総括判断を下方修正 「緩やかな回復」は据え置く=5月月例経済報告

総括判断を下方修正 「緩やかな回復」は据え置く=5月月例経済報告
 5月24日、政府は5月の月例経済報告を発表し、景気の総括判断を下方修正した。都内で10日撮影(2019年 ロイター/Issei Kato)
[東京 24日 ロイター] - 政府は24日、5月の月例経済報告を発表し、景気の総括判断を下方修正した。中国経済減速を受けた生産動向の弱さに広がりが見えていることや、設備投資も機械投資が足元弱めとなっていることが背景。
4月の「輸出や生産の一部に弱さもみられるが、緩やかに回復している」との表現から「一部」を削除した一方で、消費や設備投資のファンダメンタルズはしっかりしていることから、「緩やかな回復」との表現は据え置いた。
総括判断の表現は「輸出や生産の弱さが続いているものの、緩やかに回復している」とした。「緩やかに回復している」との表現は2018年1月以来、1年5カ月連続で踏襲している。
今月半ばに発表された3月景気動向指数における景気の基調判断が「悪化」となったため、政府の景気判断である「月例経済報告」でも「緩やかな回復」が下振れするかどうかが注目されていた。内閣府では、生産の関連指数が高いウエートを占める景気動向指数と異なり、政府の景気判断ではサービス分野も含めた幅広い経済動向を網羅して判断していること、国内総生産(GDP)の8割を占める非製造業の活動は各種指標からみて持ち直していること、消費や設備投資といった内需のファンダメンタルズはしっかりしていることを挙げた。
個別項目では、生産と設備投資を下方修正した。公共投資は上方修正となった。
生産は前月の「一部に弱さがみられ、おおむね横ばいとなっている」から、「このところ弱含んでいる」に下方修正。中国経済減速の影響でアジア向けの輸出が減少しており、情報関連財に加えて生産機械とその関連財にも影響が広がっていることが背景。
設備投資は前月の「増加している」を「このところ機械投資に弱さも見られるが、緩やかな増加傾向にある」に下方修正。資本財総供給に弱い動きが見られるほか、機械受注統計も足元弱い。ただ、日銀短観の19年度設備投資計画や機械受注の先行き見通しはしっかりしていることも強調。
個人消費については「持ち直している」との判断を据え置いた。4月の新車販売やゴールデンウィークの旅行者数が大きく増加していることなどが背景。
輸出の判断については「このところ弱含んでいる」で据え置いた。アジア向け輸出の弱さが目立っている。
海外経済の判断でも、すでに1月に「減速」に下方修正した中国に加え、今月は韓国を「弱い動き」に下方修正した。世界景気全体については「アジアおよび欧州の中では弱さがみられるものの、全体としては緩やかに回復している」として、今年2月以来の判断を据え置いた。

中川泉 

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