那須の2遺体　殺害後に運んで遺棄か　20代男性が都内の署に出頭

　栃木県那須町伊王野（いおうの）の河川敷で焼けた2人の遺体が見つかった死体遺棄事件で、県警が20代の男性から任意で事情を聴いていることが17日、捜査関係者への取材で明らかとなった。県警は複数の人物が関与したとみており、男性から慎重に事情を聴いている。

　捜査関係者によると、男性は17日に東京都内の警察署に出頭したという。

　また、県警は司法解剖の結果、死因は2人とも首を圧迫されたことによる窒息死などだったと発表した。遺体の状況から、殺害後に車などで2人の遺体を現場に運んで遺棄した可能性もあるとみて、殺人容疑を視野に調べている。

　県警によると、1人は住居・職業不詳の宝島龍太郎さん（55）。もう1人は司法解剖で女性と判明し、頭蓋骨（ずがいこつ）も骨折していた。身長は約162センチで、40～60歳くらい。2人とも数日以内に亡くなったとみられる。

　捜査関係者によると、2人の遺体はともに頭に袋がかぶせられ、その上から粘着テープが巻かれて手が縛られていた。ガソリンの携行缶のようなものが遺体の近くで見つかっており、県警は油をまいて遺体を焼いたとみている。

　県警によると、16日午前6時50分ごろ、通行人が河川敷で火が出ているのに気づき、通報で駆け付けた署員が2人の遺体を見つけた。

　発見直後の状況を目にした地元の森林組合の60代男性は取材に「二つのマネキンのようなものがあり、火がくすぶった状態だった」と話した。2人の遺体は足が重なり合っていたように見えたという。

　宝島さんは複数の会社で代表取締役を務め、うち1社のホームページには、東京都台東区の上野駅近くの居酒屋など14店舗を展開していると掲載されている。他に不動産売買や食品の輸入販売などが事業内容として記されている。

　台東区内の飲食店の男性店長は「宝島さんは上野や御徒町で店を経営していて名前が知られていた。今日は経営するどの店もシャッターを閉じていると聞いた」と話した。【池田一生、藤田祐子、朝比奈由佳】