株主になったら フォロー

「総会屋と決別」12時間半かかったかつての株主総会

中西和幸・弁護士
東京電力の株主総会冒頭で頭を下げる幹部ら=東京電力本社のテレビ映像より2011年6月28日、木葉健二撮影
東京電力の株主総会冒頭で頭を下げる幹部ら=東京電力本社のテレビ映像より2011年6月28日、木葉健二撮影

株主総会を楽しんでみよう(5)

 株主総会は平日の午前10時から始まることが多いです。最近は、事業報告や議案をスライドなどを使って丁寧に説明し、株主との質疑応答も時間をかけて行うことが多く、終了時間は早くて11時ころ、大半の会社は正午ころに終わります。

 一昔前までは、株主総会は質疑がないことがむしろ当たり前でした。一般株主の質問など論外、開催時間も多くが20分程度とされていましたから、隔世の感があります。

 「マラソン総会」の最長記録は、一般的には1984年のソニーの株主総会の12時間半と言われています。当時、株主の権利行使に名を借りて会社に不当に金品を要求する「総会屋」と呼ばれる人たちがいて、企業にとっては総会屋と手を切ることが大きな課題でした。ソニーがこの年、総会屋と決別しようとしたところ、猛烈に反発した総会屋が次々と発言するなど抵抗し、株主総会が長時間になったと言われています。

この記事は有料記事です。

残り1332文字(全文1727文字)

弁護士

1992年東京大学法学部卒。95年弁護士登録。上場企業の社外取締役、社外監査役を務め、企業法務に詳しい。共著に「会社役員の法務必携」(清文社)、「企業法務からみた株式評価とM&A手続き」(同)、「『社外取締役ガイドライン』の解説」(商事法務)、「企業不祥事インデックス」(同)など。