商談・根回し・トラブル対応……うまく立ち回れていますか? 交渉を有利に進める方法は心理学的に解明されつつあります。今回は交渉を成功に導く7つのテクニックをご紹介します。
1.ダブル・バインド
人はあらかじめ並べられた選択肢にのみ目が行きがち。交渉のときに示す選択肢は、どれが選ばれても提示側の利益になるものだけにしぼりましょう。ダブル・バインド という手法です。提示されている側なら「ほかにも選択肢があるのではないか」と疑うべきです。
<ダブル・バインドを用いた交渉の例>
(店)高品質な商品と低品質な商品 、 どっちを買います? ⇒(客)もちろん高品質なほうをください!(買わないという選択肢の存在が思い浮かばない)
<NG例>
(店)必要なら、購入を検討してみてください! ⇒ (客)必要ないので買わない
2.ソクラテス・ストラテジー
こちらの主張など聞く気はないという相手にはソクラテス・ストラテジーで対応します。意見を直接主張せず、質問の中に紛れ込ませることで相手の態度を変えていく技術です。
<低品質・低価格品のユーザーに、高品質・高価格の自社製品を売り込む場合>
自分「コストカットに取り組んでいるんですね?」
顧客「重要なのはコストですね」
自分「品質には目をつぶる感じですか?」
顧客「品質も妥協したくないですけどね」
自社製品の質をいきなりアピールするよりも、品質にこだわる旨を顧客自身が発言するように誘導すれば話を聞いてもらいやすくなります。
3. ミラーリング
交渉に必要なのは信頼関係です。さりげなく相手をマネるミラーリングは、仲間に対する尊敬や好意のしるしと受けとめられ、相手の信頼を得ることができます。
次のポイントを意識してマネてみてください。
・ 声のトーン 例)高い声の相手には、高めの声で話しかける
・ 口調 例)ゆっくりしゃべる相手には、ゆっくり話す
・ しぐさ 例)相手がドリンクを飲むタイミングで自分も飲む
4. 対比効果
人は選択肢を比較してマシと思えることを選択します。交渉の鉄板テクニック・対比効果です。海外の市場でときたま出会うボッタクリは対比効果の典型です。
対比効果を使った交渉は、以下のように進めます。
1.高価格を突きつける
(市場価格1000円、ボッタクリ価格5000円)
2.戸惑う客に対して、値下げする
(2500円)
3.それでも納得のいかない客には、端数分の値下げ
(500円引いて2000円)
4.元の半値以下で売っても、市場価格で販売するより利益が出る
(2000円-1000円=1000円)
5. 限定感で動機づける
対象や期間を限定すると、買う動機につながることが判明しています。
・ あなただけに言う 例)投資詐欺
・ 今しかできない 例)タイムセール、レディースデイ
6. バンドワゴン効果
人気のあるものや支持されているものに惹かれる心理をバンドワゴン効果といいます。実際の価値とは無関係に勝ち馬に乗りたいという思いで行動を決定します。
<口コミランキング>
低い→店に入る気がしない
高い→美味しいに決まってる。入ろう!
交渉をしかけるときは、資料を提示しながら「この場合、多くのかたは◯◯しています」と誘導しましょう。
7.カリギュラ効果
禁止された途端、その行為を無性にやってみたくなる。カリギュラ効果と呼ばれる心理作用ですが、あなたにも経験があるはずです。
鶴「絶対にのぞかないでください」→お爺さんにのぞかれる
Webメディア「閲覧注意!」「悪用厳禁」→読まれる
おわりに
人生は交渉です。テクニックしだいで生活のすべてがスムーズに回り出します。ウデに磨きをかけて、難局をうまく乗り切っていきたいものです。