都市部最速の移動手段パナソニック ジェッター BE-ELHC 2021年モデル

電動自転車 2022/8/4
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都市部最速の移動手段パナソニック ジェッター BE-ELHC 2021年モデル

RAN KONOE医師兼研究者

工学系大学院で再生医学を研究する傍ら、「できるだけ短時間で強くなる」を目標に自転車トレーニングに関する論文を読みあさっている。休日はGPSで日本地図を描く「伊能忠敬プロジェクト”を個人的に進行中」個人ブログやFUNRiDEの連載でも自転車に関連する論文紹介をしている。

昨今、注目が高まる電動アシスト自転車。「アシストは邪道だ」とかたくなに避けてきたスポーツ自転車マニアが、パナソニック「ジェッター BE-ELHC 2021年モデル + 専用充電器」に試乗。電動アシストにほれ込んでいく様を記しています。

マニアが試す電動アシスト自転車

近年、コロナや環境配慮の面から、移動手段として自転車が注目されています。特に電動アシスト自転車はその手軽さから近年、販売台数を伸ばし、各メーカーがさまざまな趣向を凝らした製品を作り出しています。

そこで今回は、パナソニックのスポーツタイプ「ジェッター BE-ELHC 2021年モデル + 専用充電器(以下ジェッター)」を、自転車ガチ勢である筆者が本気で検証します。

乗り心地をレポする筆者は自転車をこよなく愛する30代女性。ロードバイク歴は8年になり、暇さえあれば全国を自転車で走っています。ロードバイク以外にもシティサイクル、ピストバイク、ミニベロも保有しており、最近は折りたたみ自転車にも興味が湧いています。乗っていないと体調が悪くなるほどの自転車狂です。

そんな私ですが、実は電動アシスト自転車は一度も試したことがありませんでした。また、スポーツ自転車に乗るものとして、どこかで電動アシストはズルをしているような引け目を感じていました。正直、アシストが付くとスポーツ自転車の軽快さなどがなくなるのではと思い、手を出さずに生きてきました。そんな頑固な自転車狂の私が、ついに電動アシスト自転車にまたがります。はたしてその真価はいかに。

さて、私が試乗したのはジェッターのマットチャコールブラック。見た目はマウンテンバイク寄りのクロスバイク。艶消しの黒で全体が統一されていて、武骨な雰囲気を醸し出しています。タイヤは700×38Cと一般的なロードバイクやシティサイクルと比べてかなり太めになっています。(実測太さ40mm)

フレームサイズ展開は390mmと440mmの2種。今回のフレームサイズ390mmに身長167cmの私が乗ったところライドポジションはぴったりでした。ハンドル周りを見てみましょう。ベル、サイクルライト、簡易サイクルコンピューターも付いており、アシスト力とケイデンス、スピードを確認できます。何かパーツを追加する必要はなさそうです。

次に自転車乗りが必ずチェックする、チェーン周りを見てみましょう。 自転車の性能はチェーンと歯車であるギアの部分が重要であり、自転車の「心臓」ともいえるパーツです。ジェッターはシマノのロードバイク用コンポーネント「Claris」を採用。ロードバイク用の装備が搭載されている点にスポーツモデルと名乗るだけの意気込みを感じます。

またチェーン周りにはカバーが付けられ、見た目をすっきりさせるだけでなく、洋服の裾がチェーンに巻き込まれる不幸な事故を防止してくれます。
総論としては、電動アシスト自転車の中でもかなりスポーツ自転車を意識した製品であるという印象です。

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ロードバイクより速い!

興奮のあまり前置きが長くなりました。実際に乗ってみましょう。

乗り心地も見た目同様、マウンテンバイクに近い印象です。太めのタイヤが衝撃を柔らかく吸収してくれるので、少々の段差ではびくともしません。走行能力はロードバイク用のコンポーネントのおかげか、踏み込みをダイレクトに伝えてくれ、ぐいぐいと進みます。自転車としての性能がそもそも良いので、アシストがなくとも平地では楽々スピードが出せます。乗り心地はまさにスポーツ自転車のそれです。

気になるバッテリーは、「ECO」モードで85km、「HIGH」モードで45km、その間となる「AUTO」モードで54kmとなっています。私はAUTOモードで毎日10kmほど使用しましたが、充電は1週間に一度、4時間の充電で事足りました。

