情報BOX:中東に駐留する米軍部隊、その場所と活動

情報BOX:中東に駐留する米軍部隊、その場所と活動
 1月30日、中東における米軍のプレゼンスについて分かっていることは、以下の通り。写真は、ヨルダンと米国の旗を掲げて走行する軍の車両。ヨルダンのザルカで2022年9月撮影(2024年 ロイター/Alaa Al Sukhni)
[ワシントン 30日 ロイター] - ヨルダンにある米軍事施設「タワー22」が28日、無人機に攻撃され、米兵3人が死亡、数十人が負傷した。中東にはこの他にも多くの米軍基地がある。中東における米軍のプレゼンスについて分かっていることは、以下の通り。
◎中東にある米軍基地の場所
米国は何十年もの間、中東各地で基地を運営してきた。2011年にはアフガニスタンに10万人以上、07年にはイラクに16万人以上の米軍が駐留していた。
21年にアフガニスタンから撤退した後、その数ははるかに少なくなったが、それでも約3万人の米部隊がこの地域に点在している。
さらに昨年10月にイスラエルとパレスチナ自治区ガザとの戦争が始まって以来、米国は軍艦を含め、この地域に数千人の追加部隊を一時的に派遣している。
中東最大の米軍基地は、カタールのアル・ウデイド空軍基地。1996年に建設された。この他、バーレーン、クウェート、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)などに米軍は駐留している。
シリアには約900人の部隊を駐留させており、アル・オマル油田やアル・シャッダディといった小規模な基地が主にシリア北東部にある。シリアとイラク、ヨルダンとの国境近くには、アルタンフ駐屯地という小さな前哨基地がある。
イラクには、「ユニオンIII」やアイン・アル・アサド空軍基地のような施設に分散して2500人の要員がいるが、これら部隊の将来については協議中だ。
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◎中東に駐留する理由
米軍が中東に駐留している理由はさまざまで、シリアを除いては各国政府の許可を得て駐留している。
イラクやシリアなど一部の国では、米軍は過激派組織「イスラム国」(IS)と戦う目的で駐留しており、現地部隊への助言も行っている。しかし、過去数年間はイランの支援を受けた勢力から攻撃を受け、こうした勢力に対して行動している。
この地域における米国の重要な同盟国であるヨルダンには数百人の軍教官を置き、年間を通じて大規模な演習を行っている。
カタールやUAEでは、米軍は同盟国を安心させ、訓練を実施するために駐留しており、必要に応じて地域の作戦に加わる。
◎米国には外国の軍事基地があるのか
米同盟国は、米軍の訓練や協力のために部隊を派遣することがあるが、米国内に外国軍の基地はない。
◎タワー22
28日に無人機攻撃があったタワー22は、ヨルダンの戦略的に重要な場所であり、同国とシリア、イラクとの国境において最も北東部に位置する。
タワー22は、少数の米部隊が駐留するシリアのアルタンフ駐屯地に近い。同駐屯地はISとの戦いにおいて重要な役割を担ってきた場所であり、現在はシリア東部におけるイランの軍事力増強を封じ込める米戦略の一環として機能している。
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◎中東の米軍基地はよく攻撃されるのか
米軍基地は高度に警備されており、ミサイルや無人機から守るための防空システムもある。カタール、バーレーン、サウジアラビア、クウェートといった国々にある施設は通常攻撃されない。
しかし、イラクやシリアに駐留する米軍は近年、頻繁に攻撃を受けている。パレスチナ自治区のイスラム組織ハマスがイスラエルを奇襲攻撃した昨年10月7日以来、米軍はイランを後ろ盾とした民兵によって160回以上攻撃を受け、タワー22の攻撃より前の段階で約80人の兵士が負傷していた。

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