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健康維持のために活用したい、人間ドック、健康診断、検診の特徴

健康維持のために活用したい、人間ドック、健康診断、検診の特徴
メディカルノート編集部 [医師監修]

メディカルノート編集部 [医師監修]

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健診、検診、人間ドックはそれぞれ特徴や目的が異なるものです。定期的に健康診断を受けたり、症状が出ていなくても検診を受けたりすることで、自身の健康状態を守り、病気の早期発見につなげることができます。

本記事では、検査の目的や重要性について解説します。

健康診断(健診)は、自身が健康であることを確認して、次の1年を安心して過ごせるようにするために行うものです。特定の病気を見つけることが目的ではありません。

健康診断には、職域の健診、学校健診、いわゆるメタボ健診である特定健康診査など、さまざまな種類があります。日本でもっとも多く行われているのは、一般健康診断のひとつである“定期健康診断”です。定期健康診断の実施は法律で定められており、労働安全衛生規則第44条に基づいて行われます。事業者は労働者に対して、決められた項目の検査を1年に1回受けてもらう義務があるというものです。

検診項目

検診は、ある特定の病気を早期発見するために行うものです。中でも代表的な検診は、がん検診です。胃がん検診肺がん検診子宮がん検診乳がん検診などの種類があります。これらは、がんが発生しているかどうか調べることを目的として行うため、検診ということになります。

就労者に行われる職域の健康診断にも、検診の内容が一部含まれていることがあります。たとえば、肺がん検診で行われる胸部X線(レントゲン)検査は、肺がんだけを見つけるものではなく、元々は結核の有無を調べるために行われていました。呼吸器のさまざまな病気の有無や程度が分かるため、健康診断の検査項目に含まれています。

人間ドックは、健康診断と検診をあわせたようなものだと考えてよいでしょう。症状が出て困っているわけではなくても、1年に1回あるいは定期的に病院や診療所へ行き、職域の健康診断よりも精度の高い検査も含めて全身をチェックします。

ドックとは本来、船の修理などを行うために設けられた施設を意味します。船舶が安全に航行するためには、何も不具合がないように思われる時でも定期的にドックに入り、異常がないかどうか確認したり部品を交換したりする必要があります。実は、人における“ドック”は日本独自のシステムです。

人間ドッグ項目

人間ドックでは主に、血液検査、心電図検査や超音波検査などの生理機能検査、胃X線検査などが行われます。こういった基本的な検査に加えて、精密検査などもオプションとして任意追加できるようになっています。

たとえば、大腸がん検診では便潜血検査(検便)を行うことが一般的です。一方、人間ドックでは、大腸を直接診ることが可能な大腸内視鏡検査をオプションとして選択できるといった違いがあります。

そのほか、一般健康診断の検査項目のひとつでもある胸部X線検査に加えて、胸部CT検査をオプションとして選択することで、より初期の段階の肺がんを見つけることもできます。また、腹部MRI検査では、早期発見が難しいすい臓がんの発見につなげられる可能性があります。

健康診断でも人間ドックでも同じように、“要精密検査”となった場合は、二次検査として精密検査を受けることが重要です。最初の検査で異常が出なければ安心かとは思いますが、もしも異常が指摘された場合には、必要な検査を続けて受けるようにしましょう。

たとえば、大腸の異常を調べる便潜血検査(検便)で陽性反応が出たら、大腸がんの有無を確認するため、大腸内視鏡検査などの詳細な検査を受ける必要があります。そのほか、胃X線検査で異常があれば、胃の内部を直接観察する内視鏡検査を行います。胸部X線検査で異常があったとき、たとえば撮影した写真に「気になるところがある」と医師からいわれたときは、より精度の高い胸部CT検査を受けることが大切です。

最初の検査で異常がみつかっても、さまざまな理由から二次検査を受けていないという方もいらっしゃるかと思います。しかし、せっかく最初の検査を受けて病気が早期に発見できるかもしれないのに、見逃してしまうということもあります。異常がみつかった場合は「病気になったんだ」とご自分で思い込んだり、過剰に心配したりせずに、まずは二次検査を受けることが重要です。

画像:PIXTA

健康診断人間ドックを受けるときの注意事項は、検査項目によって異なります。たとえば、人間ドックは、当日は絶食して受けることが基本になっています。何時から絶食すればよいのかという指示が説明書に記載されているため、熟読してから受診するようにしてください。

また、お薬を内服している方も、説明書をよく読んでおくことは重要です。淳風会健康管理センターでは、狭心症心筋梗塞などの薬を服用している場合は何時頃までに内服すればよいのかといった指示を、細かく記載しています。

説明書をよく読んでいただいたうえでご質問がある場合は、健康診断を受ける施設、医療機関にご遠慮なく相談されるとよいでしょう。