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口外禁止条項を覆されビジネスに影響が出た場合、損害賠償を請求できるか?

2023年06月05日
  • 労働問題
  • 口外禁止
  • ビジネス
口外禁止条項を覆されビジネスに影響が出た場合、損害賠償を請求できるか?

労働者との間の労働事件が解決した場合には、他の労働者や取引先への影響を考慮して、口外禁止条項を設けることがあります。このような口外禁止条項を設けることによって、紛争や和解内容が第三者に知られることを防ぐ効果が期待できます。

しかし、口外禁止条項があるにもかかわらず、その約束を破り、SNSなどで紛争や和解内容を公表されてしまう場合もあります。

本コラムでは、ビジネスにおける口外禁止条項違反への対応や損害賠償請求ができるケースとできないケースの違いなどについて、ベリーベスト法律事務所 川越オフィスの弁護士が解説します。

1、口外禁止条項とは?

まず、口外禁止条項の概要と、ビジネスで口外禁止条項が使用される場面について解説します。

  1. (1)口外禁止条項の概要

    口外禁止条項とは、紛争やトラブルが解決した際に、紛争や和解内容が第三者に知られることを防止する目的で、主に労働者側が紛争の経緯や和解内容を第三者に公表しない旨を内容として設けられる条項です。
    口外禁止条項の具体例は、以下のようになります。

    • 甲および乙は、本件紛争の経緯および合意内容について、正当な理由のない限り第三者に口外しないことを約束する(合意による解決の場合)
    • 申立人と相手方は、本件紛争の経緯および本調停内容について、第三者に口外しないことを相互に確認する(調停や労働審判による解決の場合)


    口外禁止条項を設けていないと、労働者側が紛争の経緯や和解内容を第三者に公表してしまうリスクがあります
    そのため、労働事件が解決した場合には、ビジネス上の影響を考慮して、口外禁止条項を設けるのが一般的です。

  2. (2)口外禁止条項がビジネスで使用されるシーン

    以下では、口外禁止条項がビジネスで使用されるシーンの例を挙げます。

    ① 未払いの残業代請求に関して和解が成立した場合
    未払いの残業代がある場合には、労働者から未払い残業代の請求を受けることがあります。
    未払いの残業代の存在を示す証拠がある場合には、会社としても請求に応じる必要がありますので、当該労働者に未払い残業代の支払いをしてトラブルは解決となります。

    しかし、当該労働者が他の労働者に対して、会社から未払いの残業代が支払われたということを公表してしまうと、他の労働者からも同様に未払いの残業代請求をされるリスクが生じます
    相手が一人であれば未払いの残業代に対応できても、複数人から同時に未払いの残業代請求をされると会社のキャッシュフローも厳しい状況になってしまいます。
    そのため、紛争の経緯や和解内容が他の労働者に伝わるのを防ぐ目的で、口外禁止条項が設けられるのです。

    ② セクハラやパワハラを理由とした損害賠償請求に関して和解が成立した場合
    労働施策総合推進法の改正などによって、企業にはセクハラやパワハラといったハラスメントを防止するための措置をとることが義務付けられました。
    また、セクハラやパワハラといった問題は、世間でも注目を集めている社会問題であるため、企業にはハラスメント防止に向けて真摯な対応をすることが求められています。

    セクハラやパワハラによって労働者から損害賠償請求を受け、企業側の責任を認めて労働者と和解する場合、その内容が世間に知られてしまうと、「ハラスメントをしていた企業」というイメージが広まり企業の社会的評価が著しく低下してしまうリスクがあります
    このようなビジネス上の不利益を回避する目的で、口外禁止条項が設けられることもあるのです。

    ③ 解決金の上乗せをして和解が成立した場合
    複数の労働者との間に生じたトラブルであっても、それぞれ個々の労働者との話し合いによって解決するのが一般的です。
    会社からの解決案に応じてくれない労働者に対しては、解決金を上乗せするなどの対応によってトラブルを解決することも可能ですが、解決内容によっては他の労働者と比べて不公平な内容になることがあります。

    和解内容が他の労働者に公表されてしまうと、不公平な和解内容に不満を抱いた労働者との間で、再びトラブルが生じてしまうおそれがあります
    そこで、口外禁止条項を設けることによって、他の労働者に和解内容が伝わることを防止する場合があるのです。

    ④ 営業秘密に関するトラブルの場合
    営業秘密の不正取得、機密情報漏洩、機密文書の流出などをめぐるトラブルが生じた場合には、紛争の内容が第三者に公表されてしまうと、機密情報が外部に知られてしまうおそれがあります。

