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最高裁判事全員が補足意見 5人丁寧に 経産省トイレ利用制限訴訟

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女性トイレの利用を制限された性同一性障害の経済産業省職員が国に処遇改善を求めた訴訟の上告審判決が言い渡される最高裁第3小法廷。奥中央は今崎幸彦裁判長=東京都千代田区で2023年7月11日午後2時59分、渡部直樹撮影
女性トイレの利用を制限された性同一性障害の経済産業省職員が国に処遇改善を求めた訴訟の上告審判決が言い渡される最高裁第3小法廷。奥中央は今崎幸彦裁判長=東京都千代田区で2023年7月11日午後2時59分、渡部直樹撮影

 性同一性障害の経済産業省職員に対するトイレ利用制限を認めなかった11日の最高裁判決は、性的少数者の訴えにどう対応するか、社会全体で議論するよう求めた。性的少数者も働きやすい職場環境の整備に向けて、司法が警鐘を鳴らしたと言えそうだ。

 最高裁第3小法廷の判決は、裁判官5人全員一致の法廷意見が5ページだったのに対し、法廷意見を補足する5人の個別意見は9ページと2倍近くに及んだ。法廷意見は各裁判官が合議の中で示した考えの中で異論がない「最大公約数」。出生時の戸籍の性と性自認が一致しないトランスジェンダーのトイレ利用を巡っては、国民の間にさまざまな意見があり、判決が誤ったメッセージとして受け取られないよう、補足意見で丁寧に説明したとみられる。

 特に多様な意見が見られたのが職場環境の調整の在り方だ。職場には考えや価値観の異なる職員・社員が一堂に集まるため、雇用者側は労働者側の意向を踏まえ、バランスを図ることが求められる。

 経産省は原告への女性トイレ利用制限を決めるに当たり、面談や関係部署との調整を重ねていた。2審・東京高裁判決は、経産省が「多数者」である他の職員の性的不安や羞恥心を考慮したことを重視して原告敗訴とした。一方、小法廷は法廷意見で「他の職員に対する配慮が過度に重視されている」とし、逆に国の対応を違法とした。

 5人の判事は補足意見で、今…

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