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新聞で多用される「恩恵」という言葉が好きになれない

位川一郎・毎日新聞紙面審査委員

 新聞を読んでいて、個人的にどうしても好きになれない言葉に出合うことがあります。その一つが「恩恵」。

 毎日新聞の社内データベースで「恩恵」をキーワードに検索したところ、東京本社発行紙面では今年初めから8月末までで140件もの記事がヒットしました(地域面を除く)。例えば、次のように使われています。

 ・8月27日朝刊社説「日銀の『異次元の金融緩和』によって円安が進み、恩恵を受けた輸出産業を中心に株価は上昇した」

 ・8月9日朝刊科学面「東大は04年の国立大法人化の恩恵を順調に受けてきた。(中略)競争的資金や寄付金、産学連携による民間企業からの研究費の増加により総収入は約436億円増えた」

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毎日新聞紙面審査委員

 1957年広島県生まれ。東京大経卒。81年埼玉新聞社入社。88年毎日新聞社入社。水戸支局、経済部、総合メディア事業局、地方部などを経て、2004~10年経済部編集委員。国土交通省、農水省、総務省などを担当し、ライブドア騒動、米国産牛肉の輸入再開、公共事業問題などを取材。13年から現職。