    そのため、機密情報が流出することを防止するために、情報管理を目的にして口外禁止条項が設けられる場合があるのです。

2、口外禁止条項で縛れる範囲

口外禁止条項を設けることによって、口外禁止条項の対象となっている事項について第三者への公表を禁止することができます。

たとえば、口外禁止の対象を限定していない場合には、知人、友人、家族などすべての第三者に対する口外を禁止することができます。

口外禁止条項の効果を高めるために、口外禁止の対象や方法は限定しないのが一般的です
ただし、相手が口外禁止条項を設けることに反対をしている場合には、一部対象を限定するなどの方法が必要になることもあります。
そのような場合には、紛争の内容や和解内容が外部に漏れてしまうリスクがあるため、注意が必要です。

3、損害賠償請求ができるケースできないケース

以下では、労働者が口外禁止条項に違反して紛争や和解内容を外部に公表した場合に、損害賠償請求をすることができる場合とできない場合についてそれぞれ解説します。

  1. (1)損害賠償請求ができるケース

    口外禁止条項と併せて違約金条項が設けられている場合には、口外禁止条項違反を理由として損害賠償請求をすることができます

    違約金条項とは、債務の不履行があった場合に債務者が債権者に対して、違約金を支払うことを約束した条項です。
    具体的には、以下のような内容の条項のことを指します。

    • 乙は、甲に対し、口外禁止条項に違反した場合、違約金として○○万円を支払う


    契約上の義務違反があった場合には、債権者は、債務者に対して、損害賠償請求をすることができます。口外禁止条項の場合、約束に反し、口外した場合が契約上の義務違反(債務の不履行)といえるでしょう。
    しかし、損害賠償請求をするためには、債権者の側で、どのような損害が生じており、損害額がいくらであるのかを立証しなければなりません。
    口外禁止条項と併せて違約金条項を設けておくことによって、労働者が口外禁止条項に違反をした場合には、損害賠償額の立証の手間を省いて、あらかじめ合意した損害額を請求することが可能になります。

    口外禁止条項と併せて違約金条項を設けることによって、口外禁止の効果をより高めることができます。
    労働者と合意する際には、違約金条項の活用も検討するようにしましょう。

  2. (2)損害賠償請求ができないケース

    以下のようなケースについては、口外禁止条項違反を理由として損害賠償を請求することができません

    ① 口外禁止条項違反があったかどうかを立証できない場合
    理論上は、口外禁止条項に違反して第三者に和解内容などを告げた場合には、債務不履行を理由とする損害賠償請求は可能です。
    しかし、実際には、「その人による口外があった」ということを立証することは困難な場合が多いといえます。

    和解内容などが第三者に漏れたことが明らかであっても、「和解をした当事者から漏れた」ということまで立証できなければ、口外禁止条項違反を理由として損害賠償を請求することはできません。

    ② 口外禁止条項違反による損害を立証できない場合
    口外禁止条項違反が立証できたとしても、次の段階として、「どのような損害が生じて、損害額がどのくらいであるか」ということを立証しなければなりません。

    たとえば、他の労働者に口外したために他の労働者からも未払いの残業代請求をされたとしても、未払いの残業代を請求することは、労働者としての正当な権利を行使することであるため、それを「損害」と主張することはできません。
    このように、損害を立証することができなければ、口外禁止条項違反を理由として損害賠償を請求することはできないのです。

4、ビジネスにダメージが出る前に、弁護士へ相談

労働者との間の労働問題を解決することができたとしても、その内容が外部に公表されてしまうと、企業としては大きなダメージを受けるおそれがあります。
そのようなビジネス上のダメージを回避または軽減するためにも、早い段階から弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、労働者との間で和解を成立させる際の和解条項に関してアドバイスすることができます
また、単なる口外禁止条項だけではなく違約金条項をセットで設けることによって、口外禁止の効果をより高めることができ、口外禁止条項に違反をした場合の損害賠償請求も効果的に行える可能性が高まります。
将来のトラブルを回避するためには、法的知識や経験が不可欠となるため、まずは弁護士にご相談ください

5、まとめ

企業は、労働者との和解内容に口外禁止条項を設けることによって、ビジネス上の不利益を予防できる場合があります。

労働者との間で和解を成立させる際には、法律の専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
労働者との間のトラブルでお悩みの企業は、ベリーベスト法律事務所まで、お気軽にご連絡ください

  • この記事は公開日時点の法律をもとに執筆しています

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