書類のデータ化の必要性は高まってきており、紙の削減や業務効率化の観点だけではなく、デジタル化や多様な働き方の実現という部分でも大きなウエイトを占めています。
紙を利用した業務はこれまで当たり前とされてきていたので、紙を使用しなくするなどのペーパーレス化や書類のデータ化に躊躇してしまったり、うまく進めることができないことも多いかもしれません。
ペーパーレス化やデジタル化、テレワークなどの多様な働き方の実現につなげるためにも、日々の業務を効率的におこなうためにも書類のデータ化の方法やメリットを理解して正しく書類のデータ化を進められるようにしましょう。
書類をデータ化するメリットと必要性
そもそも、なぜ紙の書類のデータ化が求められているのでしょうか。
書類をデータ化することで生まれるメリットやその必要性について、以下の6つの観点から解説します。
- 書類の作成・管理コストや保管スペースが削減できる
- 書類管理・検索が効率化される
- 書類データを社内で共有しやすくなる
- 書類の劣化が防げる
- セキュリティが強化される
- デジタル化や多様な働き方につながる
書類のデータ化をするメリットや必要性を理解することで適切な目的の設定や方法の選択にもつながります。
書類の作成・管理コストや保管スペースが削減できる
書類をデータ化すれば、紙の書類の作成・管理に伴う費用や書類の保管スペースが不要になるため、さまざまなコストの削減が可能です。
紙の書類を扱うと、用紙やインクなどの物品購入、プリンターの維持、書類の郵送や廃棄、ファイリングやシュレッダーなど、さまざまな費用が発生します。
さらに、書類の保管のためにオフィスのスペースを確保しなければなりません。
書類をデータで扱えば、これらのコストやスペースはすべて不要になり、本来のビジネスに振り向けられるようになります。
紙の書類を管理するために割かれていた従業員の時間や労力もほかの仕事に割り当てられるので、人件費の有効活用にもつながります。
書類管理・書類の検索が効率化される
書類をデータ化すると、必要な情報を検索しやすくなります。
大量の紙の中から目的の書類を見つけ出すことは容易ではありません。
しかし、書類がデータ化されているなら、データベースが膨大でも、フォルダ階層やファイル名を適切に設定しておけば、検索機能を用いて対象のデータを見つけ出せます。
さらに取り込まれたデータをOCR処理すれば、文字がテキストデータとして保管され、検索の対象とすることができます。
必要な情報を時間と労力をかけずに取り出せるようになるため、業務の効率化が期待できます。
書類データを社内で共有しやすくなる
データ化された書類は、インターネット上のクラウドに保管することによって、時間や場所を選ばず必要な人が必要なときに閲覧できます。
紙の書類の場合、書類を見るためにオフィスに行かなければならなかったり、ほかの人が持ち出していると見ることができなかったりすることもあります。
しかし、書類をデータ化しておけばアクセスすることで容易に閲覧ができますし、共有することも簡単にできます。
書類をデータ化することで情報の共有スピードが向上し、ビジネスのスピードアップにつながります。
書類の劣化が防げる
データ化された書類は劣化することがないので、古い書類でもデータ化した当時の質を保つことができます。
紙の書類は時間の経過に従って用紙の変色や破れのリスクを伴います。
また、印字された文字が徐々に薄くなって読めなくなるおそれもあります。
書類のデータ化をすることで、長く受け継がなければならない大切な書類を守ることができます。
セキュリティが強化される
データ化された書類にさまざまなセキュリティ対策を施すことで、情報漏洩のリスクを低減できます。
例えばデータへのアクセス制限や、持ち出し不可や印刷不可の設定が可能です。
また、紙の書類は災害などによって失われるおそれがありますが、書類をデータ化してクラウド上でバックアップをとっておくことによって、万一の際にも復旧させることができます。
デジタル化や多様な働き方につながる
政府が推進する働き方改革の一部としても、書類のデータ化が求められています。
書類を紙で扱うことがテレワーク導入を妨げたり労働時間が長くなるなどの要因と考えられていることがその背景にあります。
法律においても「e-文書法」や「電子帳簿保存法」の整備によって書類のデータ化が推し進められています。
