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国民の政治不信が高まる中、「政治とカネ」の問題に正面から取り組むつもりがあるのだろうか。
自民党が派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件を受け、政治刷新本部の初会合を開いた。本部長の岸田文雄首相は「党自ら変わらなければならない」と語った。
メンバーは38人で、小泉進次郎、三原じゅん子両氏ら青年局長、女性局長を務めた若手・中堅議員が入った。一方、麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長ら主要派閥の会長が要職を占め、若手の声がどれだけ反映されるか不透明だ。
最高顧問に就いた菅義偉前首相らから「派閥の解消を進める必要がある」との意見が出たが、派閥領袖(りょうしゅう)を重用した人選からは改革への意欲が伝わってこない。
これまで首相が挙げた具体策は、党によるパーティー収支の監査や、銀行振り込みによる代金の透明化くらいだ。派閥やパーティーの温存が前提となっている。
首相は派閥が「カネとポストを求める場になっていた」と指摘しており、再発防止には派閥による裏金作りの実態解明が不可欠のはずだ。検察の捜査とは別に、党として調査すべきだ。
刷新本部は今月中に中間報告を取りまとめるというが、実態がわからぬままどう対応するのか。
政治資金規正法の抜本改正も求められる。
党内には、パーティー券購入者名の政治資金収支報告書への記載が必要となる基準額の「20万円超」からの引き下げや、違反者への厳罰化などの案が浮上している。しかし、これだけでは不十分だ。
1988年に発覚したリクルート事件を受けて自民が作成した政治改革大綱は、政治資金の透明化や「派閥の弊害除去と解消への決意」を明記した。90年代の政治改革では、癒着を防ぐために企業・団体献金を制限し、代わりに公費による政党助成制度を導入した。
だが、パーティー券販売なら認められるなど「抜け道」が多い。大綱の精神も空文化している。改革の原点に戻り、企業・団体献金の全面禁止を検討すべきだ。
通常国会では政治改革が最大の焦点になる。国民から注がれる視線は厳しい。自民は「刷新」をうたうのであれば、小手先の対応で済ますことがあってはならない。