ユニオンとは?
近年、過剰な引き留めやパワハラ、退職が受理されない等の労働者の悩み・ニーズを受けて、労働者の代わりに会社と連絡を行い、退職手続きを代行する「退職代行サービス業者」が話題になっていますね。
退職代行サービスは、当初便利屋や電話代行サービスの一環として提供されていたようですが、近年EXIT等の専門業者が出現し、大きな需要があることが知られるようになりました。
そんな中、非弁護士(非弁)業者には行えない(※1)交渉業務を「退職代行サービス」として行う弁護士、法律事務所も増えてきました。
※1 弁護士法72条(引用:wikipedia「非弁活動」より)
「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。」弁護士法72条の規定に反する委任契約は無効とされる結果、非弁行為によって支払われた報酬は返還請求の対象となる。
本条の趣旨
弁護士以外の者がなす法律事務の実施は、類型的にトラブル発生の危険性が高い。そこで、法は、弁護士の有する専門的知識と、弁護士以外の第三者による公正・慎重な懲戒制度を有する弁護士資格制度に対する信用を前提に、非弁活動を一律に規制した。
つまり、弁護士でない業者が、報酬を得る目的で交渉業務を行うと「非弁活動」として違法となってしまうのです。
しかし、十分な退職代行サービスを提供するには、会社との交渉や請求、場合によっては訴訟手続等は、避けられないものです。
そのような流れで、非弁業者が編み出したスキームが「ユニオン(合同労働組合、合同労組)」(※2)を名乗るという方法です。
労働組合であれば、本人に代わって交渉(実際には代理という形ではなく、団体交渉という形になります)することを正当化できます(※3)し、「組合費」や「寄付金」、もしくは「(残業代請求等の解決金で、本人の権利に帰属する金員ではなく)組合自体の権利に帰属する解決金」との名目で報酬を得ることも可能だからです。
※2 ユニオンとは?
労働組合として代表的なものは、各企業それぞれにある企業別組合ではないでしょうか。ユニオンとは、このような「企業別組合」とは異なり、企業を超えて労働者が組織する労働組合のことです。
※3 労働組合の団体交渉権
・日本国憲法第28条 勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。
・労働組合法第6条 労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する。
労働組合というと、最近話題の恐喝未遂事件(関西生コン事件)等の悪い印象で敬遠される方も多いかもしれませんが、こと退職代行サービスに限っては、一見弁護士よりもリーズナブルな費用を提示している等、魅力的だと思われる側面もあるでしょう。
今回の記事では、実際にこのようなユニオンの退職代行業者に依頼するのはどうなの?ということを解説していきます。
ユニオンの退職代行業者 チェックポイント1:本当に「労働組合」か?(法適合性)
労働委員会の承認を受けているかどうか、必ずチェック!
労働組合は、団体交渉権や税制上の優遇等、法的な保護・救済を受ける代わりに、
- 「労働組合」を構成する人員は、「労働者」でなければならない。
- 「労働組合」の目的は、「労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ること」であり、他の目的であってはならない。
- 特別な要件を備えた規約を定めなければならない。
等、「労働組合」であるための条件が具体的に定められており、これらの条件を満たすことを労働委員会が承認しなければ、労働組合としての保護・救済を受けることができないとされています。
労働組合法第5条
労働組合は、労働委員会に証拠を提出して第二条及び第二項の規定に適合することを立証しなければ、この法律に規定する手続に参与する資格を有せず、且つ、この法律に規定する救済を与えられない。
なので、退職代行サービスを依頼するのであれば、最低限、労働委員会の承認を受けた「法適合」の労働組合でなければ、トラブルの元になるでしょう。
もっとも、退職代行サービスを目的とした「労働組合」は、そもそも労働組合とはいえない、非弁行為の潜脱であり違法ではないか、といった指摘もなされています。
twitter上の声
合同労組かけこみユニオンの #退職代行
— ヨコチン刑事㊙️実況 (@yokotindeka_DJ) November 24, 2018
ヒジヨーに胡散臭い。
所在地がなぜか行政書士事務所内。
依頼に五万円もの追加協賛金が必要。
弁護士よりも交渉力を持っており、あらゆる面で優れている、とサイト内で繰り返し記載し読者を洗脳。
…これ、実態は、労組を偽装した、新手の非弁の匂いがする。 pic.twitter.com/WFjsVsll4J
この前、労働組合の作り方を教えて欲しいという電話相談があった。なんか変な電話だから厳しく問いただしたら、退職代行業者だったよ。
— Konno Mamoru (@funkykong555) September 27, 2019
退職代行を専門にするなら労働組合ではない。
非弁行為にあたるからやめなさい、と説教しといた。
非弁行為は、法定代理人資格の無い司法書士も外部ユニオンも同じ。労働者の利権を蝕む社会悪。私利私欲の為に労働者群がる寄生虫。
— 労働者を守る会2 (@xWbCxDG0AzSU7ba) August 24, 2019
自身で勉強するか、信頼できる弁護士に委任すべき。(弁護士の知り合いがいなければ、法テラスの利用を。下手な広告に騙されないように。) https://t.co/qAf0bgjIai
ユニオンの退職代行業者 チェックポイント2:依頼者の利益最優先で動いてくれるか?
