北朝鮮・平壌の高層マンション。部屋の中やベランダには暖房用のボイラーやキムチ甕が勝手に置かれている(写真:AP/アフロ)

(郭 文完:大韓フィルム映画製作社代表)

 テレビなどの映像に映る平壌は意外と現代的だ。2012年に建設された倉田(チャンジョン)通り、13年の銀河科学者通り、14年の衛星科学者住宅地区、15年の未来科学者通り、17年の黎明通りなどに建てられたマンションは誰の目にも現代的に見えるだろう。

 もっとも、雨後の竹の子のように建てられる平壌の超高層マンションは、華やかさの裏に恐るべきリスクを抱えている。端的に言えば、マンションの各住戸に、設計上の前提を上回る荷重がかかっているリスクだ。

 その荷重の主な要因は“暖房器具”だ。

 北朝鮮の電力事情は劣悪だが、とりわけ冬場に困難な状況に陥る。北朝鮮の電力は火力と水力に依存しているが、冬場は凍ってしまうため、水力発電所は稼働を停止する。もう一つの火力発電も石炭が絶対的に不足している上に、北倉火力発電所や平壌火力発電所の発電設備の老朽化が進んでいるため、電力の生産効率を高めることができない。

 それゆえに、平壌の高層マンションは冬の暖房問題を常に抱えている。

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