復活シン・矢野へ「リーディング取り返す」

2024年1月26日 05:00

矢野貴之

 【大いに気になる!】先週18日に船橋で行われた報知グランプリカップをエルデュクラージュで制して、今年初めての重賞タイトルをもぎ取った矢野貴之(39=大井)。今や押しも押されもせぬ南関東のトップジョッキーだが、新年早々の重賞Vに“やれる”を実感した満足感たっぷりの表情を見せた。

 「今年の1年間であの2カ月半を取り戻したい」

 そう話す「あの」とは昨年8月8日の船橋開催での事故のこと。足首を骨折し、最初の医師の診断は全治半年。「重賞を勝てそうな馬もいたし、騎乗依頼を受けた手応えのある2歳馬もたくさんいたのに全てなくなった。本当に泣きたくなった」と絶望の淵をさまよった。

 それでも気持ちが一変したのは無事手術が終了し、リハビリが始まって「(復帰が)3カ月でいけるかも」と医師から言われた言葉だった。これまでやったことのない食事制限、サプリメントの活用。さらに筋力を含むさまざまなトレーニングを活用して10月29日の大井開催で復帰してみせた。当時はさすがに体が戻りきっていないため「レース勘で乗っていたが、そこで大きなことに気づいた。それが馬のリズムを大切にすることだった」。昨年暮れ、それを実践することで勝ち星が伸びていった。さらに分かりやすく体現してみせたのが冒頭の重賞勝利。馬の行く気に任せての逃げ切り勝ちはファンをも驚かせた。

 生活習慣を変え、騎乗スタイルにスパイスを加えて突入する40代。“シン・矢野”へ、数字を目標に掲げたことのない男がきっぱり言った。

 「今年は大井リーディングを取り返したい」

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