書類のデータ化をすることはデジタル化や多様な働き方を実現する第一歩としても考えられますので、紙文化からの脱却、ペーパーレス化などを通じて書類のデータ化をすることはこれからの社会や企業の評価、働き方に強く影響する部分になるでしょう。
書類のデータ化に関する注意点
書類のデータ化には多くのメリットがあり必要性も高まっていますが、データ化を効果的に進めるためには注意すべき点もあります。
ここでは特に押さえておくべき4つのポイントを取り上げます。
- 大量のデータ化には手間がかかる
- データ化によって業務の手順が変わる
- 紙と比べて一覧性が低い
- 紙とデータの重複に注意する
ただ書類のデータ化をすればいいと考えるのではなく、効果的かつ適切な進め方でおこなえるように注意点を把握しておきましょう。
大量のデータ化には手間がかかる
扱っている紙の書類の量が多い場合、全てをデータ化するには大変な時間と労力がかかります。
データ化の進め方によっては通常業務に支障が出たり、残業が増えたりする可能性もあります。
データ化すべき書類の量を考慮し、必要に応じて作業を外部委託するなど効率的に進めるための対応や選択も考える必要があるでしょう。
データ化によって業務の手順が変わる
書類がデータ化されると、その書類に関連する事務処理の流れが変わります。
そのため、従来の手順に慣れている従業員から不満の声が上がる可能性も考えておかなければなりません。
データ化することでしばらくの間は逆に業務効率が下がることもあります。
移行期に伴うデメリットを理解した上で、余裕を持ってデータ化の推進に取り組むことが大切です。
紙と比べて一覧性が低い
データ化された書類は紙の書類に比べ、複数枚を一面に並べて俯瞰的に見る閲覧方法には不向きです。
書類の活用方法から考えてデータ化に適さないものは、紙で残すほうが望ましい場合もあります。
保存という観点では必要な書類をデータ化しておくべきですが、実務においては紙の使用の方が適切なものがないかということを考慮してデータと紙を使い分けることも重要です。
紙とデータの重複に注意する
データ化したにもかかわらず紙の書類を処分しないままにしておくと、どちらが最新の情報かわからなくなるおそれがあります。
情報が重複していると、誤って古い書類の情報を元に仕事を進めてしまうリスクにつながります。
書類をデータ化する際は、並行して紙の書類を適切に処理することを意識しておきましょう。
書類のデータ化手順
書類をデータ化するには具体的にどのような手順を踏めばよいでしょうか。
書類をデータ化する作業を5つのステップに分けて紹介します。
- データ化する書類を選別する
- データの保管ルールを決める
- 書類をスキャンする
- ファイルの形式や名称を設定しデータを保存する
- データが正しく保存できているかチェックする
適切な手順で進められるように、データ化をする前に確認しておきましょう。
データ化する書類を選別する
まず、保管している紙の書類の中から、データ化が必要な書類を選び出します。
選別を行わずに全てデータ化しようとすると、作業量が膨大になることがあります。
一般的に、使用頻度が高い書類、利用する人数が多い書類、場所を問わず利用したい書類などを優先的にデータ化すると、業務へのポジティブな効果が上がりやすいでしょう。
データの保管ルールを決める
データ化された書類を閲覧・検索しやすいよう、あらかじめ保管ルールを定め、関係者間で共有しておきます。
例えばフォルダ階層、ファイル名、ファイル形式に一定の規則を設けておくことで、目的のデータを見つけ出しやすくなります。
また、書類の取り込みサイズや保存の際の解像度も決めておくことで容量の管理もしやすくなるでしょう。
書類をスキャンする
書類についているホチキスやクリップを外し、スキャンしてデータ化します。
スキャンは自社のコピー機やスマートフォンを用いて行うこともできますが、書類の量が多い場合には外部委託することで作業の手間を大幅に削減できます。
書類の量やデータ化までの移行期間、経費などのコスト面を考えて効率的に進められる方法で進めましょう。
ファイルの形式や名称を設定しデータを保存する
あらかじめ決めておいたデータの保管ルールに従い、取り込んだデータの形式や名称を設定し、適切なフォルダに保存します。
書類に書かれた内容を検索の対象にしたい場合は、画像内の文字をテキストデータに変換するOCR処理を行います。
