【2023新語・流行語大賞】年間大賞は「アレ」 その他トップテンは?選出の背景を解説

[2023/12/01 14:00]

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「2023ユーキャン新語・流行語大賞」が発表され、今年の年間大賞には阪神タイガース・岡田監督の「アレ(A.R.E.)」が選ばれました。

「2023ユーキャン新語・流行語大賞」トップテンは以下のとおり。(50音順)

■新しい学校のリーダーズ/首振りダンス

新しい学校のリーダーズ  首振りダンス


▼受賞者は、4人組ダンスパフォーマンスユニット・新しい学校のリーダーズさん
「個性や自由ではみ出していく―。」のモットーのとおり、いろいろはみ出している。ダンス&ボーカルユニットのひとことではおさまらない。

自らが行うパワフルな振り付けでは、コミカルな動きもあり、激しく訴えかけてくる歌声は女性ロックバンド。表現力豊かなパフォーマンスで人気をさらった。

楽曲『オトナブルー』で披露される「首振りダンス」は今年TikTokで人気を集め、SNS総フォロワー数1400万人オーバー、国内女性アーティストの第1位を獲得、アメリカのフェスにも参加し成功をおさめた。

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■アレ(A.R.E.)


▼受賞者は、38年ぶり2度目の日本一に導いた阪神タイガース監督・岡田彰布さん
2023年、プロ野球の阪神タイガースが日本シリーズを制し、1985年以来38年ぶり2度目の日本一となった。

秘訣は「アレ」だ。

今年のタイガースはチームスローガンを「A.R.E.(えーあーるいー)」とし、「アレ=優勝」への強い決意を表明した。そして、日本シリーズでの優勝インタビュー、岡田彰布監督は「何とか達成できたので。アレのアレを」と話し、敵地京セラドーム大阪も沸きに沸いた。

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■OSO18/アーバンベア

OSO18 アーバンベア クマ 


▼受賞者は、アーバンベアの著者、日本クマネットワーク代表、酪農学園大学教授・佐藤喜和さん
日ごろ、クマとは縁のない地域にも「OSO(オソ)18」の恐怖は知れ渡った。牛を襲うという行動の特殊性、人間に姿を見せない、罠は見抜いてかからない。

名づけられたコードネームは「OSO18」。最初に被害が出たのが、北海道標茶町(しべちゃちょう)のオソツベツであったこと、前足の幅が18センチだったことから、そうよばれた。

今年は、人がクマに襲われる被害が相次ぎ、統計開始以降最多となった。クマの生息範囲が広がり、市街地周辺に恒常的に住み、白昼堂々、人家に出没するアーバンベアの存在も認識された。

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■蛙化現象

■蛙化現象


▼受賞者は、好きな相手のささいな行動を見て気持ちが冷めた、瀬間琴美さんと板倉香音さん
好意を持っている相手のことが、ふとしたきっかけで嫌になってしまう「急に冷めちゃう」現象は、ままあることだ。今年、若者はこの現象を「蛙化」するという言葉で表し、共感し合った。

それにしても「冷める」のは自分ごとであるが、「蛙化」は、相手が勝手に蛙になっちゃったんだもーん、という突き放し力が、すごい。SNSで簡単にブロックをかけてしまう今風の人間関係が映し出された言葉ともいえる。

■生成AI


▼受賞者は、メディアアーティストとして活動されている、落合陽一さん
魔法の生成AI「ChatGPT」に飛びついたユーザーは、世界で1億人を超えた。これは絶対に人間でなくちゃという俳優業でさえ、今年、AI技術で若返ったインディージョーンズがスクリーンを駆け巡り、ハリウッドを震撼させた。

さて。ChatGPTに2023年新語・流行語大賞の授賞理由を聞いてみた。

その答えは「申し訳ありませんが、情報がないのでわかりません。…正確な情報を得るには、実際の資料や報道を参照することが必要です」

いいぞ、ChatGPT!

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■地球沸騰化


▼受賞者は、乱高下する海水温の中で小浜よっぱらいサバを養殖している、田鳥水産株式会社 代表取締役・横山拓也さん
2023年夏、世界は強烈な暑さに見舞われ、ヨーロッパでは熱波で死者が出たり森林火災が相次いだ。EUの気象情報機関によると2023年7月、世界の平均気温は観測史上最高を記録したという。この事態を受け、グテーレス国連事務総長は世界気象機関の報告書発表に際し「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」と強い危機感を表した。

日本でもこの夏、最高気温35℃以上の「猛暑日」の日数が最多となり、日本近海の海面水温は過去最高を記録。食卓の様子が変わってくること、そして命の危機を実感した年だった。

