トランプ氏弾劾裁判 与野党分断に拍車かける恐れ 無罪なら政治的発信再開か

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1月6日、米大統領選の結果に不満を持つドナルド・トランプ氏の支持者が連邦議会議事堂を取り囲んだ=米ワシントンで、高本耕太撮影
1月6日、米大統領選の結果に不満を持つドナルド・トランプ氏の支持者が連邦議会議事堂を取り囲んだ=米ワシントンで、高本耕太撮影

 米大統領として史上初めて2回弾劾訴追されたトランプ前大統領の上院での弾劾裁判が9日始まる。バイデン大統領は、党派対立の解消と米国の団結を目指すが、弾劾裁判は与野党の分断に拍車をかける恐れもある。連邦議会乱入事件に関する裁判の争点をまとめた。【ワシントン古本陽荘、高本耕太】

演説と暴力の関係は

 1月6日、2020年の大統領選の結果に不満を持つ暴徒が連邦議会に乱入した。これに先立ち、トランプ氏はホワイトハウス近くで支持者らを前に演説し、「選挙結果は盗まれた」と主張。上下両院の合同会議で選挙結果を最終確認する作業を行っていた議会に向かうよう呼びかけた。

 訴追状に当たる下院の弾劾決議は、演説でトランプ氏が「死ぬ気で戦わなければ、この国を失うことになる」と呼びかけたことに着目。支持者がトランプ氏の発言を受けて暴力に及んだとして、「反乱の扇動」でトランプ氏を弾劾訴追した。上院に提出された検察官役の下院議員団の準備書面は、議会での暴力行為についてトランプ氏は「特異な責任を負っている」と指摘。トランプ氏がいなければ事件は起きなかったと責任を追及している。

 これに対し、弁護側は準備書面で、トランプ氏が演説で「戦う」と言及したのは、「選挙結果について争う」という意味であり、暴力を促したものではないと反論している。

 実際には演説を聞く前から議会への乱入を周到に準備し、暴力行為に及んだ暴徒がいたことも捜査で判明。裁判ではトランプ氏の演説がどこまで暴力をあおったかについて争われる。

 ただ、下院側は演説以前に選挙結果を覆そうとした行為も含めトランプ氏は「米国の安全に対する深刻な脅威だ」と訴えている。

「言論の自由」を主張

 当初、トランプ氏は弁護団に「米大統領選で大規模な不正があった」と主張するよう指示。しかし、各州と連邦議会が選挙の結果を正当と認めており、参加予定だった弁護士の多くが辞任した。結局、弁護側は、選挙の是非について争うことは断念。その代わりに、…

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