あなたともす一冊から 両親を介護、64歳一念発起 実家の装束店、書店に衣替え 京都

「本屋ともひさし」の店主、高橋万寿子さん。「他の書店や出版社とコラボレーションして、本を取り巻く業界を盛り上げる企画ができたら」=京都市下京区の「本屋ともひさし」で2022年4月22日午後1時17分、川畑さおり撮影
「本屋ともひさし」の店主、高橋万寿子さん。「他の書店や出版社とコラボレーションして、本を取り巻く業界を盛り上げる企画ができたら」=京都市下京区の「本屋ともひさし」で2022年4月22日午後1時17分、川畑さおり撮影

 昨秋、京都市の中心部で一軒の書店が産声をあげた。建物は築100年超の町家、店主は両親の介護をしながら限られた時間に店を開ける。出版不況が続き、まちの書店が減少の一途をたどる中、温めてきた夢を還暦を過ぎてから実現させた店主の思いとは。

 JR京都駅から北へ約800メートル。広い烏丸(からすま)通に面して「本屋ともひさし」はある。店主の高橋万寿子(ますこ)さん(64)の実家だ。2019年末までは神職の装束や神具などを商う装束店だった。店内には装束店時代の反物を収めるたんすや屋号の入ったのれんが残り、絵本を中心に約150タイトルと紙芝居約30点が並ぶ。

 記者が訪れた4月下旬、入り口近くにはロシアの侵攻を受けるウクライナの民話を基にした1965年刊行のロングセラー絵本「てぶくろ」が置かれていた。冬の森で、落とし物の手袋にウサギやキツネ、クマなどが次々に入って身を寄せ合う。高橋さんは「無償の愛」がテーマだと解釈し、「誰も拒まず受け入れる。相手を思いやる気持ちがあれば戦争は起こらないはず」と語る。今こそ読んでほしい一冊という。

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