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■ペッパーミル・パフォーマンス


▼受賞者は、ペッパーミル専門コーナーを設置した、キッチンワールドTDIさん
2023年3月9日、WBCの1次ラウンド東京プールが開幕した。2戦目の対韓国戦、韓国の3点リードで迎えた3回裏、反撃の狼煙をあげたのがラーズ・ヌートバー選手だ。ねばりにねばったセンター前ヒットで勢いをつけ、日本はこの回4点を奪い返した。

守備でも魅せた。浅い打球に飛び込んでキャッチしたガッツあふれるプレーは、一気に侍ジャパンファンの心をつかんだ。

そんなヌートバー選手の人気に火をつけたのがペッパーミル・パフォーマンスだ。観客席や家庭で実物のペッパーミルを手に応援する人もあり、一緒になって祝福できるこのパフォーマンスは日本の快進撃を勢いづけてくれたのだ。

アメリカ人大リーガー初の日本代表・ヌートバー選手の活躍はWBC優勝の感激とともに日本の野球ファンに強く焼き付けられた。

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■観る将


▼受賞者は、「観る将」でファンのすそ野を拡大する、公益社団法人日本将棋連盟さん
2023年10月、藤井聡太八冠が誕生した。数々の記録をぬりかえてきたことで、将棋というニッチな世界ながら藤井ファンは幅広い。影響の大きさに「藤井現象」という言葉も生まれた。

そして、藤井現象の柱といえるのが「観る将」の存在だ。

これまで将棋とは縁のなかった人々が玄人向けの場であった大盤解説会に足を運んだり、対局中継サイトを熱心に見入ったり。新しい層に間口を広げたのは、藤井人気とAIだ。

AIが示すグラフは熱戦を可視化し、解説陣もまたAI世代、YouTube世代で、見せ方もうまい。指す人だけの楽しみだった場に最先端技術を取り入れた将棋界の勢いと、「ライブ」で行われている現場に立ち合って応援したいというサポーター的感情の相乗効果で「観る将棋」という新しい将棋の楽しみ方が定着した。

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■闇バイト

闇バイト


▼受賞者なし
白昼堂々犯行におよぶ凶悪な強盗事件が全国で相次いだ。日常生活を送る住宅街や営業中の店舗に複数人で侵入し、暴力をふるい金品を奪っていく脈絡のない雑な手口は、シンプルがゆえにかえって国民を強い不安におとしいれた。「オレオレ詐欺」「振り込め詐欺」などの特殊詐欺も増加傾向が続く。

これらの犯罪を実行し検挙された多くが学生や若者で、経済的な困窮や楽に稼げるからとSNSでの高額求人に気軽に応募したアルバイトだという。闇バイトが嫌悪感を増幅させるのは、首謀者は携帯電話やSNSで指示をするだけで、自分はまったく現場に出ずに、人を簡単に使い捨てにすることだ。

個人情報をにぎられ脅されていたとはいえ、市民がスマホ一つで強盗殺人まで犯す、SNSは凶器にもなってしまったのだ。
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■4年ぶり/声出し応援

■4年ぶり/声出し応援

▼受賞者は、パリオリンピックに48年ぶりの自力出場を決めた、公益財団法人日本バスケットボール協会・AKATSUKI JAPANさん
2023年春、試合会場に声を出しての応援が戻ってきた。大相撲、プロ野球、Jリーグなどで、大きな声で、肩を組み飛び跳ねて応援するファンの躍動で4年ぶりに熱いスポーツが息を吹き返した。

振り返ると、行動制限がかかったのは新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年。声なし応援は、打球音が聞こえる、力士のぶつかる生音が聴けるなどのうれしい発見もあったにはあったのだが、無観客試合も経験し、関係者やファンは応援のてがかりを模索してきた。

手拍子やボード、文字をあしらったタオルを掲げての応援は、大きな声を出すことがためらわれる人も堂々とできる新しい応援として浸透した。

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「選考委員特別賞」
■「I’m wearing pants!(アイム・ウェアリング・パンツ)」


▼受賞者は、お笑い芸人・とにかく明るい安村さん
ようこそ おかえりなさいMr.Tonikakuakarui Yasumura!2度目の新語・流行語大賞受賞へ!

2015年年末、あなたは「安心してください、穿いてますよ」で受賞し、はちきれんばかりに、とにかく明るく授賞式においでくださいました。

そして、今年、「I’mwearing pants!」がイギリスの人気オーディション番組「ブリテンズ・ゴット・タレント」で、日本人で初めて決勝進出を果たしたというニュースに触れ、関係者一同、大いに盛り上がりました。

【凱旋会見】とにかく明るい安村「世界で全裸ポーズやりたい」「ブロードウェイでも」

※『「現代用語の基礎知識」選 2023ユーキャン新語・流行語大賞トップテン 受賞者紹介と解説』より一部抜粋

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