1つ欠点を述べると、普通の自転車と比べてやや重く取り回しが面倒な点。重量は21kgと、電動アシスト自転車の中では軽量モデルですが、普通の自転車に乗り慣れている人にとっては重たく感じます。降りて押して歩くとその重さで取り回しが難しく、方向転換をするにはある程度慣れる必要があるでしょう。ただし飽くまで降りたときの話であり、乗ってるときには気になりません。

さて、乗った印象だけでなくデータも見たいと思い、ちょっとした実験を実施。サイクルコンピューター(走行データのログを記録できるデバイス)を持参し、普段ロードバイクで走っているコースを同様に走って比較してみました。

このコース、普段はロードバイクで38分というコースです。ところがジェッターでは32分台。何とロードバイクよりも5分以上も速いという結果となりました。 さらに心拍数を見てみると、ほとんど上昇しておらず、散歩程度の運動強度にとどまっています。

なぜスピードに特化したロードバイクよりも速い結果になったのでしょうか。

筆者は都市部特有の交通事情が関連していると考えています。 都市部は信号がとにかく多く、これがロードバイクにとっては致命的。ロードバイクはスピードが出るように設計されていますが、飽くまで速いスピードを維持するためのもの。停止状態から発進する場合は通常の自転車同様、ある程度ペダルを踏まないといけません。信号の多い都市部では、止まる→加速→信号→止まるの繰り返しで、速いスピードを維持するロードバイクのメリットがなくなってしまうのです。

一方の電動アシスト自転車は、発進をアシストするのでトップスピードに至るまでが早くなります。加えて、この自転車はスポーツタイプなのでスピードの維持も楽々。

ストップ&ゴーが多い都市部では、電動アシスト自転車のメリットが最大限生かされ、結果はロードバイクよりも速くなったと考えられます。実際に路上でも多くのロードバイクを抜きました。さらにこのルート、電車では45分(駅までの徒歩時間を含む)、車で50分という距離。飽くまでこのルートの話ですが、都内では事実上最速の移動手段という結果になりました。

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この1台で万事ヨシ。

以上を踏まえてのインプレッション総括です。

都市部で移動する場合、電車では駅までの徒歩時間や乗り換え時間もかかります。また、車やバイクでは信号や一方通行、さらには駐車場の確保も必要になってしまいます。その点、自転車は都市部ではすばらしい移動手段であり、その中でもこのスポーツタイプの電動アシスト自転車は自転車界でも都会最速の存在になることでしょう。

このことからジェッターは、実用的な移動手段としてのスポーツ自転車を探している方におすすめしたい1台です。特に10km以上の通勤の場合、仕事終わりの疲れた体でペダルを踏むのは面倒。電動アシスト自転車はその精神的なハードルを下げてくれるでしょう。およそ14万円超(2022年7月19日時点)という価格がネックという方でも、交通費として捉えると実はかなりお買い得。仮に月に2万円以上を定期に払っているなら、8か月で元がとれる計算になります。さらにこの自転車には3年間の盗難補償も付与されており、万が一被害にあったとしても安心。移動手段として、スピード・価格ともにメリットは大きいでしょう。

また、現在ロードバイクで移動をされている、「ガチ勢」の皆さまにも、普段使いの2台目としておすすめしたい選択肢です。スポーツバイクに慣れている経験者であれば、アシストなしでも十分に乗って楽しい自転車ですし、ちょっと疲れたなと思えばアシストをオンにすればいいのです。価格は街乗り自転車としてはお高めですが、普段使っているロードバイクの値段と比べればかなりお安い。深い深い自転車沼の中でも「浅めの沼」です。

急ぐときも急がないときも、頑張るときも頑張らないときも、この1台で万事ヨシ。 価格.com

文・写真・モデル:鴻江蘭 写真:文田信基(fort)

パナソニック ジェッター BE-ELHC 2021年モデル
+ 専用充電器
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パナソニック ジェッター BE-ELHC 2021年モデル + 専用充電器

タイヤサイズ: 700×38C
補助走行距離: パワーモード 45 km / オートモード 54 km / エコモード 85 km
充電時間: 4 時間
サドル高: 390mm:755mm〜940mm 440mm:800mm〜985mm
全幅: 590 mm
カラーバリエーション: シャイニーブルー / マットチャコールブラック / サンゴールド / シャインパールホワイト

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