2023年11月06日

「お熱だけど、楽しい1日」をみんなで支える【病児保育】

あずける

0~2歳

3~5歳

小学生

保育士と子供が絵本を読んだり、デスクで遊んでいる施設内の写真

おうちのリビングのような部屋の真ん中に大きな木。その根元にあるテーブルや周りで、子どもたちがにこやかにパズルやままごと遊び。絵本を読んでいた子が急に泣き出しました。「しんどくなったのかな」と保育士さんに抱っこされてとなりの部屋へ。少し眠るようです———

ここ「病児保育室かけっこ」は、子どもが病気のときに保護者や保育園などに代わって一時的にお預かりする「病児保育室」の一つ。神戸市内では20ヵ所以上の病児保育の施設があります。利用には事前予約や医師の診察などが必要ですが、「ここがあるから仕事を続けられた」という声も多く寄せられているそう。

マンション外に分かりやすく置かれている施設案内の立て看板
阪急御影駅から歩いてすぐのマンションにあり、アクセスしやすい
保育士と子供たちが施設で色々なことをして遊んでいる写真
保育士が一緒に遊びながら子どもたちを見守り、お昼ごはんとおやつの提供も
熱が無いか子供の様子をうかがう看護師の写真
「お熱は大丈夫かな?」看護師は病状などに応じて保育士へ対応方法の提案をし、必要時には直接関わる
空気清浄機や医療器具などが揃った部屋の写真
病状、感染症などで対応ができるよう部屋は3つに分けられる

【スタッフの声】そのときの体調で「できる遊び」を一緒に探せたら

島田さんの写真

保育士 島田さん

年齢によっても違いますが、月齢が低いと人見知りや場所見知りで、朝は泣いてしまう子が多いです。でもずっと泣き続ける子はあまりおらず、次第にみんな落ち着いてきます。なかにはしんどくて泣いている子もいるので、朝のお母さんからの聞き取りもヒントに看護師と連携しながら、寝かせたり、水分補給をしたりして、心地よく過ごせるようにしています。それぞれの体調や好みに合わせた遊びを考えて提供していますが、できる時はみんなで、「隣の部屋で赤ちゃんが寝てるから静かにしようね」と言いながらトランプやボードゲームをすることも。朝は不安そうにされていたお母さんが帰りに記録を見て、「お熱でもこんなに楽しんで過ごせたんですね」と笑顔で言われることもあります。

保育士が床に座り子供とコミュニケーションをとる写真
「何して遊ぶ?」はじめましてのメンバーでも子どもどうし、自然なコミュニケーションが生まれる
パズルで遊んでいる子供の手元写真
ふだんは乳児や幼児の利用が多く、インフルエンザなどの流行時は小学生の利用もある

【スタッフの声】「おうち」と「病児保育室」でお子さんのケアをつないでいく

山本さんの写真

看護師 山本さん

病児保育では、来られたときにまず、夜からのお子さんの状況をお聞きしながら、そのときの様子も見逃さないよう観察し、病児保育中の熱や水分補給などのケアを考えています。離れている間のお子さんの病状は心配ですよね。日中も、例えば何をしても不機嫌な乳児は突発性発疹が出ていないか確認するなど、お子さんの体調を常に観察できるようにしています。帰りにお渡しする記録には、帰宅後のケアや、見るポイント、再受診が必要なレベルなどを必ず記載し、看護師として「お子さんのケアをつないでいく」ことを意識しています。発熱時の頓服薬のタイミングや水分補給の仕方などを伝えると「今回利用して、初めてわかりました」という声も。

子供の様子を記録している看護師の写真
体調や服薬、日中の過ごし方や遊びの様子なども詳しく記録し、保護者に伝えている
靴箱に子供の靴が並んでいる写真
感染症が流行すると6人定員(※)はすぐに予約で埋まってしまう (※)定員は施設によって異なります

私も10年ほど前、子どもが小さいころに別の病院で働いていて病児保育を利用していたんです。最初は「病気の子を預ける」というネガティブな世間のイメージがあったり、そこまでして「自分が働く意味」を考えてしまったり。子どもの病状や離れて泣いたりすることも心配でなかなか踏み切れませんでした。
でも実際に病児保育室に預けてみると、迎えに行ったときに子どもが笑っていて、その一日の中でも成長を感じられました。スタッフの方にも「お母さん、お疲れさま」とこちらの思いを汲んでもらえて、自分のなかでのイメージがガラッと変わったんです。もちろん病気のこともしっかりみてもらえて、いろんなアドバイスもあり「あ、病児保育っていいな」と思えました。
職場で「子どもの熱が出たらいつも休む人」としてキャリアを積み重ねていくのは本当に大変。どうしてものときの選択肢が1つできることで、お母さんのキャリアも少し守られるような気がするし、そこも大切にしてあげたいです(看護師 山本さん)。

【事業者コメント】使わない選択もある、でも使うメリットも必ずある

二星さんの写真

事務長・小児看護専門看護師 二星さん

病児保育を利用するかしないかというのは、親の「自分がどうありたいか」にすごく関連することだと思います。子育てを主体的に行なう「親」という役割のなかで、「病児保育室に預ける」ということを考えるときに、「かわいそう」「仕方がない」と思うかもしれませんが、実は病気の子どもに対して適切な関わりをしてくれる施設を選択して預けることのメリットはあると思っています。
病児保育では専門性のあるスタッフが、きめ細かなケアと遊びで子どもが過ごしやすい状況を導き出していて、子どもたちは帰り際に「楽しかった」と言ってくれます。また病児保育でのケア方法や今後の見通しなども詳しく伝えるので、病状への不安が減り、その後の育児に経験として活かすこともできます。子どもの病気は家族にとって大変な出来事。それを協力し合って支える社会資源の一つとして病児保育を考えてほしいという思いで、日々スタッフは受け入れ、関わっています。

黄色やオレンジ色に着色されたカラフルな施設内の扉の写真
木を模した、天井の高さまであるオブジェの写真

病児保育

利用時間

原則として、月曜~金曜 8時~19時
※時間・休日は施設によって異なります。

利用対象者

神戸市内に居住している小学校6年生まで

利用方法

病児保育予約システムに登録の上予約。
※利用空き状況は予約システムから確認できます。

利用料

1日利用料2,000円、食事代・おやつ代500円
※医師の診察があった場合、別途診察代・治療費

病児保育室かけっこ

所在地

神戸市東灘区御影2-2-5 パーチェ御影401

電話番号

080-8948-5757(平日の7時~19時)

ホームページ

http://nkcyoytaku.niboshi-kodomo.info/

病児保育とは(神戸市)※神戸市内病児保育施設一覧 (外部リンク)

神戸市病児保育施設マップ