破棄と廃棄の違い

破棄は原型をとどめない状態で処分すること

破棄や廃棄はビジネスシーン以外に普段でも使うことが多い言葉です。一方で正しく使っているのか正確に理解して使っている方は少ないのではないでしょうか。

似ているようで意味の異なる「破棄」「廃棄」の違いについて説明しましょう。

破棄とは原型をとどめない状態で処分することを指します。

たとえば書類などの場合シュレッダーで細断してから処分する場合は、破棄というのが一般的です。

廃棄は原型をとどめた状態で処分すること

一方で、廃棄の場合は原型を留めた状態で処分することを指し、書類を燃えるゴミにそのまま出した場合には廃棄した、と使うのが一般的です。

事務作業をしている時をイメージしてください。

書類を処分する場合、シュレッダーにかけて細断すれば、破棄を意味するようになります。

通常、書類処分においては廃棄という言葉よりも破棄という言葉を使うケースが多いようです。

なぜなら書類には基本的に個人情報や機密情報など記載しているケースが多々あるため、そのまま原型を保ったままで処分することは情報漏洩につながる可能性があり、基本的にはシュレッダー処理してから処分する「破棄」が使われるためです。

なお、シュレッダー処理の専門業者に書類を回収してもらう時には、原型をとどめた形で専門業者に処分を委託するので「廃棄」というのが使われます。

このように、処理する際に原型をとどめているか、形があるかどうかが、「破棄」と「廃棄」の意味の違いです。

破棄の使い方

破棄は「破り捨てること」の意味

「書類を破棄する」などで使われている破棄は、「破り捨てること」の意味で使われています。

一方、「契約破棄をする」などで使われている破棄は「一方的に取り消すこと」の意味となります。

また、「高等裁判所への破棄差し戻し判決になる」などで使われている破棄は、「原判決を取り消すこと」の意味で使われています。

破棄とは、文字通り「破り棄てること」と意味しますが、使い方によっては複数の意味を持つ言葉になります。書類などを物理的に処分することのほかに、契約や法律、判決、約束事などを概念的に取り消すことの意味で使用されるケースもあります。

対語は「温存」や「締結」、類語は「捨てる」「解消」

破棄の対義語としては、物理的なものを指すか概念的なものを指すかによって、捨てずに保管しておく「温存」という意味と、条約・契約を結ぶこと「締結」があります。

破棄の類語・類義語としては、手元から放すことを意味する「捨てる」、今までの契約や約束が消えてしまうことことを意味する「解消」、「不成立」などがあります。

廃棄の使い方

廃棄は「不用なものをそのまま捨てること」の意味

「消費期限が過ぎた牛乳を廃棄処分する」「一般廃棄物の収集と運搬を請負う業者」など使われている廃棄は「不用なものをそのまま捨てること」の意味で使われています。

一方、「規定に従って契約を廃棄する」などしようするケースは、「一方の意思によって効力を失効させる」の意味で使われます。

廃棄という言葉は、上記の物理的な意味合いと概念的な意味合いと二つの意味がありますが、一般的には「不用なものをその状態のまま捨てること」の意味で使われています。

対語は「保存」「再生」、類語は「処分」「撤回」

廃棄の対義語は、そのままの状態に保っておくことを意味する「保存」、廃物を加工して再び物質をつくり出すことを意味する「再生」、条約・協定・契約などを結ぶことを意味する「締結」などがあります。

廃棄の類義語としては、不要なものを適当な方法で処理する意味で「処分」。退け捨てることを意味する「排棄」、概念的な意味合いでいうと意思決定した特定の効果を消滅させることを意味する「撤回」、制度などを取りやめることを意味する「撤廃」などがあります。

破棄と廃棄の例文

破棄の例文

▼物理的な意味合いのケース
1.転職のため大量に残った自身の名刺を破棄する予定だ。
2.請求書に金額の誤りがありましたので申し訳ございませんが、破棄して頂けますでしょうか。
3.退職時に社内溜め込んでしまっていた資料をシュレッダーで破棄するのに非常に時間がかかってしまった。
4.大量の書類を破棄する場合、社内のシュレッダーでは手間と時間がかかるためシュレッダー処理業者へ依頼した。
5.本来シュレッダーにかけて書類を破棄するところを、そのままゴミ袋に入れて捨ててしまったことで個人情報が漏洩してしまった。
6.応募書類などは、弊社が責任をもって破棄致します。

▼概念的な意味合いのケース
1.相手の不貞行為により婚約を破棄することを検討している。
2.最高裁において破棄自判し無罪を言渡した事例を見てみる。

廃棄の例文

▼物理的な意味合いのケース
1.不法投棄が後を絶たな原因の一つが産業廃棄物処理の費用が高いという点だ。
2.千葉ではエアコン、テレビ、冷蔵庫などが家電リサイクル法の対象となる廃棄物です。
3.農薬の廃棄処分については、産業廃棄物処理業者に処理を委託が必要だ。
4.スプレー缶を廃棄するときは、ガスが残っていないことを確認する必要がある。
5.廃棄処分されるお弁当やお惣菜は現在問題視されている。
6.家にある不要物は廃棄する前にリサイクルショップで査定してみよう。

▼概念的な意味合いのケース
1.1943年1月11日に共同租界の返還、治外法権の撤廃などを認め不平等条約はすべて廃棄された。
2.アメリカとロシアはともにINF・中距離核戦力全廃条約を破棄する方針。

まとめ

破棄と廃棄という言葉は、主には双方物を捨てる時や処分する時に使われます。どちらの言葉を使うか迷った場合、元の原形をとどめない状態で捨てることを表現をしたい時は「破棄」を、もとの形のまま捨てることを表現したい時は「廃棄」という言葉がふさわしいようです。