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伊丹市昆虫館むしばなし

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/6 秋の鳴く虫スズムシ オスの求愛、風物詩に /兵庫

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鳴いているスズムシのオス=兵庫県伊丹市昆虫館提供
鳴いているスズムシのオス=兵庫県伊丹市昆虫館提供

 <いたこん>

 暑さがピークを過ぎて夜がいくぶん涼しくなってくると、スズムシやコオロギなど、虫の声を楽しむのにちょうど良い季節になります。俳句の世界で虫といえば秋の季語として鳴く虫を指すように、日本では古くから虫の声は秋のおとずれとして人々に親しまれてきました。

 平安時代には貴族の楽しみとして、江戸時代には庶民にも広がり虫の声が楽しまれていたことが知られています。江戸時代の書物には虫聞きの名所が紹介されているものもあり、当時の風流な人たちは夜に虫の声の名所に出かけてさまざまな声を楽しんでいました。また虫売りという商売もあり、当時から鳴く虫は販売もされていました。

 日本で人々によく知られた鳴く虫はスズムシでしょう。スズムシはコオロギの仲間で、黒い体に長い触角、長い後脚をもつ昆虫です。リーン・リーンとよく通る声で、飼育すると夜だけでなく昼間もよく鳴きます。主な鳴く目的は求愛で、鳴くのはオスだけです。そのため、オスの前ばねには細かな凹凸と音をひびかせる膜があり、鳴く時にははねを立てて動かし、振動させて音を出します。一方、メスのはねにはそのような造りはなく、また…

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