー侍の次戦は7月のダイヤモンドリーグ・ロンドン大会。17年ロンドン世陸王者の英国など、強豪の参戦が見込まれる場。今秋のドーハ世陸で世界大会初制覇を目指す日本にとって、重要な前哨戦だ。バトンミスを修正し、存在感を示した小池は「タイムはもっと期待できるし、もっといける手応えが高まった。世陸では、もう一度みんなで1番を狙いたい」。悪夢から1週間、懸念は結果で払拭してみせた。(細野 友司)

 ◆男子400メートルリレーの東京五輪への道 出場枠は16で開催国枠はない。世界リレーの上位10チームがドーハ世界陸上の出場権を獲得し、世陸で上位8チームに入れば五輪出場権を獲得できる。五輪の残り8チームは、今年1月から20年6月29日までに出した最上位記録で算出されるランキングで決定。日本代表は08年北京大会(ジャマイカのドーピング違反で繰り上がり)、16年リオ大会の銀メダルが最高成績。

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