ニュースでよく見る「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」、何が違うの?
先日、マンション建設大手の長谷工コーポレーションが東京国税庁の税務調査を受け、2012年3月期までの3年間に約25億円の所得隠しを指摘されていたことが報道されました。経理ミスを含めると、申告漏れは総額30億円超といわれています。 また、別のニュースでは、サッカー・アルゼンチン代表であり、FCバルセロナに所属するリオネル・メッシ選手の脱税疑惑が浮上。スペイン税務当局は、脱税容疑でメッシと父親を告発したところ、メッシ側は修正申告を行い、500万ユーロ(約6億6500万円)を税務署に支払ったそうです。 このように、企業のみならず、著名人のニュースなどでもたびたび耳にする「所得隠し」と「申告漏れ」と「脱税」。いずれも、納税の義務を怠り、不正を働いたケースで使用されていますが、いったい何がどう違うのでしょうか?
「単なるミス」か「わざと」か
本題に入る前に、まずは納税の基本的な仕組みについておさらいしましょう。一般的な会社員の場合、給料から税金が天引き(源泉徴収)されるため、所得税や住民税などは会社が代わりに納めています。 ただし、所得税は徴収額の年間合計額と、その人が本来納めるべき額が一致せずに過不足が起こるため、年末調整でそれを清算します(12月分の給与明細で、数万円多く振り込まれていてラッキー! というのが、まさにこれ)。そのため、サラリーマンは副業などを行っていなければ、「所得隠し」や「申告漏れ」とは無縁といえるでしょう。 一方、法人や個人事業主は自分で所得を計算し、各種税金を納めることになります。このとき、納税者が正しく申告しなかったため、納付後の税務署の調査で納税額が本来納めるべき額よりも少ないことが発覚するケースがあります。新聞やテレビの報道などでは、これが経費計算などの単純ミスによるものであれば「申告漏れ」、書類の改ざんや売り上げの隠ぺいなど、意図的に所得を減らすなど、悪質な場合は「所得隠し」とされるわけです。それぞれ行政罰が伴い、本来の納税額のほかに前者は「無申告加算税」(5~20%)など、後者は「重加算税」(35~40%)が発生します。