弁護士のように厳しい職務規定や守秘義務がない
弁護士は「基本的人権の擁護と社会正義の実現という使命を自覚し、自らの行動を規律する社会的責任を負う」とされ、
- 守秘義務
- 依頼者の利益を損なう事件処理をしない
- 費用等の説明義務
- 任契約書締結義務
- その他弁護士としての倫理や品位を損なう行動をしない
といったことをはじめとした、厳しい職務規定が定められています。
労働組合の場合、そのような厳しい職務規定はなく、依頼者である労働者と揉めたという例が散見されます。
そのため、労働組合へ退職代行を依頼するに当たって、
- 退職できず、再度出社することになった
- 残っていた有給を消化できなかった
- 会社から損害賠償請求を受けた
- 情報が漏えいした、
- 法外な費用を取られた
- その他不利益を受けた
といったトラブルは、自己責任ということになりかねません
ユニオンの退職代行業者 チェックポイント3:費用は明確か?
組合の報酬は「組合費」「寄付金」「組合自体の権利に帰属する解決金」
弁護士法72条により、労働組合は、交渉や訴訟等の業務について、「対価としての報酬」を請求することができません。
そこで、労働組合は、「組合費」「寄付金」「拠出金」「組合自体の権利に帰属する解決金」として報酬を得ます。
弁護士のような委任契約書が存在せず、報酬体系もグレーである以上、追加費用が次々と掛かるといったトラブルは避けがたいものです。
過去には、労働者が労働組合に依頼し、未払いの残業代を回収したケースにおいて、
組合側が「回収した残業代は全て労働組合自体の権利に帰属する」 と主張し、残業代を労働者に返さないといった事例もあったようです。
労働組合は本人に代わって交渉を行いますが、正確には「本人の代理」という形ではなく、「本人の委任を受けて団体交渉を行う」という形のため、このように報酬体系が不明確であることもあります。
ユニオンの退職代行業者 チェックポイント4:紛争処理の「能力」があるか?
「弁護士以外の者がなす法律事務は、トラブル発生の危険性が高い」
今まで、ユニオン(合同労働組合)の退職代行について、違法性や、法の抜け穴という観点から解説しました。
しかし、実際の退職代行で無用なトラブルを避けるためには、違法性もさることながら、その業者の紛争解決の「能力」を見るべきでしょう。
この記事に冒頭にある弁護士法72条(非弁活動)の趣旨は、
弁護士以外の者がなす法律事務の実施は、類型的にトラブル発生の危険性が高い。そこで、法は、弁護士の有する専門的知識と、弁護士以外の第三者による公正・慎重な懲戒制度を有する弁護士資格制度に対する信用を前提に、非弁活動を一律に規制した。
というものでした。
費用の安さや宣伝文句だけに目を奪われることなく、
- 依頼者の利益を最大化できる実績があるか?
- 最悪の場合も想定した退職処理ができるか?
- 退職に際して会社との紛争が発展した場合にも対応可能か?
を必ずチェックしてください。
ユニオンの退職代行サービスまとめ
弁護士でない者は、有償での交渉ができません。
外形上、非弁護士が労働組合(ユニオン)を構成して「交渉可能」としていても、法律・倫理・費用・能力的な側面で疑問が残るため、ユニオンの退職代行の利用は慎重に行うのがよいでしょう。
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ユニオンへの退職代行の依頼が心配な方へ
- 上司や社長に顔を合わせて退職を切り出すのが苦痛。できれば今後一切の接触を断ちたい。
- 自分で退職を申し出ても、会社に受理されない。もしくは会社に良いように言いくるめられ、一歩を踏み出せない。
- 会社から多額の損害賠償請求や懲戒解雇等の処分、その他の報復行為がなされないか心配。
- 家族や親族に心配を掛けずに退職したい。
- 有給が何日残っているか、いつ退職すればいいか、わからない。
- 社宅退去や借入金の交渉、傷病手当金申請、その他の手続きで理不尽な目に遭いたくない。
- 契約社員、SES、派遣、業務委託、管理職等の退職で、民間の退職代行業者では対応不可だった。
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