適切にデータを整理して保存することで必要なときに閲覧や検索がしやすくなります。
データが正しく保存できているかチェックする
最後に、書類が正しくデータ化されていることを、ファイルを開いてチェックします。
ページの抜け漏れや保存方法のミスがないかどうか確認し、必要に応じて再度データ化を行います。
確認をするうえで、あらかじめデータ化する書類のリストなどを用意しておくなどの準備も必要になるでしょう。
書類をデータ化する方法
書類のデータ化には多くの作業量が伴いますが、データ化の方法を適切に選択することによって作業にかかる時間や労力を大きく削減することができます。
書類をデータ化するための主な4つの方法の特徴を解説します。
- 自社のコピー機や複合機でスキャンする
- スマートフォンのカメラで撮影する・アプリを利用する
- セルフスキャンサービスを利用する
- 電子化代行業者のサービスを利用する
どの方法を採用するにしても、必要な書類の精査やデータ化した後の管理の仕方などは共通する部分はありますが、データ化までの方法は自社に適したものや状況に応じて選択する必要があるでしょう。
自社のコピー機や複合機でスキャンする
自社のコピー機や複合機のスキャン機能を用いて書類をデータ化する方法は、社内のリソースを用いて行うためコストが低く抑えられることが最大のメリットです。
書類の種類が多種多様でも、従業員の判断で柔軟に対応することができます。
また、作業を外部委託する際に必要な書類の受け渡しなどの準備も不要で、心配される情報漏洩のリスクもありません。
デメリットは、書類の量によっては膨大な作業量が発生することです。
作業量が多すぎると、従業員の時間と労力をデータ化作業に割くことで、通常業務に支障を来すことも考えられますので、大量の書類の処理には向いていません。
スマートフォンのカメラで撮影する・アプリを利用する
スマートフォンやタブレットのカメラで撮影したり、スキャナアプリを利用したりする方法は、社内で手軽に行える点が利点です。
複数台で並行して作業できることや、製本された書類も裁断せずデータ化できることもメリットです。
スキャナアプリの中には、データの切り抜きや補正だけでなく、OCR処理に対応しているものもあります。
しかし、1ページずつ撮影しなければならないため、大量の書類の処理には不向きです。
また、環境によっては影や写り込みが生じるため、撮影までの調整に時間がかかることもあります。
セルフスキャンサービスを利用する
セルフスキャンサービスを提供している店舗に出向き、業務用印刷機を用いて書類をスキャンする方法です。
比較的低価格で、スピーディなデータの取り込みが可能です。
自社の従業員が書類を扱うので、外部委託のための準備の手間がなく、情報漏洩リスクも低いと言えます。
機器の操作についてはスタッフにサポートしてもらうことができます。
デメリットは、書類を店舗まで運ばなくてはならないため、書類の量によっては非効率になることです。
また、大きなサイズの書類をスキャンしたい場合や、保存形式にこだわりたい場合は、対応できる店舗が限られることがあります。
電子化代行業者のサービスを利用する
時間と労力を最も抑えることができるのが、電子化代行業者のサービスを利用する方法です。
書類を預けるとデータ化した状態で納品されます。
データの抜け漏れなどがないよう検品が行われるため、自社での作業では起こりがちなミスも予防できます。
スキャンだけでなくデータ管理も含むサービスを利用すれば、クラウドへのデータ保管作業も委託することが可能です。
書類についたホチキスやクリップの取り外し作業や製本された書類を裁断せずにスキャンする作業が行えるかどうかは、業者によって異なります。
その他の方法に比べ最もコストがかかりますが、自社で行う場合の作業量や人件費を考慮すると、書類の量によっては最も効率のよい方法であることもあります。
書類をデータ化してオンラインストレージを使おう
自社に適した方法で書類をデータ化すれば、コスト削減だけでなく、業務効率化による従業員の労働時間削減や企業に対する社会的な評価の向上にもつながることが期待できます。
データ化した書類は、オンラインストレージに保管することで、インターネット環境さえあれば場所を選ばず関係者間で共有することができます。
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