今回は、「顕著に現れる」の意味や使い方、類語・言い換え表現などを解説します。「顕著に現れる」は使い方としては間違っているといわれる理由についても紹介しているので、ぜひチェックしてください。

「顕著に現れる」の意味とは

「顕著に現れる」の意味を紹介します

「顕著に現れる」は「はっきりとあらわれる様子」「誰が見てもはっきりと分かる様子」を意味する言葉です。

「顕著」には「誰が見ても分かるほど明確である」という意味があり、際立って目につく様子を表します。また、「顕」「著」のいずれも「あらわれる・明らかである」という意味を持っており、似た意味の漢字を重ねることで強調表現として使用されています。

顕:きらびやか・際立つ・明らかなどの意味を持つ漢字

著:あらわれる・いちじるしい・明らかなどの意味を持つ漢字

○そもそも「顕著に現れる」は間違い?

「顕著」の「顕」には「あらわれること、あらわになること」という意味があるので、「顕著に現れる」は「あらわれる」の意味が重複している二重表現で間違っているという声もあります。

確かにその通りではあるのですが、「顕著に現れる」は使用しても問題はありません。

近年では「顕著」は「はっきりと」「明らかに」といった形容動詞として使用されるのが一般的になっているので、「顕著に現れる」は「はっきりと現れる」というように問題なく解釈してもらえることがほとんどです。

「犯罪を犯す」も「犯す」という意味が二重になっていますが、定着している言葉ですよね。このように、意味が重なっているのに使用されている言葉は意外と存在します。

○「顕著に現れる」と「顕著に表れる」の違いとは?

「顕著に現れる」と混同しやすい言葉として「顕著に表れる」が挙げられます。際立たせたい対象に応じて、それぞれの表現を使い分けましょう。

表れる:考えや意思が表に出てくる場合に使用

現れる:隠れていた事象が出てくる場合に使用

例えば、「表れる」を使用する場合の具体例として、「彼が真面目だということは、顔つきに顕著に表れている」といった文が挙げられます。一方で「顕著に現れる」は「彼の仮説が正しいということが、実験によって顕著に現れた」といった使い方をします。

使い分けをしっかり覚えておきましょう。

「顕著に現れる」の使い方・例文

「顕著に現れる」の使い方や例文を紹介します

「顕著に現れる」は多くの物事に使用できるため、日常生活やビジネスシーンにおいても使用されています。

下記で例文を紹介するので、使い方を覚えておきましょう。

規制緩和の影響が売上に顕著に現れた

政府が行った規制が緩和されたことによって、売上が際立って向上したことを示しています。このように、「顕著に現れた」という言葉は、経済施策の成果や結果を発表する際によく使用される表現です。

事前に行ったプロモーションの成果が顕著に現れた

プロモーションを実施した結果、明確によい成果が得られたことを示しています。「顕著に現れる」は事業の結果報告をする際にも活用できる表現です。

会社の不祥事の影響は売上に顕著に現れた

前述したように、数値や結果が大きく向上したときにも使用しますが、その他にもなんらかの事象で数値が大幅に下がった場合にも使用されます。この例文からは、会社の不祥事の発覚に伴って数字が大幅に下がっていることを表しています。

「顕著に現れる」の類語・言い換え表現

「顕著に現れる」の類語や言い換え表現を紹介します

この章では「顕著に現れる」の類語や言い換え表現について紹介します。ぜひ、参考にしてください。

○際立ってくる

「際立ってくる」とは「他との区別が明確であること・目立っていること」を示す言葉です。

他の事象と比べてはっきりした違いがある場合・ひときわ目立っている事象を表す際に使用します。

○著しくなる

「顕著」の「著」には「いちじるしい」との意味があり、「著しくなる」も言い換え表現として使用できます。

「著しくなる」は「物事がはっきりしてくる様子・明確になる様子」を表す言葉です。

○明確になる

「明確になる」は「確実であること・間違いのないこと」を表す言葉です。

「あらゆる問題が明確になる」と発言することで、抱えている問題がはっきりと表に出てくる様子を表します。

○明瞭になる

「明瞭」は「物事が明らかであること」を意味しており、「明瞭になる」と表現することで物事がはっきりする様子を示せます。

会社の会議やプレゼンテーションでよく使用する「目的を明瞭にする」という言葉は、「会議やプレゼンテーションの目的をはっきりとさせよう」という意味です。

「顕著に現れる」の対義語

「顕著に現れる」の対義語を紹介します

「顕著に現れる」の対義語として、「隠微・不明瞭・不分明・漠然」などが挙げられます。

いずれも「はっきりしていない様子」を表す言葉です。

この章では、それぞれの詳しい意味について解説します。

○隠微

「隠微」は「顕著」の対義語として使用されています。

「隠微」は「表に現れない微妙な事柄」という意味があり、かすかで分かりにくい様子を表しています。「事象が表明化しておらず、簡単にうかがえないこと」を示したいときに使用できます。

○不明瞭

「不明瞭」は、「顕著」の類語表現である「明瞭」に、否定を表す「不」がついた言葉で、「明らかではない・はっきりとしていない」という意味があります。

「目的が不明瞭である」というフレーズは、目的がはっきりしていない様子を表しています。

○不分明

「顕著に現れる」の対義表現として「不分明」も挙げられます。この言葉も「はっきりとしない様子・区別がつかないこと」を示す表現です。

○漠然

「漠然」は「考えや気持ちがぼんやりとしている様子」を意味する言葉です。例えば、「漠然とした将来の夢を持っている」というフレーズは、「将来に向けてぼんやりとした夢はあるものの内容が定まっておらず、はっきりしていない様子」を表しています。

場面に応じて「顕著に現れる」を適切に活用しよう

本記事では「顕著に現れる」の意味や使い方を紹介しました

今回は「顕著に現れる」の意味や使い方を紹介しました。

「顕著に現れる」は「際立っていること・誰が見ても明確であること」を表す言葉です。さまざまな事象に使用できる言葉なので、正しい意味や使い方を理解して、日常生活やビジネスシーンなど状況に応じて活用しましょう。