米鉄鋼業界は来年第1四半期増益見通し、在庫拡充需要に伴う価格高騰で

米鉄鋼業界は来年第1四半期増益見通し、在庫拡充需要に伴う価格高騰で
 米国の鉄鋼メーカーは来年第1・四半期に増益が予想される。ペンシルベニア州ファレルの製鋼所で2018年3月撮影(2023年 ロイター/Aaron Josefczyk)
[15日 ロイター] - 米国の鉄鋼メーカーは来年第1・四半期に増益が予想される。全米自動車労働組合(UAW)が米自動車大手3社(ビッグスリー)に対してストライキを実施する前に一時調達を休止していた買い手が、再び急いで在庫を積み増そうとしており、鉄鋼価格が高騰しているためだ。
最終財の鉄鋼製品として最も活発に取引される熱間圧延鋼板(HRC)のスポット価格は、9月にショートトン当たり平均734ドルだったが、現在は950ドル前後まで跳ね上がったことが、コモディティー調査会社CRUグループのデータで分かる。
各メーカー向け鉄鋼製品供給で重要な役割を果たしている「サービスセンター」は、ビッグスリーのUAW加入労働者によるスト開始前、購入を停止していた。
ただ在庫水準が低かった上に、ビッグスリーが操業を再開したこともあり、多くのサービスセンターはすぐに大口の発注を迫られた。
CRUのシニアアナリスト、ライアン・マッキンリー氏は「価格が底を打ったと認識し、安定的な需要を踏まえてサービスセンターは製鉄所に大口の注文を出し、UAWのストに入る2週間で価格をまた上昇基調に戻した」と述べた。
Reuters Graphics Reuters Graphics
米鉄鋼製品需要のうち自動車セクターはおよそ25%で、どの年でもその65%前後をビッグスリーが占める、とCRUのデータは示す。
こうした中でクリーブランド・クリフス(CLF.N), opens new tabの自動車部品向け鉄鋼製品出荷は第3・四半期に過去最高水準を記録。同社はHRCのスポット取引価格を9月以降で4倍に引き上げ、現在はショートトン当たり1000ドルと、足元の市場価格を上回っている。
ニューコア(NUE.N), opens new tabはHRCの取引価格を950ドルまで上げ、USスチール(X.N), opens new tabも最近、価格を100ドル引き上げると発表した。
JPモルガンのアナリストチームは10月29日のノートで、在庫拡充のために市場に再参入するサービスセンターが増えているので、価格が上昇する流れは持続するかもしれないとの見方を記した。
ただキーバンク・キャピタル・マーケッツのフィリップ・ギブス氏の話では、各鉄鋼メーカーは第4・四半期のコア利益については、前期比で減少を見込んでいる。相対的に価格が低かった夏場の受注取引が業績に反映されるためだ。

※関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab