「四国新幹線」の誘致運動、徳島・岡山は他県と温度差があった! その裏事情をご存じか

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整備新幹線格上げを求めて、四国新幹線の誘致運動が熱を帯びているが、沿線5県のうち、徳島県と岡山県は他の3県と温度差が感じられる。何か裏にあるのか。

期成会が駅候補地を発表

四国(画像:(C)Google)
四国(画像:(C)Google)

「夢・希望 未来へつなぐ 四国新幹線」――。

 徳島県徳島市のJR徳島駅前、県道の中央緑地帯に、地元中学生のキャッチコピーで四国新幹線の整備を訴える看板が設置されている。看板は高さ8.7m、幅1.8mで、徳島県のご当地キャラクター「すだちくん」が新幹線を走らせるイラストが目を引く。

 四国新幹線の機運盛り上げを狙い、徳島県が設置したものだが、駅前の商店主らに聞くと「新幹線が必要なのは大阪行き。岡山行きはいらん」などとにべもない答えが返ってきた。

 四国新幹線は大阪市から徳島市、香川県高松市、愛媛県松山市の周辺を通って大分県大分市へ向かうルートと、岡山市から瀬戸大橋を通過して高知県高知市へ向かうルートが1973(昭和48)年、基本計画に入った。

 しかし、大阪~大分ルートは兵庫県淡路島と徳島県鳴門市をつなぐ大鳴門橋(おおなるときょう)が鉄道併用橋で整備され、新幹線が通る構造になっているものの、神戸市と淡路島を結ぶ明石海峡大橋は道路単独橋で建設された。愛媛県と大分県間にある豊予海峡には、橋もトンネルもない。新たに海峡部を整備しなければ、新幹線を通すことができない。

 四国4県と四国経済連合会でつくる四国新幹線整備促進期成会(以下、期成会)は、約4兆円の費用がかかると見積もられる海峡部を先送りし、岡山市から瀬戸大橋経由で四国の4県都までを先に整備したい意向だ。

 6月には四国4県に置く新幹線駅の候補地を公表するとともに、期成会会長の千葉昭元四国電力社長らが自民党と国土交通省、財務省に対し、早期実現を要望した。四国だけが全国の新幹線網から取り残され、急激な人口減少の中で地域がじり貧に陥るという危機感が背景に見える。

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