チームワークとは? 高める方法やエンゲージメントとの関連性などを紹介

2021年9月28日

「チーム」の状態の良し悪しは、業務の効率性や成果、また人材育成に影響するため、非常に重要です。しかしその重要性を認識しているからといって、理想とするチームワークを実現できているとはかぎりません。
本記事では、チームワークとは何かを改めて考えるとともに、チームワークを向上させる要素について整理していきます。

チームワークとは

ビジネスにおけるチームワークの定義や重要性を紹介します。
「チームワーク」とは、メンバーの特長を生かして能力を補完し合い、協働することとされています。なぜ今、チームワークが必要とされているのか。まずは、チームとよく似た用語である「グループ」との違いを見ていきましょう。

チームとグループの違い

チームとグループは同様に扱われることもありますが、その概念は異なります。

チーム:共有の目標や目的があり、その達成のために集まった/集められた集団。お互いの特長を生かし能力を補完し合う行動をとる
グループ:共有の目標などは特になく、同様の業務をしているなど共通の要素を持っている人たちを分類、区分けした集団。基本的に個々で作業する

ビジネスにおけるチームとは

組織におけるチームとは、共有する目標の達成や価値の獲得のために、協働し連携する集団です。ビジネスにおいては効率的に業務を遂行するための単位と考えるといいでしょう。

中には単発のプロジェクトもあるかもしれませんが、企業運営上は一つの業務を遂行した後も継続して次の課題に取り組むことが多いため、メンバー間のコミュニケーションやチームとしての活力を連続的に保つことも重要です。

企業では異動や入社により、しばしばメンバーの交代が発生します。しかし、チームとしての目的が共有されており、コミュニケーションが取れていれば、メンバーの入れ替えがあってもチームとしての機能は維持できるはずです。

チームワークが必要とされる背景

近年、チームワークの重要性が増していると考えられます。それはビジネスにおいて次のような背景があるからです。

  • ビジネスサイクルの短縮化
    製品のモジュール化やオープンイノベーションが進みつつあることで、商品開発から資金回収までのサイクルが短くなっています。また製品・サービスのライフサイクルも短縮化され、資金回収できる期間そのものも短くなっています。社員同士の協力でよりスピード感のある商品開発などを行い、事業収益を上げていかなければなりません。

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  • ダイバーシティ時代の到来
    性別や職歴、国籍など人材の多様化に加え、勤務時間や勤務方法などの働き方の多様化が進んでいます。さまざまな個性や働き方の異なる人材を最大限活用するには、同質性にこだわらない自由なチーム設計が有効です。あえて専門性や職歴の異なる人間同士を組み合わせることで、お互いの視野が広がり、不足しているところを互いに補完し合い、結果として高いパフォーマンスを発揮する可能性もあります。

チームワークを高めることの効果

「メンバーの強みを生かした業務配分」「相互サポート」など、チームワークを向上させることによってチーム全体の生産性向上が期待できます。個々の活動ではなかなか結果を出せていない社員を、チームのサポート役にあてることで能力を発揮しやすくするといった適所適材も図れます。

経験値の異なるメンバーでチームを形成することで、次のような人材育成の効果も期待できます。

  • 新入社員と中堅社員が一緒にチームを組むことで、適切な指導やアドバイスを受けることができる
  • それまでプレイヤーとして働いていた社員が、指導する役割を得ることによってマネジメント能力を鍛えることができる
  • 同じ目標をもった複数の人材と協働して働くことで自分の強みや弱みを理解しやすくなり、主体的な成長を助長できる
  • 課題に対する解決策をチームの一員として体験できることで、多くの経験値を手に入れることができる

縦横ともに十分なコミュニケーションを取ることができる連携の良いチームでの経験を積むことで、組織への愛着が生まれる可能性もあります。協働し、成果を出していくことが自信につながり、それが正しく評価されれば組織への信頼感も生まれるでしょう。結果的にエンゲージメントの向上につながるでしょう。

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チームワークを高めるために大切な要素

チームワークを高めるのに必要な要素とはなんでしょうか。

  • 目的の一致
    チームの役割を含めた目的を設定し、浸透させます。チームメンバーが同じ目的に向かってまとまることが重要です。
  • 参画型のリーダー
    権力型ではなく、チームメンバーや業務遂行に関わり合う参画型のリーダーが不可欠です。リーダーシップは重要ですが、「決めつけ」「思い込み」に偏ると、コミュニケーションが阻害されるので注意が必要です。
  • 責任の共有
    リーダーだけが責任を抱え込んでいるチームは、メンバーのパフォーマンスが阻害される懸念があります。「チームの中で起こったことはチーム全員で責任を共有する」という意識を持つことで、個々の能力を最大限活用します。
  • コミュニケーションの活性化
    互いに相手の話をよく聞き、お互いを知ることが大切です。また自らが発言する場合はオープンに伝え、相手からの批判や改善を受け入れる態度でプロジェクトに臨むことで、相互影響と協働を促進します。

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  • 未来型思考
    過去の失敗に引きずられることなく、将来を肯定的にとらえていく姿勢が大切です。肯定的なミーティングやトラブル時の迅速な対応も未来型思考を構築する一助になるでしょう。

これらの要素を大切にすることで、チームワークの向上が見込まれ、より効率的に仕事を進めることができるはずです。

チームワークを高めるために欠かせない「心理的安全性」とは

ここまで見てきたとおり、チームワーク向上のためには、相互理解や活発なコミュニケーションが必須です。その土台として、チームの「心理的安全性」を確保することが重要です。

ビジネスにおける心理的安全性とは、上司や他のメンバーからの反応を予想して発言を恥ずかしく感じたり、萎縮したりすることなく、自然な自分をオープンにすることができる状態を指します。本当の意味でオープンであるために、自分の意見を言いやすいということだけでなく、日々の成長に向けた大小のチャレンジに対する支援や結果でなくチャレンジした行為への承認なども重要です。「言いたいこと、言いにくいことを率直に言える雰囲気の醸成」であり、その結果として「正直な自分の状態をさらけ出せる組織」ができるとも言えるでしょう。

チームがこのような状態を維持できると、「わからないことが聞けない」「発言するのが怖い」といったことがなくなり、互いにアイデアを出し合い、さまざまな視点からの解決方法が提案されるポジティブな作用が期待できます。アイデアの取りこぼしが減るため、イノベーションも生まれやすくなるでしょう。

また心理的安全性の確保されたチームでは、次のようなメリットも生じます。

  • 仕事以外のことに煩わされることなく業務に集中できるため、生産性の向上が見込める
  • 小さな疑問についてもためらわず質問できるため、認識違いや初歩的な確認ミスを防止できる
  • 失敗をした時に「叱責や評価が下がることを懸念して失敗を隠す」ことがなくなる

チームメンバー全員が上下関係に囚われず、互いの意見を真摯に聞く姿勢を持つことで、心理的安全性は確保できます。

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チームワークは業務効率を上げる大切な要素

チームとは、単に複数の人材が集まって業務を行うだけではなく、責任や目的を共有し、かつ協働・連携していく集団です。互いに能力を補完し合うことで個々のパフォーマンスが向上し、より効率的に業務を行えるようになれるのが「チームワークの力」です。チームワークの向上により、成長の促進やエンゲージメントの向上も期待できます。業務効率を上げるためにも、社員のポテンシャルを引き出すためにも、チームワークを高めていきましょう。

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