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福祉用具がレンタルから買い取りに? 「縁の下の力持ち」に逆風

中澤まゆみ・ノンフィクションライター
 
 

 介護になじみのない人には、存在さえ知られていない「福祉用具」。介護サービス利用者にも、その役割は十分には知られていません。福祉用具は介護が必要な人の日常生活を支える縁の下の力持ち。介護ベッドから歩行用のつえまで介護保険の1~3割負担で使える仕組みが今、ゆらいでいます。

 3年に1度行われる介護保険制度見直しで2024年改定の議論が大詰めに入ってきました。今回、検討されているのは、介護保険料や利用者負担を引き上げる一方、給付を抑えて「制度の持続可能性を高める」(厚生労働省)ための提案です。しかし、この提案がすべて実現すれば「史上最悪の改定」になりかねないという危機感が、介護関係者と介護保険利用者の間に漂っています。

 負担増加案には(1)利用者負担を原則2割に(2)ケアプランの有料化(3)介護保険施設などの室料全額自己負担化(4)要介護1、2の訪問介護と通所介護の総合事業移行――が挙がっています。それに加えて盛り込まれたのが、福祉用具の一部を「レンタルから買い取りに変える」という検討案です。

介護保険でレンタルできるさまざまな福祉用具

 レンタルの福祉用具は、介護を受ける人の日々の生活で活用されています。具体例を見てみましょう…

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ノンフィクションライター

なかざわ・まゆみ 1949年長野県生まれ。雑誌編集者を経てライターに。人物インタビュー、ルポルタージュを書くかたわら、アジア、アフリカ、アメリカに取材。「ユリ―日系二世 NYハーレムに生きる」(文芸春秋)などを出版。その後、自らの介護体験を契機に医療・介護・福祉・高齢者問題にテーマを移す。全国で講演活動を続けるほか、東京都世田谷区でシンポジウムや講座を開催。住民を含めた多職種連携のケアコミュニティ「せたカフェ」主宰。近著に『おひとりさまでも最期まで在宅』『人生100年時代の医療・介護サバイバル』(いずれも築地書館)、共著『認知症に備える』(自由国民社)など。