遮断機・警報機なし踏切 7年で47人死亡 全国に2603カ所

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7月に軽乗用車と列車が衝突する死亡事故があった甘木鉄道の第4種踏切。踏切があることを示す標識はあるが、遮断機と警報機がない=福岡県大刀洗町で2021年7月26日午後4時10分、今野悠貴撮影
7月に軽乗用車と列車が衝突する死亡事故があった甘木鉄道の第4種踏切。踏切があることを示す標識はあるが、遮断機と警報機がない=福岡県大刀洗町で2021年7月26日午後4時10分、今野悠貴撮影

 遮断機や警報機がない「第4種踏切」で、歩行者や自動車と列車の衝突事故が相次いでいる。全国に2603カ所あり、2014年度以降の7年余りで47人が亡くなった。国は列車の接近を知らせる装置のない「危険な踏切」を減らすよう鉄道事業者に促しているが、踏切を廃止するには地域住民の理解が欠かせない。一方で遮断機などを設置するには多額の費用もかかり、対策は進んでいない。

 7月12日午後7時5分ごろ、福岡県大刀洗(たちあらい)町の甘木鉄道の第4種踏切で、佐賀県の男性(60)が運転する軽乗用車と1両編成の列車が衝突し、男性は翌朝死亡した。県警小郡署によると、列車の運転士は車の進入に気づき、警笛を鳴らして非常ブレーキもかけたが間に合わなかった。男性は近くの飲食店に向かう途中だったとみられ、列車の接近に気付かなかった可能性がある。

 現場の踏切は上下合わせ平日に84本の列車が通過する。幅は約2・5メートルしかなく、通行は軽自動車と農作業に使うトラクターなどの小型特殊車両に制限されている。踏切には「とまれみよ」という看板があるだけで、近くに住む男性(36)は「過去にもあわや事故になりそうな瞬間があった。子供には近づかないよう指導している」と話す。福岡県朝倉市(甘木駅)と佐賀県基山町(基山駅)を結ぶ第三セクターの甘木鉄道には第4種踏切がもう一つ佐賀県にあるが、この踏切でも06年に軽トラックと列車の接触事故が起きている。

 国の運輸安全委員会が踏切種別の事故分析を始めた14年度から20年度までに、全国の第4種踏切で起きた死亡事故は41件(死者44人)。遮断機はないが警報機のある第3種踏切でも11件(11人)の事故があり、遮断機と警報機が整備された第1種踏切に比べ、第3、4種の死亡事故率は1・4倍だった。21年度も福岡県の事故を含め第4種踏切で3件(3人)の死亡事故が起き、7月21日には北海道仁木(にき)町のJR函館線で歩行者の男性(67)が普通列車にはねられ死亡した。

 相次ぐ事故を受け、国土交通省はここ数年、鉄道事業者に第4種踏切を廃止するか、遮断機や警報機を設置するよう求めている。その結果、全国の第4種踏切数は09年度末の3305カ所から19年度末に2603カ所まで減ったものの、減少傾向は緩やかで、依然として全国の踏切(3万3004カ所)の7・9%を占める。

 ネックになっているのが…

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