(台北中央社)台湾の航空会社、エバー(長栄)航空のパイロットはストライキ権の確立に向けた投票を22日から実施する。関係者は、春節(旧正月、来年は2月10日)期間のスト実施の可能性も排除しない考えを示した。
台湾の各航空会社のパイロットでつくる労働組合「桃園市機師職業工会」は18日、交通部(交通省、台北市)前で抗議活動を行い、同労組のエバー分会がスト権の確立投票を実施すると発表した。投票は22日から2週間受け付け、来年1月5日に開票予定。関係者によれば、エバー分会の会員は660人に上り、過半数の賛成でスト権が確立される。労組は9割以上の賛成を目標に掲げる。
労組は賃金の据え置きによる台湾人パイロットの流出や違法な仲介業者を通じた外国人パイロットの雇用などの問題を挙げ、これらによって飛行の安全において潜在的な脅威とマイナスの影響がもたらされていると指摘。エバー航空に改善を求めるとともに、交通部に対し、改善を促す責任を負うよう訴えた。
エバー航空は18日に発表した声明で、従業員の賃金や福利の調整・引き上げを進めている状況下で労組が賃金の20%引き上げなどの要求にこだわり、スト権確立に向けた投票の実施を決めたことに対し、「深い遺憾」を表明。等級に応じて毎年の賃金を調整している他、2016年と今年にも構造的な賃金調整を行ったと説明し、労組の主張は事実に反しているとした。また、パイロットの雇用に関しては、台湾人を優先的に募集・育成する前提の下でニーズに応じて外国人を雇用しているとし、いずれも合法的な手続きで雇用し、訓練や昇進の基準に違いはないと主張した。
労組から陳情書を受け取った交通部航政司の担当者は、飛行の安全を一貫して堅持する交通部の立場を説明し、労使の対話を促すよう民用航空局に要請すると述べた。